はじめに

お疲れ様です。
元消防士のよろずです(`・ω・´)b

普段は火災予防について書いているのですが、今回は新型コロナウイルスと戦っている救急救命士の方へ取材した内容をお伝えします。

現在、各地域で医療崩壊が進んでいます。
普段なら助かる急病や交通外傷なども受け入れ先が少なくなり、助かるものも助けられなくなってきているのが現状です。

ぜひこの記事を最後まで読んで頂き、医療機関の過酷な現状と今自分がどのような行動すべきかを考えるきっかけになれば幸いです。

現役救急救命士が一番伝えたいこと

現役救急救命士のQさんが伝えたいことは4つありました。

①「私」は入院できると思っている人が多数いる。

②感染者のモラル

③救急隊の活動の変化

④報酬の件

それぞれの内容をまとめて紹介します。

①入院が出来ない?!

ニュースでも良く取り上げられていますが、医療崩壊が進む中で新型感染症に感染した方々を受け入れられる病院が格段に減りました。

そんな過酷な現状が紹介されていても、自分だけはなんとかなる、いざという時は入院できると思っている方々が多くいます。

特に救急車を呼べば入院できると思っている人が多いそうです。

救急車を呼んだとしても受け入れが出来る病院がなければ搬送することはできません。
Qさんは20件の病院に受け入れ要請をしましたが、全て断られたそうです。
救急車へ感染者を収容して搬送までに最大 9時間を超えたこともあるとのことでした。

このような医療崩壊が進むなかで自分たちの命を守れるのは自分だけです。
誰かが守ってくれるだろうという甘い考えは捨てないといけないのかもしれません。

②感染者の現状

Qさんは感染者の身勝手な行動が少なからず起きていると教えてくれました。
具体的な内容をまとめて紹介します。

・軽症者の通報
・救急車の拘束時間の増加(車内清掃)
・検査を受けたいから救急車を呼ばれた
・マスクをしない、できない感染者の存在です。

・軽症者の通報

前提として、軽症者だから通報してはいけないということはありません。
身勝手な通報が多いという事です。

基本として新型感染症で保健所から要請がある場合は中等傷以上です。
しかし、自宅から呼ばれる場合は軽症者が大多数です。

通常は症状が急激に変わってしまった場合は、保健所に電話で伝えるのがセオリーです。
それを吹っ飛ばして直接119番通報してしまう人が居ます。

しかし、
救急隊が現着してもすぐに搬送して貰えるわけではありません。
搬送(入院)できる病院を探さなければいけないからです。
先ほども話した通り救急車を呼べば搬送して貰えるなんてことはありません。

まずは保健所に相談しましょう!!

・救急車の車内清掃

感染症疑いで出動した場合は救急車はかなりの時間を拘束されることになります。

受け入れ先がないこともそうですが、救急車がウイルスで汚染されるので徹底的に清掃するからです。

消防署に戻って清掃などに一時間は拘束されてしまいます。
この間は近くで交通事故や急病があっても対応することはできません。
清掃が不完全な場合、二次感染を引き起こすからです。

オゾン発生器を使うほか、次亜塩素酸タオルで徹底的に清掃しています。

この清掃も感染のリスクが高いです。
一か所拭き残した為に消防職員も感染してしまいます。

装備が限られている消防機関も大きなリスクを背負って働いていることがわかります。

・検査を受けたい!そうだ!救急車を呼ぼう!

Qさんが教えてくれたのは、嘘のような現実です。

「風邪症状が続いてるのでコロナかどうか検査がしたいとの通報」
というものがありました。
検査をするかはお医者様の判断だとお伝えすると、ふて腐れるご老人でした。

発熱があると陽性者と同様の車内清掃になるので時間が掛かります。

なにが問題かというと、このような身勝手な通報により救急車の時間が拘束されてしまうことです。
救急車は通報があった場合は基本的に出動します。
もしも、があるからです。

本来であればご自分で保健所や医療機関に出向く。
足が悪いなどで出来ないにしても、検査したいから通報をすることは夜中にするのはやめて下さい。
夜中にPCR検査をしているのはごく少数であり搬送されることはないと考えます。
せめて日中にしましょう。

・マスクをしない感染者の存在

基本的にはお願いすれば付けてくれるそうです。
しかしながら認知症の方などマスクを付けられない感染者の方もいます。
マスクを食べてしまい物理的に付けられないそうです。
そんな中で狭い救急車内で搬送するのは精神的に苦痛だとおっしゃっていました。

