令和6年8月3日(土)、宮城県石巻市の石巻川開き祭りでブルーインパルスが飛んだ。松島基地からの離発着で増槽タンクを付けないクリーン形態だった。
 石巻川開き祭りは、大正5年(1916年)に始まったお祭りで、今年は第101回目の開催という。伊達政宗公の命を受け北上川を開削し、石巻に港を開いた「川村孫兵衛重吉翁」に対する報恩感謝を示す由緒ある祭りだ。

 同じ日、秋田県で竿灯まつりが始まったというニュースを見た。先日ブルーインパルスが飛んだ東北絆まつりに参加したお祭りのひとつだ。8月のこの時期、東北各地はお祭りの時期となる。そんなお祭りの中で、ブルーインパルスが飛ぶのが、“地元”石巻市の石巻川開き祭りだ。
 震災前は8月1日固定で、平日であれば夕刻の展示飛行前に飛行訓練中のF-2戦闘機がちょうど花火観覧会場となる開北橋の辺りを通って、松島基地へとアプローチしていく姿が見えた。
 ブルーインパルスが洋上訓練を行う金華山沖が松島基地から35kmほどの距離にあるのに対し、石巻の開北橋は10kmほどしかない。通常の洋上訓練空域となる金華山沖よりも近く、日ごろアプローチの起点として通過しているのが石巻市であり、松島基地とブルーインパルスにとっては感謝の気持ちや地元との一体感を示す展示飛行が石巻川開き祭り展示飛行だ。

松島基地と金華山沖訓練空域と川開き祭り会場の位置関係図(地図引用・GoogleMap)

 石巻川開き祭り展示飛行の特長は、日暮れ前後1時間内の薄暮時間帯に実施される「薄暮展示」であることだ。「トワイライトショー」ともいう。平成18年(2006年)08月01日の石巻川開き祭りでT-4ブルーインパルス初の薄暮展示として行われ、平成21年(2009年)までこれが続いた。震災後は平成26年(2014年)から令和元年(2019年)まで日中の展示飛行として実施され、昨年の令和5年(2023年)8月5日、第100回石巻川開き祭りから薄暮展示が復活した。また第100回から展示飛行は1日から第1土曜日に変わった。
 薄暮展示としては、東京五輪開催決定を受けての都内および薄暮展示シミュレーションとも言われた平成25年(2013年)9月28日のスポーツ祭東京2013(東京国体)開会式、平成30年(2018年)8月9日の第65回よさこい祭前夜祭などがあるが、繰り返し実施されているのは石巻川開き祭りだけだ。

平成25年(2013年)9月28日の、スポーツ祭東京2013(東京国体)開会式の薄暮展示。東京都調布市の味の素スタジアムにて(写真・今村義幸)

 ブルーインパルスは資格維持のために夜間飛行訓練を定期的に行っているが、展示飛行や移動では日没前にしか飛ばない。この日、石巻市の日没は18:43で、展示飛行の開始が17:40、終了が18:04と、薄暮時間帯のはじめ頃にスタートし、日没に余裕をもった30分ほど前に終了している。快晴の空の色は刻々とオレンジ色に変わっていき、機体やスモークが映える美しい薄暮展示飛行となった。

 編隊長は飛行班長の川島良介3空佐が務めた。航空自衛隊HPのブルーインパルスパイロット紹介に『伝統を継承しつつも可能な範囲で進化させた展示飛行を実施してみたい』とあったように、石巻川開き祭りの展示飛行ではそのコミットメントの通り、進化した画期的な展示飛行となった。

川島良介3空佐の令和5年度あいさつ文(出典・航空自衛隊HP)

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 まずフォー・カードやカシオペアといったレア隊形を実施したことに加え(フォー・カードは初めて見た)それを脚出しのダーティ形態で実施した。もう一つは元々は花火会場である開北小学校北側の土手と広場を観覧場所として実施されていた課目を市街地全体から見るように変えた。昨年も後方からの進入を取り入れて多角的に見せていたが、今年はチェンジ・オーバー・ターンとデルタ360°ターンという旋回での編隊連携機動飛行課目を、これまでは旧北上川の北側を回り、南岸から旋回の円全体を見せるところを、市街地を取り巻くようにその周りを旋回したのだ。

石巻川開き祭り交通規制図に見られるお祭り会場。花火観覧場所と石巻駅南東側の一帯がお祭り会場だった(出典・石巻川開き祭りHP)

