関東大震災から100年の節目──自然災害への備えが急務

 未曾有の被害が発生した関東大震災から、令和5年9月1日で100年の節目を迎える。今後発生が予想される南海トラフ巨大地震や首都直下地震をはじめ、自然災害はいつどこで発生してもおかしくはない。

 平成23年に発生した東日本大震災はまだ記憶に新しいが、それでも時間の経過とともに人々の防災意識は薄れつつある。防災の取り組みは一人ひとりが意識を高めることが大切だ。

 自然災害への備えが急務といえる昨今、自然災害から防犯などあらゆる危機対策についての情報発信をするオンラインの総合展示会「危機対策&アウトドア総合展online」が、いま注目を集めている。

 「危機対策&アウトドア総合展online」は防災などに関連する企業17社が集まり、チーム一丸となって活動。そのリーダーを務めるのが、防災・感染・救急関連の商品企画や製造販売、啓蒙活動、コンサルティングなどを手掛けるアスプラウト株式会社の代表・喜多村建代氏だ。

 今回は、喜多村氏をはじめ「危機対策&アウトドア総合展online」のメンバーに、それぞれの思いや取り組みを聞いた。

危機対策&アウトドア総合展onlineのリーダーを務めるアスプラウト代表・喜多村氏

 喜多村 私たちは危機対策に対し同じ志を持っているメンバーです。私一人の力でできることは限られますが、あらゆるプロフェッショナルが集い、助け合うことで、さまざまな災害対策に対応できるようになります。

 災害対策自体は、皆さんが個々にやっていることもあると思いますが、やはり何かあった時は助け合わなければ人は生きていけません。その部分もお伝えできればいいなと思っています。

 また、災害対策というのはネガティブなイメージがあり、お伝えしても後回しにされてしまうのを感じておりました。

 私たちがお伝えしたい防災や災害時の内容というのは、アウトドアでも通じる部分があるのですが、イメージとしては全く違うものとして捉えられています。

 そこで、アウトドアの楽しみ方も含めながら、皆さんが危機対策としての意識をどんどん身近に感じてもらうために、「危機対策&アウトドア総合展online」という活動をスタートさせました。

 現在「危機対策&アウトドア総合展online」は月に1回、第3金曜日の14時~17時に開催しています。オンラインにて発信することにより、日本中どこからでも参加でき、メンバーがお伝えしたい重要な話や貴重な講演を視聴していただいて、一人でも多くの方に危機対策を伝えていけたらと思っております。

危機対策&アウトドア総合展onlineホームページ
https://foex.online/k.o

危機対策&アウトドア総合展onlineホームページより

foex.online

地震火災の出火原因の半数以上は電気火災によるもの

 ここからは、「危機対策&アウトドア総合展online」各メンバーの活動や取り組みなどを紹介する。

 チームのリーダーである喜多村氏は、アスプラウト株式会社の代表も務め、防災講演などさまざまな活動に尽力。同社が自信を持って提供している防災グッズが「感震ブレーカー」と「いつでもランプtsuita(以下tsuita)」だ。

 ──これらの商品に携わったきっかけは何だったのでしょうか。

 喜多村 地震による火災というと、灯油やガス器具などが原因だと思われがちですが、実は地震火災の出火原因の半数以上は電気火災によるものなんです。なぜ、電気による火災が発生するかというと、地震による建物の損壊や家具の転倒などで、漏電やショートを起こして発火します。

 震災時の火災で有名なのは平成7年に発生した阪神・淡路大震災です。当時、オール電化住宅というのはほとんどなく、IHクッキングヒーターもそれほど普及していません。調理器具はガス、暖房器具も灯油やガスが主流でしたが、火災原因の6割以上は電気によるものでした。

 その後の数々の大地震による火災原因も大半は電気です。今はさらに電気社会なので、火災=電気というイメージを植え付けていかなければと思います。

 そして、地震による電気火災の解決策となるのが感震ブレーカーです。

 各ご家庭にもある分電盤の役割は、各配線へ電気を分けることのほか、漏電を検出して電気を止める「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」というものも備わっています。

 感震ブレーカーは震度5以上の揺れを感知すると疑似漏電が発生し、漏電遮断機を作動させることで強制的にブレーカーを落として電気の供給をストップさせます。この仕組みは特許を取得しています。

地震時の電気火災を防ぐ感震ブレーカー

「通電を止めるなら明かりを消さない仕組みも整えないと命は守れない」

 喜多村 でも、感震ブレーカーが普及しない理由の1つが、「通電を止めると電気が消えてしまう」というデメリットでした。皆さんからは「夜に電気が止まって真っ暗になったら、けがをする危険があるじゃないか」というご意見を多くいただきます。

