ふつうの暮らしの中の防災
【ペーパー類の備蓄編】

 主婦と子どもの視点から「ふつうの暮らしの中の防災」を考える、生活密着型ママ防災士セイコです。

 昨年の今頃。全国的な買い占め騒動で慌てた記憶はありませんか?

 SNSをはじめとするメディア上で広がった不確かな情報から、マスクやトイレットペーパーなど紙製品の買い占めと品薄、価格高騰、高額転売の悪循環に陥り、社会問題となりました。

 「こんなことになるなら、先に買っておけば良かった!」と思ったものはありませんでしたか? そして今、十分にストックされていますか? もしあなたが防災備蓄の始め方に迷っているなら、自粛期間中に"不足して不安だったもの"あるいは"あって助かったもの"を思い出してみて下さい。

 まさにそれが、あなたの備蓄の有力候補です!

 今日は、あの頃の空っぽの陳列棚を思い出しながら、我が家流のペーパー類の備蓄ポイントをご紹介したいと思います。

トイレットペーパーの備蓄ポイント

 1人あたり1か月のトイレットペーパー使用量は平均4ロール程度と言われています。例えば5人家族の我が家は、単純計算で1か月20ロールが必要です。

1ロールって何メートル?
 一般的には30mが標準のようです。つまり1人1か月使用量は4ロール=120mが目安に。

「〇倍巻き」トイレットロールって?
 最近、見かけることが多くなった「〇倍巻き」商品。交換回数が減らせて省スペース。ストックにも効率的ですが、注意点がひとつ。商品によっては基準とする標準巻きの全長設定が短い場合があります。ロール数だけで計算していて実際に使ってみたら量が少なかった!なんてことにならないよう「〇倍巻き」商品で必要量を考える場合は、実際の全長の確認をしましょう。自分の普段の使用量を測ってみるのが一番かも知れません。

 非常持出用は芯を抜いて押しつぶせばコンパクトに。使うときは、外側からはがさずに中心から引き出すようにすると便利です。

水濡れ厳禁!非常持出用は、1ロールずつジップバッグに入れています。

キッチンペーパーの備蓄ポイント

 食品に使うものですから清潔さはお墨付き。マスクの供給不足が起きたときには、キッチンペーパーで作る簡易マスクが話題になりました。食品にも応急手当にも掃除にも役立ちます。

 普段使いでコスパが良いのはロールタイプですが、なかなか嵩張ります。非常持出用には、ボックスタイプ(ソフトパック)は取り出しやすくコンパクトで便利です。

ティッシュペーパーの備蓄ポイント

 キッチンペーパー同様、ソフトパックの商品は省スペースで持ち出しにも便利。肌ざわりなど備蓄を考えるときに省スペース性は無視できない大事なポイントです。

 ポケットティッシュは、トイレに流せるタイプもよく見かけます。ただし『「トイレに流せる」と表示されている製品であっても、実際にはほぐれにくいものもあります。便器からは流れても、下水道や浄化槽内で詰まってしまうことも考えられます』(流せるティッシュ類の商品テスト/神奈川県ホームページより転載)

 流す時は一度に大量に流したりしないよう注意が必要です。

非常持出用は、やはりジップバッグに入れて水濡れ防止。

ウェットティッシュの備蓄ポイント

 ひと口にウェットティッシュといっても種類はさまざま。

・純水タイプ(除菌なし)
・ノンアルコール除菌タイプ
・アルコール除菌タイプ
・99%除菌(アルコール入り)
・消毒(アルコール入り※医薬部外品)

 除菌・消毒と表示されている商品でも、全ての菌を除菌・消毒するわけではありません。成分によって使えない箇所もあります。商品説明をよく読んで、使いたいシーンに適したものを選びます。

 備蓄には、手拭き用だけでなくボディ用もおすすめ。災害時の入浴は難題です。自衛隊による仮設入浴所が設置されても、長時間の行列の後、ほんの数分の湯浴み。災害の規模によっては仮設入浴所の開設自体が難しくなるかもしれません。災害時の健康維持のために衛生管理を事前に考えておきましょう。