 以下写真の石ノ森萬画館前の砂像からのアングルであれば、このデルタ360°ターンやチェンジ・オーバー・ターンは従来は右から進入し、奥側へと旋回していた。旋回開始終了点は花火打ち上げ会場所辺りだ。今年は左から進入し、こちら側へ旋回して、石ノ森萬画館や石巻駅は完全に旋回の内側にあった。ブルーインパルスの旋回の内側に立ち、その背中を見る(撮る)ことは、ファンにとっては夢のような立ち位置だ。
 これは石巻駅から石ノ森萬画館までのもうひとつのまちなか会場を取り入れた街全体への見せ方と考えられる。

石ノ森萬画館前に作られたサイボーグ009の60周年記念砂像から見たデルタ360°ターンの開始(写真・今村義幸)

 ここでは読者投稿の写真も踏まえ、第101回石巻川開き祭り展示飛行の全容を振り返える。

第101回石巻川開き祭り 展示飛行 実施課目
(カッコ内は花火観覧場となった開北小学校北側広場から正面を北として見た進入方向)

①レベル・サンライズ(↑)
②ナイフエッジ(→)
③チェンジ・オーバー・ターン(→)
④ビッグ・ハート(↗︎)
⑤フォー・カード・ダーティ・ローパス(↑)
⑥デルタ360°ターン(→)
⑦ピラミッド・ダーティ・ローパス(↑)
⑧フェニックス・ローパス(↗︎)
⑨サクラ(←)
⑩720°ターン(→)
⑪カシオペア・ダーティ・ローパス(→)

①レベル・サンライズ(↑)

 1課目目のレベル・サンライズは昨年と同じく海側からの進入だった。旧北上川東岸を上ってきて石ノ森萬画館のある中瀬辺りでブレイクした。
 花火観覧会場の土手の下に見えるのは、令和2年(2020年)で解消となった仮設大橋団地の跡地だ。奥には開北小学校が見える。
 レベル・サンライズは1番機、2番機、3番機、4番機、6番機による5機の課目だ。

旧北上川を上り中瀬でブレイクしたブルーインパルス(写真・今村義幸)

花火観覧会場の土手の上から見たレベル・サンライズ。土手に上がるには有料の花火観覧席のチケットが必要だ(写真・伊藤宜由)

②ナイフ・エッジ(→)

 次に5番機、1機によるナイフ・エッジが来た。西から東に向かっての進入で、広場の西側にある石巻消防署の上を通って花火観覧会場真上を飛んでいる。
 2枚目の写真は石ノ森萬画館につながる西中瀬橋から見たものだ。石巻駅から南東のだいぶ南に下がった西中瀬橋であるが、見通しも良く、ナイフ・エッジの全景も見えていた。

石巻消防署から花火観覧会場へと進入するナイフ・エッジ(写真・今村義幸)

西中瀬橋から見たナイフ・エッジ。夜の花火もこの方向でこの高さに見えていた(写真・今村義幸)

③チェンジ・オーバー・ターン(→)

 5機と1機と進めたブルーインパルスは、ふたたび5機でチェンジ・オーバー・ターンを実施した。編隊連携機動飛行では定番の課目だが、最近は増槽タンク付きでは実施していなかった。松島基地からの離着陸でクリーン形態での実施だからこその課目だ。
 今年の石巻川開き祭りが画期的だったのは、その旋回方向にある。従来なら北側へ旋回するところを南側へ旋回したのだ。ブルーインパルスの常識とは逆方向である。370ktほどで70°バンクで旋回するチェンジ・オーバー・ターンの旋回半径は1.3kmになり、右旋回を花火観覧会場辺りからはじめると石巻駅東側のまちなか会場も含め石巻市街地を一周する。街中の露店や路地からもブルーインパルスの姿が見られたはずだ。この右旋回により従来の花火観覧会場のみを主体とした展示から、ブルーインパルスの御守りで有名な石巻羽黒山神社や石巻駅をも回る石巻全体での展示へと進化した。これによりこれまでにない画期的な石巻川開き祭り展示飛行となった。

花火観覧会場辺りから右旋回してくるチェンジ・オーバー・ターン(写真・今村義幸)

旧北上川の東岸を経て石ノ森萬画館の南側を回るチェンジ・オーバー・ターン(写真・今村義幸)