 感震ブレーカーの効果はすごく高いのですが、やはり通電を止める装置を作るのであれば、併せて電気を消さない仕組みを整えなくては命を守れない。そして、懐中電灯のように非常時だけ使うものではなく、日常使いで有事の際に自動で切り替わって電気を消さないようにする商品が必要だと感じました。

 その解決となるのが「tsuita(ついた)」です。tsuitaは電球(E26金口)の照明器具に付け替えるだけで、普段はLED照明として使え、停電すると自動的にバッテリーに切り替わり最長6時間点灯します。

 感震ブレーカーとtsuitaを併用することによって、地震時の電気火災を防ぎながら、停電時の明かりも確保することができます。

 ──「tsuita」は習志野駐屯地でも導入されたそうですね。

 喜多村 電力の供給自体がストップしてしまったら駐屯地でも停電は起きます。駐屯地のように24時間稼働している拠点となる場所でこそ「いつでもランプtsuita」を役立ててほしいですね。

感震ブレーカーとtsuitaを併用すれば、ブレーカーが落ちても明かりを確保できる

「お母さんからお子さんまで手軽に摂れる熱中症対策グッズを」

 海外輸入製品の豊富な経験と知識を活かし、高性能な工業用機器の輸入や、取り扱いについてのサポートなどを手掛ける株式会社カイデア

 代表の開作豪之氏は、幼少期から好きだった機械いじりの趣味が高じて2004年に内視鏡メーカーに就職。国内外の工場、工業内視鏡を使用するさまざまな業界に出入りしていた工業用内視鏡のスペシャリストだ。

 問題点を洗い出したり、良い商品を発掘したりする「アイデア」に長けていることから、開作×アイデア=カイデアというのが社名の由来となっている。

 良いものを取り入れ、多くの人に知ってもらいたい――そんな思いから、熱中症対策ゼリー「みんなの相棒・塩ビタミンゼリー」の取り扱いをスタートした。

カイデア代表・開作氏

 開作 「みんなの相棒・塩ビタミンゼリー」は、名古屋にある老舗駄菓子メーカーの共親製菓株式会社と株式会社ノダキが共同開発した「現場の相棒・塩ビタミンゼリー」のサブブランドとして誕生しました。弊社は東日本の正規販売店として、「現場の相棒・塩ビタミンゼリー」ならびに、自社製品として「みんなの相棒・塩ビタミンゼリー」を取り扱っています。

 夏場の工事現場や建設現場、工場などでは熱中症対策として塩飴を配布したりしていますが、現場からは「あめを舐めながら作業するのは難しい」「もっとおいしいものはないのか」という声が挙がり、現場の相棒が開発されたという経緯があります。

 男性はもちろん、女性やお子さんにも使っていただいきたいと考えていたのですが、「現場の相棒」という名称だとどうしても「現場向け」というイメージがありましたので、「みんなの相棒」というネーミング変更とともにオリジナルのパッケージで展開しました。

 1包装10gで各種ビタミンと塩で構成されています。夏の熱中症予防として、塩分とミネラルを効率よく素早く摂取できるのが特徴です。

 塩分補給が目的でもありますが、食べた感じはそれほど塩分を強く感じることはなく、ゼリータイプでお子さんでも食べやすい商品です。老舗駄菓子メーカーが開発しただけあり、おいしさという部分もこだわっています。

 電動工具メーカーさんがノベルティとして取り扱ってくれたり、自治体や介護施設、スポーツ団体、自衛隊の駐屯地でも導入していただいた実績もあります。

 そのほか、シールド乳酸菌(森永乳業が保有する数千株の中から選ばれた乳酸菌)とGABAをおいしく摂取できる「みんなの相棒・乳酸菌GABAゼリー」という商品もあります。こちらはシールド乳酸菌が1本で20億個、5本で100億個含まれており、GABAにはストレスや疲労感を低減する働きがあると言われています。

※シールド乳酸菌は森永乳業(株)の登録商標です。

熱中症対策商品「みんなの相棒・塩ビタミンゼリー」

──開作社長は工業用内視鏡のスペシャリストとのことでしたが、どのような場所や用途で使われるものなのでしょうか。

 開作 ミクロン単位の傷を鮮明に見ることができる産業用の内視鏡で、主に航空機のエンジンなど原動機の品質保証・品質管理やメンテナンス用途に使っていただいています。

 自衛隊のヘリコプターや航空機のエンジンメンテナンス、そのほか重機のバレルのゴミや残留物の詰まりなどのライフリングチェック、大型タンクや貯蔵庫のチェックなどにも使われています。

 防災商品と工業用内視鏡以外にも有限要素法解析ソフトウエアなども取り扱い、今後はUVC(紫外線)の光源を用いた滅菌システムの総代理店も展開していく予定だ。

 カイデアはこれからもアイデアを出し続け、さまざまな問題解決に取り組んでいく。