令和6年(2024年)9月19日(木)から9月25日(水)まで、東京新宿御苑前のアイデムフォトギャラリー『シリウス』で、日本航空写真家協会JAAPによる写真展「SKY MOMENTS 2024」が開催される(うち9月22日(日)は休館日)。
 この写真展は、JAAP会員のみならず、我が国の飛行機写真愛好家の航空機写真の高いレベルを示す狙いで、すべての航空の分野(軍用機・民間機等)と、国際航空連盟が認めた航空スポーツ(スカイダイビング・気球等)の総数約40点が出展される。

【日本航空写真家協会写真展】

SKY MOMENTS 2024 [Sirius Presents Photo Exhibition Vol.1009]
会 期:2022/9/19(木)~9/25(水) [9/22(日)休館日]
会 場:アイデムフォトギャラリー「シリウス」
東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F

写真集『Blue Impulse & the Counterparts』が発売に

 本写真展でJAAP BOOKS・第5弾『Blue Impulse & the Counterparts』が発売となる。撮影者・著者には日本航空写真家協会会員カメラマンをはじめ24名が名を連ねる。

 同写真集は、上記のContentsページの展開で構成されている。
①まずは、いくつかの空撮まじえ、F-86時代からT-4時代に至るBlue Impulseの簡略な歴史。
②FULL SHOWとして第1区分の詳細。詳細な課目解説と的確に課目を物語る写真による構成。この項が本書のメインとなる。
③そして近年の大きな出来事としてのTOKYO 2020。
④航空祭以外の全国各地への展開とその際のFlyby Formation。
⑤チームの地元の東松島夏まつりと、Training Daysと題して日常訓練。
⑥さらにthe Counterpartsと題し海外の同類のチーム、ThunderbirdsやBlue Angelsなど有名チームはもとより、クロアチア、フィンランド、インド、中国、カタール、サウジアラビア等々全22チームを収録。
 資料的価値の高い一書に仕上がっている。

 Contentsを見ると、一体どこの国の書籍かと思われるかもしれないが、日本のチームを国際舞台に置いてみたかったということが、本書のそもそものコンセプトだ。
『Blue Impulse & the Counterparts』(ISBN978-4-9910818-4-2)はA4変形横綴じ、全カラー印刷、148ページの写真主体の書籍となっている。定価は3200円(税別)。

 9月19日から開催予定のJAAP写真展『SKY MOMENTS 2024』から販売開始となるが、「代引き宅急便」による予約通販にも対応する。
 価格は、JAAP写真展終了の9月25日までは特別価格として送料込み3,000円となっている。

 入手ご希望の方は、

・お名前
・郵便番号
・ご住所
・電話番号
・ご希望冊数

 上記5項目を明記の上、

jaap.books.seo=at=gmail.com
(=at= を@に置き換えてください)

宛でメールで予約してほしい。

 発送は写真展終了後の9月下旬となる。写真展への来場が難しく、写真集を入手されたい方にはこの予約注文をお勧めする。

制作会議中の筆者(写真左)と日本航空写真家協会会長の瀬尾央カメラマン

 本写真集は日本航空写真家協会会長の瀬尾央カメラマンの統括によって制作された。言わずと知れた航空写真界のレジェンドである。瀬尾さんによる「T-2 BLUE IMPULSE」写真集は、資料性も高く、バイブルとして多くの航空機愛好家に影響を与えた。本写真集では「T-2 BLUE IMPULSE」が制作された経緯なども紹介され、表紙が銀色の枠で囲まれているのは「T-2 BLUE IMPULSE」の後継となるような想いが込められてのことだという。