石巻羽黒山鳥屋神社のある羽黒山や石巻駅辺りを回るチェンジ・オーバー・ターン(写真・今村義幸)

花火観覧会場の土手から石巻駅方向で見たチェンジ・オーバー・ターン。従来はこの背中側を反対方向に旋回した(写真・伊藤宜由)

④ビッグ・ハート(↗︎)

 5機→1機→5機と進めたブルーインパルスは、ここで5機側にいた6番機と1機でナイフ・エッジを実施した5番機と空中集合し、ビッグ・ハートを描いた。形も良くスモークも良く残った大きなハートが石巻を包んだ。
 高田宏之さんからご投稿頂いたビッグ・ハートは、事前申し込みが必要な有料臨時駐車場もあった石巻市総合運動公園の一角から撮影されたものだ。開北橋上流北側のエリアからでも、良く見えたことがわかる。駐車場も近く家族連れにも最適な場所で、のんびりと見た様子が伝わってくる。
 この日、風はおだやかで、先日の天橋立よりもスモークが良く残って見えた。気温の差と柔らかい陽によるものだろうか。

セイホクパーク石巻 (石巻市総合運動公園)こども広場 わんぱくエリアにて撮影したビッグ・ハート《写真・高田宏之》

 東京の暑さを逃れて石巻の川開きにお邪魔しました。メイン会場からは離れているためかのんびりした空間にて夏の夕日につつまれビックハートを見つめる親子。良き空間を堪能させていただきました。

花火観覧会場の土手から石巻駅方向で見たビッグ・ハート(写真・伊藤宜由)

石ノ森萬画館前から見たビッグ・ハート。文字通りビッグで画角に入りきらなかった。ハートの下は羽黒山辺りだ(写真・今村義幸)

⑤フォー・カード・ダーティ・ローパス(↑)

 2機の次に組み合わされた4機の課目はフォー・カード・ダーティ・ローパスだ。フォー・カード隊形だけでも珍しくこれまでに見たことがないが、これをさらに脚出しのダーティ形態で実施した。刻々と日が沈み柔らかい空色となる中、着陸形態のダーティ形態でフラップ(高揚力装置)を下げ、斜め下に太く噴射されるスモークが際立ち美しい。
 このフォー・カード・ダーティ・ローパスを含めダーティ形態を3つも取り入れたこともこの展示飛行の画期的なところだった。空気抵抗も大きい中、増槽タンクなしのクリーン形態でこれをできたのも洋上訓練空域よりも近い石巻ならではといえよう。
 フォー・カードを以前に見たことがある方は是非とも情報をお寄せ頂きたい。

西中瀬橋から見たフォー・カード・ダーティ・ローパス(動画・Yuka Miyamoto)

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花火観覧会場の土手から見たフォー・カード・ダーティ・ローパス(写真・伊藤宜由)

⑥デルタ360°ターン(→)

 2機と4機が空中集合し6機全機での課目がスタートだ。その最初となるデルタ360°ターンもまたチェンジ・オーバー・ターンと同様に市街地を一周する右旋回で実施された。

花火観覧会場の土手から見たデルタ360°ターン(写真・伊藤宜由)

石ノ森萬画館前から石巻駅方向で見たデルタ360°ターン(写真・今村義幸)

⑦ピラミッド・ダーティ・ローパス(↑)

 デルタ360°ターンで市街地を一周したブルーインパルスはいったん海岸へ出て、折り返して旧北上川東岸を北上してピラミッド・ダーティ・ローパスを開始。まず、着陸灯のライトが見え、そして太いスモークが流れ始めた。

西中瀬橋から見たピラミッド・ダーティ・ローパス(動画・Yuka Miyamoto)

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石ノ森萬画館前に造られたサイボーグ009原作60周年記念砂像とピラミッド・ローパス。砂像の一番上には002ジェット・リンクが同じ方向で飛んでいる(写真・今村義幸)

花火観覧会場の土手から見たピラミッド・ダーティ・ローパス(写真・伊藤宜由)

⑧フェニックス・ローパス(↗︎)

 続いてのフェニックス・ローパスは少し角度を変えて、旧北上川西岸を斜めに上がってきた。ピラミッド・ダーティとの違いでスピード感がありスモークの太さも若干細くなる。
 サクラの助走ともいえる課目でいよいよ北東側から折り返してサクラを市街地上空に大きく描く。

