前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2021年10月2日(土)
日米英蘭加NZの6カ国が共同訓練を実施
◯海上自衛隊の護衛艦「いせ」「きりしま」「やまぎり」は10月2、3の両日、米、英、オランダ、カナダ、ニュージーランドと6カ国による共同訓練を行った。
訓練は沖縄南西海空域で行われ、米空母「カール・ヴィンソン」「ロナルド・レーガン」、英空母打撃(CSG21)の「クイーン・エリザベス 」を含め、オランダ、カナダ、ニュージーランド各国海軍の艦艇17隻が参加。6カ国は対抗戦、防空戦、対潜戦、戦術運動、通信訓練などを行い、「自由で開かれたインド太平洋」などの基本的価値と戦略的利益を共有する国々の結束を示した。
海自21航空群が台風16号の被害状況を偵察
◯海上自衛隊第21航空群は2日、前日猛威を振るった台風16号が通過した伊豆諸島方面にSH60K哨戒ヘリコプター1機を出動させ、被害状況偵察を実施した。
2021年10月3日(日)
海自護衛艦「いずも」で初のF35B発着艦検証
◯海上自衛隊の護衛艦「いずも」は四国沖で、米海兵隊の支援を得てF35B戦闘機の発着艦に関する検証を行い、同機の発着艦が可能であることを確認した。海自の艦艇にF35Bが発着艦するのは今回が初めてで、米国の支援を受けた検証作業の実施は、日米同盟の深化と日米の緊密な協力を示すものとなった。
米海兵隊のF35B戦闘機が「いずも」へ発着艦できることが確認されたことは、日米の相互運用性の向上、ひいては日米同盟の抑止力・対処力の強化につながる。
検証には、F35B戦闘機を導入予定の航空自衛隊も参加。海自ではF35Bの運用能力獲得に向け、「いずも」型護衛艦における所要の改修を進めており、今回は1回目の改修を終えたタイミングでの検証となった。
防衛省は「今後も、いずも型護衛艦の改修を着実に実施し、海空領域における能力向上を図っていく」としている。
検証について、在日米第3海兵隊遠征軍が動画を公開している。
中山防衛副大臣が「陸上自衛隊演習」を視察
◯中山防衛副大臣は、大分県の日出生台、十文字原両演習場で実施されている「陸上自衛隊演習」を視察した。
演習は、平成5年以来、約30年ぶりに全部隊を対象として行われ、①出動準備訓練、②機動展開等訓練、③出動整備訓練、④兵站・衛生訓練、⑤システム通信訓練から構成されている。主に作戦準備段階に焦点を当て、運用の実効性向上と抑止力・対処力の強化を図る。
「陸上自衛隊演習」は9月15日に始まり、11月下旬まで行われる。
2021年10月4日(月)
引き続き日米英蘭加NZが南シナ海で共同訓練
◯海上自衛隊の護衛艦「しらぬい」は、米、英、オランダ、カナダ、ニュージーランド各国海軍の艦艇と、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて共同訓練を実施した。
訓練は南シナ海の海空域で行われ、米海軍の駆逐艦「ザ・サリバンズ」、イギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」、駆逐艦「ディフェンダー」、フリゲート「ケント」、 補給艦「フォート・ビクトリア」「タイドスプリング」、オランダ海軍のフリゲート「エファーツェン」、カナダ海軍のフリゲート「ウィニペグ」、ニュージーランド海軍のフリゲート「テ・カハ」と共に、各種戦術訓練、洋上補給などを行った。
6カ国による共同訓練は10月9日まで行われた。
海自護衛艦「かが」がスリランカ海軍と共同訓練
◯海上自衛隊のインド太平洋方面派遣(IPD21)部隊として、2日からスリランカのコロンボに寄港していた護衛艦「かが」は、4日、スリランカ海軍の哨戒艦「サガラ」と共同訓練を行った。
訓練は、コロンボ周辺の海空域で実施され、両国は戦術運動や捜索救難訓練などを行った。
スリランカは、インド洋のシーレーンの要衝に位置する重要国であり、防衛省は、「今後もこのような寄港や訓練を通じ、スリランカを含む関係国と連携しながら、インド太平洋地域の安定と繁栄に深くコミットしていくという日本の意思を示していく」としている。
和歌山市の水管橋崩落で給水支援活動
◯10月3日午後、和歌山市を流れる紀の川の六十谷(むそた)橋沿いの水管橋が崩落し、紀の川北部地域で断水(約6万世帯)が発生した。午後11時、信太山駐屯地(大阪府和泉市)に所在する陸上自衛隊第37普通科連隊長に、和歌山県知事から給水支援に係る災害派遣要請があった。
4日午前7時40分から、37普連の隊員約60人と水トレーラー車8両により、小学校などにおいて給水支援活動を開始した。
山崎統幕長が仏軍統合参謀総長と電話会談
◯統合幕僚長の山崎幸二陸将は、フランス軍統合参謀総長のティエリー・ビュルカール陸軍大将と電話会談を行った。
両者は、厳しさを増す安全保障環境について意見を交換し、3月から5月にかけて実施した日仏米ベルギー共同訓練、日仏米豪印共同訓練(ラ・ペルーズ21)、日米豪仏共同訓練(ARC21)、9月に実施した日仏共同訓練(オグリ・ヴェルニー)を含む昨今の日仏防衛協力・交流の成果や意義を確認した。また、新領域を含むあらゆる分野において、日仏間の連携を進めていくことで一致した。
