令和6年(2024年)10月20日(日)、長崎県島原市の島原城築城400年記念イベントにおいてブルーインパルスが飛んだ。築城基地からのリモート展示で、増槽を装着したD2形態で編隊連携機動飛行を実施した。多くのレア課目を復刻あるいは初披露している今年度の展示飛行において、D2形態でのチェンジ・オーバー・ターンが久しぶりに実施されたことも島原の特徴だ。こうした機動飛行は増槽が空となった状態で可能となるという。

 これまでにも公益財団法人日本城郭協会が選出した「日本100名城」で飛んできた。平成19年(2007年)に熊本城築城400年、平成27年(2015年)に姫路城大天守修理完成記念、平成29年(2017年)には彦根城築城410年祭や前年に起きた熊本地震からの復興を祈念した熊本飛翔祭で再び熊本城で飛んだ。
 おおよそ400年前、これらの城が建てられた。歴史的な出来事をこれらの城の完成を重ねてみた。

年号出来事
天正10年(1582年)本能寺の変
天正18年(1590年)豊臣秀吉関白拝命
慶長3年(1598年)豊臣秀吉死去
慶長5年(1600年)関ケ原の戦い
慶長6年(1601年)姫路城
慶長8年(1603年)徳川家康征夷大将軍拝命、江戸幕府開設
慶長9年(1604年)彦根城
慶長10年(1605年)徳川秀忠が第2代将軍に
慶長12年(1607年)熊本城
慶長17年(1612年)キリスト教禁止令
慶長19年(1614年)大阪冬の陣
慶長20年(1615年)大阪夏の陣
元和2年(1616年)徳川家康死去
元和9年(1623年)徳川家光が第3代将軍に
寛永2年(1625年)島原城
寛永13年(1636年)長崎出島完成
寛永14年~15年(1637年~1638年)島原の乱
寛政4年(1792年)島原大変肥後迷惑
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現地展開した気象隊の奥に眉山(まゆやま)とさらに奥には普賢岳が少し顔を出している(写真・伊藤宜由)

 ブルーインパルスが来るということで、島原市では歓迎ムードもすごく感じられた。
 サイン会も大盛況で、記念撮影スペースの順番待ちも100メートルにもおよぶ長い行列ができていた。

サイン会に対応する川島良介3空佐と現地メンバー(写真・伊藤宜由)

記念写真スペースと用意された(写真・伊藤宜由)

 ブルーインパルスが島原で飛んだ所以(ゆえん)については、島原城築城400年記念事業実行委員会会長の島原市長、古川隆三郎氏の挨拶で紹介されており、それを引用したい。そこには34年前の雲仙・普賢岳の噴火とその災害派遣に関わった自衛隊の姿があった。火砕流という言葉を目の当たりにしたあの自然災害から復興した島原の姿を見てほしいという想いがここにある。

島原城築城400年記念事業オープニングセレモニー - YouTube

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 皆さん、おはようございます。願ってもない青空で今日の日を迎えています。
 島原城マルシェ、来ていただいて本当にありがとうございます。今日は、この会場だけではなく、島原復興アリーナの方では島原半島ジオ・マルシェも同じように開催をしています。
 ところで、今日、大多数の皆さんがこの地に来ていただいたのは、12時15分からのブルーインパルスを楽しみに来た方がほとんどだと思います。
 なぜブルーインパルスなのか。皆さん、34年前、 雲仙普賢岳が約200年ぶりに噴火をしました。そして33年前、 あの大火砕流で大きな災害がこの地で発生しました。災害の発生と同時に、大村にある第16普通科連隊がこの地へ災害派遣として入ってきました。そして、1658日間、 この地で、この島原の安全、安心を自衛隊が大活躍してくれたのが33年前です。
 この1658っていう日数は、今でも自衛隊の災害派遣のロングランの記録なんです。そしてその最後は、皆さんが座っているこの場所に多くのテントが立ち、そして装甲車みたいなのがずらっと並んで、 アンテナをいっぱい張り巡らして、山の監視、そしてこの島原の安全安心に陸上自衛隊が 島原城400年の中で1ページ、自衛隊とこの天守閣が一緒にやったという大きな歴史があります。
 これだけの自衛隊の大活躍があって、今回400年にブルーインパルスが花を添えていただくことになりました。
 そして、この400年の中で、400年前にお城を作ったお殿様の力、奈良県五条市の平岡市長さんに来ていただきました。
そして、4万石の城下町が7万石に変わっていき ます。そのご縁で京都府福知山の大橋市長さんに来ていただいてます。皆さん、7万石は、島原が4万石、 そして大分県の豊後高田が3万石、同じ領地だったんです。それが豊後高田の佐々木市長さんです。
 そして、そのお殿様たちは愛知県の幸田町というところから来ています。13人の松平のお殿様、7万石、13人全員、今、愛知県の幸田町の本光寺様に大切に祀られています。愛知県幸田町は成瀬町長であります。
 そして、自衛隊の関係者の方、知事さん、県議会の議長さん、一緒に今日の日を祝っていただいています。
 どうか皆さん、400年を一緒に迎えた同じ時に同じ景色を、 同じ空を見る仲間として、今日1日楽しんでいただければ大変ありがたいと思います。今後も、島原市も島原半島も、さらなる50年、100年と前に向かって進んでいけるものと思います。
 ご来場いただき本当にありがとうございます。そして、今日も最後までどうぞ皆さんよろしくお願いいたします。