西中瀬橋から見たフェニックス・ローパス(写真・今村義幸)

花火観覧会場の土手から見たフェニックス・ローパス(写真・伊藤宜由)

⑨サクラ(←)

 20年前の夏、サクラは航空自衛隊50周年記念の新課目として開発され、初披露された。今年サクラ20周年は航空自衛隊70周年だ。
 今回読者投稿がもっとも多かったのがサクラであり、偶然にも同じ4番機志望の男の子とサクラの写真がお二方から投稿された。サクラが人気課目となり多くの人から愛される課目になったことが嬉しい。
 そして、サクラは夕暮れの空に映える(バエる)!
 サクラは当時4番機パイロットが発案し、3番機パイロットが左旋回を提案し、これにより円の描き始めが奥側になり見栄えが向上し、1番機飛行班長が奥様の開発中のサクラを見た感想から中心の円を追加する着想に繋がり、5番機パイロットが花のイメージから娘さんの名前を課目名に付けたことが日本の国花や自衛隊のシンボルでもある桜に重なり完成した。
 投稿写真を拝見し、真ん中に円を描く4番機がその着想の発祥であることを、男の子に伝えたいと思った。

サクラ。4番機パイロットになる!
夢が叶うその日まで…見上げ続けるブルーインパルス《写真・HIROmama》

 ブルーインパルス活動の時は常に自分で描いたTシャツを着ていることから、お声掛け頂き写真を撮って頂いたりしました。皆様から温かな応援の言葉もたくさん頂き、大きく描かれたサクラに、見上げる眼差しと背中は真剣です。

夕暮れに染まったサクラを見上げる男の子のまっすぐな眼差しに感動《写真・小野寺ひとみ》

 偶然出会った男の子。着ていたTシャツは#4。
『ブルーインパルスの4番機のパイロットさんになりたいんです』と教えてくれました。Tシャツは自分で描いたんだそうです。空を見上げる姿と憧れの眼差しに胸が熱くなりました。
 夢と希望を与えるブルーインパルス。
 この子の成長と共にこれからもたくさんの方々を笑顔にしてください。
 夢が叶うといいね!

ブルーインパルス6機の輪《写真・髙辺騎亜》

 昨年熱中症により海岸付近で見てました。6機の輪を夕暮れ時に見るのは珍しいと思い投稿いたします。

夕空にデッカいサクラ《写真・@key_blue1311》

 会場で偶然会えた友達とサクラのコラボレーション。クッキリなスモークで綺麗でした。

西中瀬橋から羽黒山と石巻駅方向に見たサクラ。直径は1.5kmにもなる。石巻市街地全体の上に大きなサクラが咲いた(写真・今村義幸)

⑩720°ターン(→)

 5番機によるソロ課目の720°ターンも盛り込まれた。夕陽をバックに西からの進入とした。これで1機、2機、4機、5機、6機の課目が盛り込まれた。残る3機構成の課目は8月25日(日)の松島基地航空祭で曲技飛行展示の中で見せてくれるはずだ。

花火観覧会場の土手から見た720°ターン(写真・伊藤宜由)

西中瀬橋から見た720°ターン(写真・今村義幸)

⑪カシオペア・ダーティ・ローパス(→)

 最後の課目はダーティ形態で締めくくられた。珍しいカシオペア隊形だ。星座のカシオペア座を5機で“W”とかたどる。
 ブルーインパルスを撮っていると時々ファインダーの中に奇跡的な光景を見ることがある。夕刻にダーティ形態で着陸灯のライトが際立つという狙いはわかる。だがこの日はその意図を超えて、日頃から整備員たちよって磨き上げられた機体が夕日にキラキラと輝いた神々しい光景だった。
 動画のファイルスタンプつまりこの課目を撮り終えてファイルが作成された時刻は18:04分で、日没の29分前だった。
 

西中瀬橋から見たカシオペア・ダーティ・ローパス(動画・Yuka Miyamoto)

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トワイライト・カシオペア・ダーティ・ローパス《写真・小野寺ひとみ》