新型コロナワクチン、新たに1回目接種始まる
◯防衛省は、9月27日(月)から10月3日(日)までに自衛隊が大規模接種センターで実施した新型コロナウイルスワクチンの接種回数を発表した。新たに1回目接種期間が始まり、東京は1万5776回、大阪は7341回の接種を実施。10月4日からは接種予約の対象が16歳以上に引き下げられている。
2021年10月5日(火)
再任の岸防衛相が初登庁、「身が引き締まる思い」
◯4日に発足した岸田文雄内閣で防衛大臣に再任された岸信夫防衛相が、新内閣発足後、初めて防衛省に登庁した。
閣議後の会見では、「厳しい安全保障環境の中、身が引き締まる思いですが、しっかり力を尽くしてまいりたいと思います」と述べた。
会見の詳しい内容は、防衛省・自衛隊ホームページの動画で確認できる。
動画1 動画2
岸防衛相が「国民の自衛官」表彰式で祝辞
◯岸防衛相は、グランドヒル市ケ谷(東京都新宿区)で行われた、「国民の自衛官」表彰式(主催:フジサンケイグループ)に出席し、選出された9人の隊員と1つの部隊の受賞を祝った。
「国民の自衛官」表彰は、「国民に感銘を与えた頼もしい自衛官」「やさしい自衛官」「強い自衛官」などを選出し表彰する民間では唯一の自衛官表彰制度。平成14年度(2002年度)から始まり、今回で19回目。
2021年10月6日(水)
岩手県沖の地震で初動対処部隊が情報収集
◯午前2時46分ごろに発生した岩手県沖を震源とする最大震度5強の地震に対し、自衛隊は、航空機や初動対処部隊(FAST-Force)による被害情報の収集を行うとともに、青森、岩手両県庁や青森県の階上町役場などに連絡員を派遣した。
防衛省は、「引き続き自治体などと連携し、国民の安心安全のため万全を期していく」としている。
中山防衛副大臣、松川防衛政務官が離任
◯防衛省で中山泰秀前防衛副大臣、松川るい前防衛大臣政務官の離任行事がそれぞれ行われ、儀仗隊による栄誉礼で見送られた。
2021年10月7日(木)
鬼木防衛副大臣、岩本防衛政務官が初登庁
◯新たに就任した鬼木誠防衛副大臣、岩本剛人防衛大臣政務官が防衛省に初登庁し、儀仗広場で栄誉礼を受けた。
鬼木副大臣は自身のツイッターで、「栄誉礼で迎えていただき、命懸けで働く自衛官24万人の思いを背負い、1億2千万の国民の命を守る責任を感じました。日本国民の生命・財産・自由と人権を守るべく、職務を全うしてまいります」と決意を述べた。
岸防衛相が新任の副大臣らと懇談
◯岸防衛大臣は防衛省で、新たに着任した鬼木防衛副大臣と岩本防衛大臣政務官、再任した大西防衛大臣政務官と懇談した。
防衛省は、「引き続き、わが国の平和と独立を守り、国民の命と安全を守るため、一丸となって任務に精励していく」としている。
山崎統幕長とオランダ軍参謀総長がテレビ会談
◯統合幕僚長の山崎幸二陸将は、オランダ軍参謀総長のオンノ・エイヘルセイム空軍大将とテレビ会談を行った。
両者は、厳しさを増す安全保障環境について意見交換し、9月のオランダ海軍艦艇の日本寄港、英・米を含めた多国間での共同訓練の成果や意義を確認した。また、今後の日蘭間の防衛協力・交流について議論し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日蘭の協力関係を強化していくことで一致した。
2021年10月8日(金)
関東で震度5強の地震 陸海空部隊が情報収集
◯7日午後10時41分ごろに発生した千葉県北西部を震源とする最大震度5強の地震について、同日10時43分に岸田文雄内閣総理大臣から、
◇早急に被害状況を把握すること。
◇地方自治体とも緊密に連携し、政府一体となって、被災者の救命・救助等の災害応急対策に全力で取り組むこと。
◇国民に対し、避難や被害等に関する情報提供を適時的確に行うこと。
◇被害の拡大防止に措置を徹底すること。
との指示があった。
これを受けて、岸信夫防衛相から同日午後10時45分、自衛隊に対し、
◇早急に本地震による被害状況を把握できるよう、関係府省庁及び自治体と緊密に連携し、情報収集に努めること。
◇今後の状況の推移に的確に対応するとともに、陸海空自衛隊が緊密に連携しつつ、人命救助を第一義として活動を実施する等、対応に万全を期すこと。
との指示が発出された。
防衛省・自衛隊は、以下の部隊により情報収集を行った。
陸上自衛隊
東部方面航空隊(立川)、第1飛行隊(立川)、第4対戦車ヘリコプター隊(木更津)、第1普通科連隊(練馬)、第1偵察隊(練馬)
海上自衛隊
第21航空隊(館山)
航空自衛隊
第6航空団(小松)、百里救難隊(百里)
海自がインド海軍との連携を強化
◯海上自衛隊の令和3年度インド太平洋方面派遣(IPD21)部隊は10月6日から8日の間、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、インド海軍と共同訓練(JIMEX)を実施した。海自の戦術技量の向上とインド海軍との連携強化が目的。
訓練はインド西方の海空域で行われ、海上自衛隊から護衛艦「かが」「むらさめ」 、インド海軍から駆逐艦「コチ」、フリゲート「テグ」、MIG29K戦闘機、P8I哨戒機などが参加。両国は防空戦、対空訓練射撃、対水上訓練射撃、洋上補給訓練などを行った。