ミサイル部隊配備、15旅団増強、補給処設置

3文書でも計画

 【2023年1月10日(火)1面】 陸自15旅団を師団に改編、島嶼(しょ)防衛用高速滑空弾を装備した部隊や島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)および極超音速誘導弾を装備した長射程誘導弾部隊の新編、持続性・強靭(じん)性を強化するため、補給処支処を新編…。

 昨年12月16日の閣議で改定が決まった「安保3文書」の一つ、「防衛力整備計画」には防衛力抜本的強化の大方針として、南西地域や島嶼部に向けたさまざまな計画が盛り込まれた。

 中国海軍が南西諸島周辺を頻繁に行き来し、「台湾有事」の際には、尖閣諸島(沖縄県石垣市)などへの影響が指摘されている。

 防衛日報社のインタビューで、河野克俊元陸幕長は「米中対立を考えたときに、戦略地図を概観すれば日本は対中という関係では『最前線』に立った。日本は逃げられない」と警鐘を鳴らした。多くの島を抱える地理的特性。南西地域の防衛こそ、中国を限りなく意識したわが国の防衛政策の今や「一丁目一番地」となっている。

与那国島への対応

 日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)は台湾から約110キロの位置にある。わが国の領海・領空の境界に最も近い場所として、航行する船舶の監視や各種の兆候を早期に察知する重要な任務を持つ一方で、台湾有事の際は、影響は避けられない可能性がある地域でもある。

 昨年9月21日、同島を訪れた浜田靖一防衛大臣は沿岸監視にあたる与那国駐を視察し、「この地域への部隊配置は、わが国への攻撃を抑止する効果を高める。防衛体制を目に見える形で強化していく」と隊員を激励した。

有事に向け、浜田防衛大臣は隊員を激励した=与那国駐(防衛省ホームページから)

 浜田大臣によると、与那国島には駐屯地に有事の際、相手の通信やレーダーを妨害する電子戦部隊を今後、配備する予定という。同島では陸自だけでなく、空自も沿岸監視にあたっている。「日本に侵害を加えることは容易ではないと相手に認識させる」。すべては、台湾有事の際、他国軍に圧力をかけられる体制の構築にほかならない。

土地取得費を計上

 防衛省などによると、同省の青木健至報道官は昨年12月27日の記者会見で、与那国駐に地対空ミサイル部隊の配備を計画していることを明らかにした。

 配備に向け、昨年12月23日に閣議決定された令和5年度予算案には駐屯地に隣接する土地の取得費を計上。ミサイルの保管や訓練に必要な施設などを建設する計画だ。

 南西地域のミサイル部隊の展開は、海洋進出を強め、台湾有事を含めた中国を限りなく念頭に置いた対策であることにほかならない。

 陸自は平成28年に与那国島に沿岸監視隊を編成して以降、奄美大島(鹿児島県奄美市)、宮古島(沖縄県宮古島市)にミサイル部隊を配備した。さらに、石垣島(同石垣市)でもミサイル部隊の配備を視野に、駐屯地の整備を進めている=図参照。