 夕日を受けオレンジに染まるスモークの奇跡。願いが叶いトワイライトブルーが見れた幸せと感動の瞬間でした。この日ラストの演目でした。

展示飛行のラストはカシオペア・ダーティ・ローパス《写真・高田宏之》

 普段お目にかかれない夕日に照らされる演目に感謝。

 カシオペア・ダーティ・ローパスを終えたブルーインパルスはいったん洋上に出て、ふたたび旧北上川の西岸をばらけた単機ずつで戻ってきて、ブルーインパルスの御守りを頒布する石巻羽黒山神社の羽黒山を回り、石巻駅の上を通って松島基地に降りて行った。

石巻羽黒山を回って松島基地にアプローチするブルーインパルス(写真・Yuka Miyamoto)

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 その光景もまた神々しくもあり、石巻とブルーインパルスの関係をも物語っているようにも見えた。カメラを構えることも忘れた光景だが最後の1機の映像が残っていたので紹介したい。

石ノ森萬画館の仮面ライダー展示コーナー(写真・今村義幸)

 夜の花火大会では第101回の開催とあって“101回目のプロポーズ”に合わせた101個の大玉が打ち上げられるなと地元企業の協賛によって盛大に花火大会が開かれた。
 翌日、石ノ森萬画館を改めて訪れた。先の東京五輪年生まれの筆者はサイボーグ009と同年齢であるが、石ノ森章太郎作品で最も記憶に残るのは仮面ライダーだ。幼少の頃、それが初めて我が家にテレビが来た日か、カラーテレビに置き換わった日か定かではないが、裕福ではない我が家はテレビも電話も遅い方だった。仮面ライダー第3話「さそり男」の日、そのテレビは来た。母が新聞のテレビ欄を広げて子供のために仮面ライダーを選んでくれた光景は強く子供心の記憶に残っている。石ノ森章太郎の天才ぶりを如実に示す仮面ライダーの原画(撮影禁止だった)やビルの壁を垂直に登るサイクロン号の映像を館内で見て、自分の原点ともいえる懐かしい記憶を思い出させてくれた。
 この原稿を書いている中、パリオリンピックが閉会した。フランス人が日の丸を頬に書いて応援してくれている姿も見た。日本贔屓(びいき)は、古くはエッフェル塔が建設されたパリ万博でゴッホやクロード・モネに影響を与えたという浮世絵によるところも大きく、今日ではMANGA(漫画)によるところが大きいのではないか。
 石ノ森章太郎は漫画界の発展に寄与した中で、漫画を文化としてアピールし、特撮映像などとのメディアミックスも確率させた。石ノ森萬画館の館内には石ノ森章太郎を慕う作家たちの色紙がたくさん寄せられていた。

マクロスシリーズの河森正治監督より石ノ森萬画館に贈られた色紙(写真・今村義幸)

 石ノ森萬画館に向かう途中「捜索済」の貼り札がされた空き家や石ノ森萬画館契約駐車場の看板を掲げながら月極駐車場になっている駐車場を見かけた。萬画館に問い合わせると震災前の看板で今はもうやっていないところではないかという。看板を取り外すこともなく、それどころではなく、月日が流れたことがうかがわれた。
 仮設住宅暮らしが終わり、やっと薄暮展示が再開されて2回目の石巻川開き祭りは、復興のステージがまだこれからであることを思わせるものだった。

 来年もさらに進化し石巻を元気にしてくれる石巻川開き祭りと展示飛行を期待している。

第101回石巻川開き祭り 展示飛行 実施メンバー

1番機 川島良介3空佐(飛行班長)、松浦翔矢2空尉
2番機 松永大誠1空尉
3番機 藏元文弥1空尉
4番機 佐藤裕介1空尉
5番機 藤井正和3空佐、浅香光司1空尉
6番機 加藤拓也1空尉
地上統制官 江尻卓2空佐(飛行隊長)
地上サポート 鈴木謙治2空曹(整備員)
地上サポート 横澤弘恭3空曹(飛行管理員)
ナレーター 鴇田大明2空曹(整備員)

読者投稿受賞作品(防衛日報社賞)

 応募で防衛日報社賞に輝きましたのは、高田宏之さんの「展示飛行のラストはカシオペア・ダーティ・ローパス」です!
 高田宏之さんには防衛日報社賞の記念品を贈らせて頂きます。

《投稿写真》高田宏之、HIROmama、小野寺ひとみ、髙辺騎亜、@key_blue1311(掲載順)
(文/写真/動画)ブルーインパルスファンネット 今村義幸/伊藤宜由/Yuka Miyamoto