 筆者は本写真集において、微力ながら課目の解説などをお手伝いさせていただいた。その制作過程の中でいく度となく瀬尾さんと打ち合わせを持たせていただいた。ある時は成田空港近くのホテルのカフェで、ある時は浜松町の瀬尾さんの事務所で。瀬尾さんの事務所は書棚に囲まれ足の踏み場もない。カメラマンというよりはフリージャーナリストの書斎のようだ。そこで数々の逸話をお聞きできた時間は至福であった。T-2ブルーインパルスが始まったときに松島基地に通い詰めた話は、筆者がT-4ブルーインパルスを追いかけはじめて、いてもたってもいられずに松島基地まで行った日々と重なり、共感が持てた。日本人としてはじめて米海軍Blue Angelsの同乗空撮を許されたのも、同じような熱意でアメリカまで通ったからだった。
 レジェンドからの依頼で執筆を引き受けたこともあるが、最後までやり遂げることができたのは、数々の逸話に共感できたからだ。思えば20年前、T-4ブルーインパルスで一番若い3番機パイロットが、出身部隊でF-15を空撮した際に、撮影機を操縦し、後席に瀬尾さんを乗せたことを誇らしげに話していたことが懐かしい。今日でも、瀬尾さんの写真集を手伝ったとあの頃憧れたパイロットたちに報告すると、納得したように何度もうなずくのだ。航空自衛隊50周年でその全航空機を撮影した「JASDF TODAY」ももちろん手にしたが、その往年の例えば航空ジャーナル誌全盛の頃をリアルタイムに知らない筆者でもレジェンドの名は様々なことで感じていた。

瀬尾さんによるグライダー図鑑「Gliders around the World」

 瀬尾さんによるグライダーの写真集「Gliders around the World」によれば、瀬尾さんは20歳代後半、米空軍、海軍、英空軍などで、戦闘機などに同乗空撮することが多かったが、その後33歳にして飛行機・滑空機の日本の操縦士資格を取得し、自家用機も所有して、1987年にはオーストラリア・ベナラにおける世界滑空選手権に日本チームのクルーとして参加したという。瀬尾さんが日本滑空協会公認のグライダーカレンダーを出したり、JAAP写真展においてもグライダーの作品が多いのはこのバックグラウンドによる。

Boeing 707 Barrel Roll - Pilot Tex Johnston Performs Roll In Dash-80 Prototype Aircraft In 1955 - YouTube

youtu.be

 だが瀬尾さんの伝説はこんなものではなかった。余談になるが、この映像はボーイング707の原型機ボーイング367-80がバレルロールした有名な映像である。ネットニュースなどにもなっているのでご覧になった方も多いと思う。この中に背面になったときの地上を撮った写真が含まれているが、これを撮影したボーイング社の広報担当役員が往年の航空ジャーナル誌における「瀬尾央空撮シリーズ」の大ファンであったという。才能ある日本人が国内以上に海外で高く評価されることはままあるが、瀬尾さんもそんな一人だった。ボーイング社の役員食堂で会食に招待され、その時だけはネクタイを着用してくれと頼まれた逸話など、胸のすくような話だ。ボーイング社にとどまらず、関係当局からPAN AMのファーストクラスのチケットが手配されて、それでアメリカに通っていたという、なんとも夢のような話も聞いた。PAN AMといえば空の夢の代名詞であり、幼少の頃に親に羽田空港の展望デッキに連れられて見た空へのあこがれの原点ではないか。レジェンドのレジェンドたる逸話の数々を思い起こすだけでも身震いしてくる。

 本写真集にボーイング367−80の話は出てこないものの、ブルーインパルス唯一の海外遠征において米ネリス空軍基地で同乗空撮した話や、同遠征でブルーインパルスが贈呈用に持っていった写真パネルのために撮影した空撮写真の話など、貴重な証言の数々も含まれる。F-86ブルーインパルスからの歴代ブルーインパルスの空撮写真や、T-4ブルーインパルスの第1区分を中心とした写真とカウンターパートとしての世界のアクロチームの写真も収録され、資料性も高く、興味深く楽しめる一冊になっている。

文・ブルーインパルスファンネット 今村義幸
協力・日本航空写真家協会