③救急隊の活動の変化

代表的なものだと下記が大きく変化したとのことでした。

・先ほど話したオゾンを使用した救急車の車内清掃の頻度
・CPA(心肺停止)状態の方への活動
・感染対策の現状
・一時待機所の存在です

・CPA(心肺停止)状態の方への活動

これは私たちも使う可能性のある心肺蘇生法も変更がありました。
簡単に書くと成人の人工呼吸が省略されて、小児の場合はできる限りやるようにというものです。

救急隊も感染リスクを抑える為に、胸骨圧迫(心臓マッサージ)の中断時間が10秒から30秒に変更があったそうです。

気管挿管などの口腔ないの作業に入った場合は、エアゾル感染対策として胸骨圧迫を中断しなくてはならず、感染対策に注意が行き過ぎて中断時間が長くなってしまっているとのことでした。

これは救急隊の命を守る為にも仕方がないことだと私は思います。

・感染対策の現状

感染対策としては、上下の感染防護衣とN95マスクを装備するとのことでした。
私も着ていたので分かりますが、風を通さないので夏に向かって地獄のような暑さになります。

また、車内は養生シート(マスカーテープ)をアイソレーションフードとして使っているそうです。
養生シートでは換気の為に窓を開けるとバタつくためにまったく意味をなしません。

マスカーテープで養生している様子
窓を開けながら走行すればバタつくのは必須ですね(;’∀’)

マスカーテープで養生している様子(高崎市

マスカーテープで養生している様子(高崎市)

ストレッチャー取付式簡易アイソレーター『e capsule』
感染防止が期待できますが値段が養生テープより張ります。
お金がない自治体が複数導入することは難しい。

簡易アイソレーター

・一時待機所の存在

大阪消防局の記事が話題になりましたが、他の消防本部も独自で予備の救急車を利用して待機ステーションを開設しているそうです。

搬送までに時間が掛かりそうなものはそこで病院選定をしているとのことでした。
トイレや食事の交代も出来るほか、患者さん専用のトイレも配備されています。

精神的に頼れる場所ができて助かっているとのことでした。

④報酬の件

現在、防疫手当が一日3000円まで支給されているそうです。
しかし、一日、一回までなので10件感染症関連の出動をしても3000円になります。

また、ボーナスや給与も減給されているそうです。

そんな状況でも給与は下げられて当たり前だという市民がいます。
使命感だけで人間働けるわけではありません。
多くの誰かが当たり前の日常を維持してくれているかを少しばかり考えるきっかけになればと思います。

最後に

最後にQさんがこの記事を読んでくれているあなたに伝えたいことを紹介します。

『医療崩壊は進んでいます。
コロナ以外のケガや病気でも搬送する病院を見つけることも困難です。
こんなことは言いたくありませんが、自分の身は自分で守ってください。

そして、
救急隊は公務員ですが、人間です。
人間扱いしてください。
私たちにも家族をはじめ守るべき存在が居ます。
今はそれを犠牲に頑張っています。
よろしくお願い致します。』

消防機関だけでなく、医療機関、飲食、観光業などなど多くの方が何かの犠牲を払っています。

Qさん自身は小さいお子さんの居る家庭です。
人員不足での休日出勤で家族サービスはできない。
精神的に追い詰められて妻とのコミュニケーションが取れなくなっている。
そしてなによりも、家族の感染リスクが大きい。
その中で救急救命士として誇りをもって働いているそうです。

これは公務員だから?消防職員だから?医療従事者だから?当たり前の状況なのでしょうか?

自分達にできることは感染しない、させないことです。

最近では急性アルコール中毒の搬送が増えていると聞きます。
宅飲み、少人数、屋外だから良い!!
ではなく、今一度自分と周りの行動を振り返ってなにが最善なのかを考えて行動しましょう。

今回の記事のまとめ

・医療崩壊は進んでいる、入院できる病院はないと思え。
・自分の身は自分で守る!そのためにできる行動は?
・救急隊も多くの犠牲を払って活動している。後ろ指を指すな!
・医療従事者への感謝を忘れずに過ごそう!

私たちの今の生活は誰かのおかげで守られています。
その事を忘れないようにしましょう!

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