 オープニングセレモニーには島原ゆかりの各方面から来賓が列席した。
 奈良県五條市長 平岡清司氏、大分県豊後高田市長 佐々木敏夫氏、京都府福知山市長 大橋一夫氏、愛知県幸田町長 成瀬敦氏、長崎県知事 大石賢吾氏、長崎県議会議長 徳永達也氏、航空自衛隊西部航空方面隊司令官 稲月秀正空将、海上自衛隊佐世保地方総監部管理部長 浅利進吾1海佐(佐世保地方総監代理)、自衛隊長崎地方協力本部長 佐々木昌貴1海佐が登壇し紹介された。(紹介順)

 ブルーインパルスは快晴ながら風の強い空の下、全11課目を実施した。

①デルタ・ローパス

(写真・伊藤宜由)

②フェニックス・ローパス

(写真・伊藤宜由)

③グランドクロス・ローパス

(写真・伊藤宜由)

④デルタ360°ターン

(写真・伊藤宜由)

⑤ローパス(5番機)

(写真・伊藤宜由)

⑥チェンジ・オーバー・ターン

《写真・こうた&ようた》

⑦スワン・ローパス

《写真・こうた&ようた》

朝熊本港のフェリー乗り場に着いたらいっぱいで乗れない?!想定外の事態でしたが、ギリギリで乗船でき、無事到着。お気に入りのブルーのリュックと帽子を被って、憧れのブルーの展示飛行が見られて、大満足のボーイズでした。青空に白い翼、本当に綺麗でした。また会える日を楽しみにしています。

⑧さくら

(写真・伊藤宜由)

⑨ビッグ・ハート

《写真・こうた&ようた》

⑩720°ターン

(写真・伊藤宜由)

⑪レベル・サンライズ

(写真・伊藤宜由)

島原城築城400年記念展示飛行 実施メンバー

1番機 江尻卓2空佐(飛行隊長)、松浦翔矢2空尉
2番機 松永大誠1空尉
3番機 藏元文弥1空尉
4番機 佐藤裕介1空尉
5番機 藤井正和3空佐、浅香光司1空尉
6番機 加藤拓也1空尉
地上統制官 川島良介3空佐(飛行班長)
ナレーター 鴇田大明2空曹(整備員)
地上スタッフ 渡邉嘉之空曹長(准曹士先任)
地上スタッフ 植木大地3空曹(整備員)

 ブルーインパルスファンネットのSNSには、この他にも対岸の熊本県や様々なアングルから普賢岳とブルーインパルスを絡めて撮った映像や写真も寄せられこのイベントの盛況ぶりが伝わってきた。
 地上スタッフとして現地展開した整備員の植木大地3空曹は長崎県出身で地元凱旋となった。また、平成8(1996年)年4月5日の防衛大学校入校式で初展示飛行で飛んで以来、T-4ブルーインパルスは島原城で通算501回目の展示飛行を実施し、500回越えの展示記録を達成した(ブルーインパルスファンネット調べ)。

《投稿写真》こうた&ようた
(文/写真)ブルーインパルスファンネット 伊藤宜由/今村義幸