【2021年12月24日(金)1面】 今年は東日本大震災から10年という節目の年だった。各地で3月11日を中心にさまざまな行事が行われ、地本もまた支援・協力を行った。防衛省・自衛隊は史上最大のオペレーションの中、未曽有の大地震に立ち向かった。「あの時」、施設や装備が大きな被害を受けながら、救助活動に邁進まいしんした被災地の自衛隊を12月11、12の両日、岸信夫防衛大臣が視察に訪れた。節目の最後にあたり、大臣は隊員たちを鼓舞し、災害に対して日頃から万全を期すことを改めて強調した。

被害受けた駐屯地や基地で隊員らを激励

 岸大臣は12月11日、仙台、多賀城両駐を視察した。多賀城駐では東日本大震災で敷地内に津波が流入。多くの施設や装備が水没するなど、大きな被害を受けた。それでも、ボートによる救出活動を夜を徹して行い、多くの被災者を救出した。

 大臣はこの日、所在する部隊の活動状況について報告を受けたほか、所属する隊員に対して訓示した。

 防衛省ツイッターによると、両駐が所属する東北方面隊は、東北6県の防衛・警備、災害派遣、民生協力(不発弾の処理、行事の支援、教育支援など)を担当。「東北各地の13個駐屯地で、約2万人の隊員がその任務を全うするため、揺るぎない信念と気概をもって日々訓練や各種活動に邁進(まいしん)している」としている。

 大臣は12日には、震災の津波で多くの航空機が水没するなどの被害を受けた空自松島基地を訪問。所在するアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」の航空機や救難機を視察するなど、部隊の活動状況について報告を受けたほか、所属する隊員に対して訓示を行った。

防衛省・自衛隊ホームページより

 防衛省によると、大臣は視察後、松島基地11飛行隊格納庫で行った臨時記者会見で、今回訪問した仙台、多賀城両駐について「多岐にわたる重要な任務を担っている部隊が数多く存在しており、東北防衛の重要な拠点」とし、また、松島基地は「東日本大震災で甚大な被害を受けながらも、被災地への救援活動の拠点として大きな役割を果たした、いわば『復興の象徴』といえる基地」と強調した。

 その上で、「東北の地で、24時間365日、一瞬の隙もなく、常に緊張を強いられながら、また、コロナ禍での厳しい環境の中でも、わが国の平和と独立を守り、国の安全を守るという崇高な任務に取り組んでいる隊員を激励できたことは、大変意義のあるものだと考えている」と述べた。

 大臣は、松島基地の視察に先立ち、東松島市の「東日本大震災復興祈念公園」を訪れ、震災の犠牲者へ追悼の意を込めて慰霊碑に献花を行った。

 会見では、これらのことを踏まえ、「想定していなかったような大きな震災に対し、自衛隊がきちんと対応できたのは、日頃からの訓練の積み重ねがあったからだ。改めて、いつ起こるかわからない災害に対して、日頃から万全の備えをしておくことが重要であると再認識した」と締めくくった。

防衛省・自衛隊ホームページより

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 東日本大震災の被災3県にとっては、かつての日常を取り戻すための復旧、復興の10年でもあった。節目の年の最後、大臣の視察に現地の部隊や隊員は改めて、被災地とともに歩むことを誓った一日だったのではないだろうか。ここでは、特別に3県の地本からの投稿を紹介する。

ラグビー会場で広報|岩手地本

 岩手地本釜石地域事務所(所長・河口1空尉)は11月28日、鵜住居(うのすまい)復興スタジアム(釜石市)で開催された「ラグビッグドリーム2021・釜石絆の日」に併せた「震災復興支援働く車両展」(釜石市主催)に本部、釜石所が岩手駐の支援を受けて参加した。

 行事は、ラグビーワールドカップ2周年を記念したラグビー親善試合の実施に併せ、地域、国家の公安活動で活躍している車両の展示について、自衛隊のほか、釜石警察署、釜石消防署、釜石海上保安部が参加した。

 自衛隊からは、低空レーダー装置(JTPS-P9)、93式近距離地対空誘導弾、81式短距離地対空誘導弾などの装備品を展示するとともに、募集広報ブースを設置し、自衛隊を広報した。

 イベントに訪れた地元の高校生は、「現在、進路が決まっていませんが、自衛隊の広報ブースや各公安官庁のブースを見て回ることができて、進路設計の参考になりました」と語った。

 また、募集広報ブースでは臨時勤務中の東北方面特科連隊の大坪3陸曹が中高生に対する積極的な声がけで多くのアンケートを取得するなどの活躍を見せた。

 釜石市スポーツ推進課代表からは「自衛隊のおかげで釜石のスポーツイベントが盛況のうちに終わりました。いつもご支援ありがとうございます」と感謝の言葉があった。

 イベントでは、元ラグビー日本代表の五郎丸歩選手が、地元選手団のラグビークリニックに来訪し、花を添えた。

 岩手地本は「引き続き地域振興イベントに対して全面的に協力し、次世代を担う若者に対する自衛隊の認知度の向上につながる広報活動を継続していく」としている。

児童に制服を着せる臨時勤務の大坪3曹

制服試着をした地元高校生らと記念撮影


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