毎年11月頃に開催される「自衛隊音楽まつり」。11月1日の自衛隊記念日の関連行事として行われ、音楽隊の演奏を通じて防衛省・自衛隊の活動を広く国民に知ってもらう重要な機会です。しかし、コロナ禍の影響により、令和2年度、3年度は中止となっていました(「青少年のための3自衛隊合同コンサート」に代替)。

 そして今年11月18、19の両日、ファンも待ち望んだ公演が3年ぶりに開催されました。感染防止のため、1席ずつ間隔を空けるなどの対策が取られたため、全6公演の観覧者は約1万3000人と、例年の3分の1程度に。ただでさえプレミアムチケットと呼ばれるこのイベント。今年、抽選に当選した方は幸運の持ち主と言えるかもしれません。

 われわれ編集部も待ちに待った「自衛隊音楽まつり」。このほど取材の機会を得られたので、公演のダイジェスト版の動画と、数々の写真とともに、当日の様子をお届けします。

テーマは「WITH 回せ、響き。動かせ、新世界-新しき世代、その力と共に-」

 コンサート冒頭、舞台袖から登場したのは、三宅由佳莉2海曹=写真上。自衛隊として初めて声楽枠で採用された、自衛隊の音楽隊におけるボーカル職種のパイオニア。「海自の歌姫」として有名です。実は三宅3曹は、前回の2019年の自衛隊音楽まつりには参加していないため、じつに4年ぶりの出演となりました。

 これまでコロナ禍で音楽隊として活動が制限されていたことへの思い、そしてこの会場で再び皆さんと出会えたことへの感謝などをあいさつ。音楽隊の全隊員の代表として思いを伝えました。さあ、圧巻のステージのはじまりです。

序章:響きの帰還

 序章では陸海空自衛隊の音楽隊が揃い、「ポニョの飛行」「エンド・タイトル(「映画インデペンデンスデイ」より)」を披露=写真上。国旗入場、国歌吹奏ののち、陸海空自4人のボーカル(鶫(つぐみ)3陸曹=写真下=・三宅2海曹・橋本2海曹・森田3空曹)が「新時代(Ado)」を熱唱しました。

第一章:刻まれた響き。友と共に

 第一章では、はじめに陸自東方音楽隊が登場=写真上。「怪物」「ナヴァル・ブルー」のほか、人気アニメのテーマ「紅蓮華」「炎」を披露。また、東方らっぱ隊は「君が代」を演奏。いわゆる「ラッパ君が代」と呼ばれ、朝夕の国旗の掲揚・降下時にも吹奏される、自衛隊ではおなじみの楽曲です。

 続いての登場は、毎年パワフルなステージで会場を魅了する「在日陸軍軍楽隊」=写真上。今年は、本場の「スタンド・バイ・ミー」をはじめ、「ミスター・ブルー・スカイ」「HOPE」を披露し、聴衆の目と耳を釘付けにしました。

 こちらはゲストバンド2組目の「米海兵隊第3海兵機動展開部音楽隊」の女性ボーカル=写真上。「ネイチャーボーイ」をしっとりと歌い上げ、また演奏部隊はドラムや管楽器で情熱的な「スペイン」、「海兵隊賛歌」を披露しました。

 続いては空自中央音楽隊。行進曲「マーキュリー」、「カイト」で次々と変わる陣形で息の合った様子を披露。その後の「オリンピック・ファンファーレ(ロサンゼルスオリンピック)」では、大きな幕を使った演出で、我々の記憶にも新しい、東京オリンピック2022で飛行した「ブルーインパルス」を再現=写真上。あの勇姿が再び、目の前に現れました。

 そして最後は、第一章の出演音楽隊が勢揃いし、今年の大ヒット映画「トップガンマーベリック」から「トップガン・アンセム」を披露=写真上。心地よい軽快なサウンドで、会場は晴れやかな空気に包まれました。