 災害用・介護用・キャンプ用といった名目で、大判ウェットタオルや頭部(ヘアケア)用の手袋式ウェットシートも販売されています。

マスクの備蓄ポイント

 マスクも各種ありますが、災害時は洗濯ができないことを前提として、使い捨てのサージカルマスクを備蓄しておきましょう。

不織布マスクの備蓄のポイント
<包装>
個包装の商品は小分け保管や持ち歩きの用途でも清潔を保つことができます。
<サイズ>
なるべく使い慣れた商品を備蓄したいです。着けたことのない商品の場合は、外箱のサイズ表記だけで判断せず試着してフィット感などのチェックを。着け心地が自分に合わないと着けていて辛くなったり、肌を傷めたり、本来の効果が期待できなくなるからです。
<マスク性能試験の測定値表記>
パッケージに〇〇試験センターなどの検査機関名と下記のような測定結果が明記されているものが安心です。
PFE 「微粒子ろ過効率」
VFE 「バクテリア(細菌)ろ過効率」
BFE「ウイルスろ過効率」
花粉対策ならPFEの数値が高ければ効果が期待できます。ウイルス対策にはVFEやBFEの数値が高い物が適しています。
<全国マスク工業会会員マーク>
国内で販売されるマスクの安全性の目安になります。パッケージにマークがついている商品は信頼性があるといって良いでしょう。

緊急時には商品の選択肢が狭まりますが、平常時なら、より信頼できるものを自分の目で選び備蓄しておくことができます。

供給が安定している時ならば、自分の求める条件に合う商品を選ぶことができます。

防塵マスク
災害ボランティア活動の必須アイテム。被災後の片付け時に必要です。噴火の火山灰対策にも。

我が家では省スペース優先でコンパクトな物を選びました。立体カップ型など、性能も価格も様々。

空気を抜いて保管しています。

ペーパー類の保管のポイント

 保存に際して気になるのは、紙製品の使用期限。紙製品の大手企業の公開情報によると、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ティッシュなどには『使用期限は設けていません。紙は化学変化が小さいため、日数が経過しても問題なく使用できます。ただし、埃、湿気が少なく、直射日光が当たらない場所に保管してください(ネピア/オフィシャルサイトより転載)』ウェットティッシュについては『未開封の状態で高温・直射日光があたらない場所に保管した場合は製造後約3年は変質がないようにしています。(エリエール/オフィシャルサイトより一部転載)』とのこと。

 埃、湿気、高温、直射日光を避ければ数年の保存が可能ということですから、ゆっくりペースのローリングストックでも心配なさそう。でも数年以内に使いきれるかも不安という場合には、長期保存用の商品が安心できるかもしれません。

 自分がどれくらいの期間でどれくらいの量を使うのかを知っておくのも備蓄の検討に役立ちます。

ペーパー類の収納のポイント

 嵩張るペーパー類のストックには収納スペースの問題がつきもの。比較的軽く柔らかいので、高い位置にしまうことができる物品です。もし今、低い位置にトイレットペーパーがしまってあって、高い位置に重いものや角張ったものがしまってあるなら、上下の収納を入れかえるべきです。

 ただし、トイレットペーパーをトイレの高い位置に保管している方は、地震で落ちる可能性を忘れないで下さいね。トイレに座っている時に頭の上にどさどさ落ちてきたら、たとえ怪我はなくとも不安や恐怖が増長されてしまうかも知れません。また、ペーパーが便器の中に落ちないようにトイレの蓋は常に閉めておきましょう。

まとめ

 不安な情報による買占め騒動は、今後も無くなることはないかも知れません。でもその時もしも自宅に備蓄があれば、冷静な判断の余地が生まれます。1〜2か月程度、自力で乗り切れる備蓄量はどのくらいでしょう?収納や予算のバランスをみながら、自分の暮らしに欠かせない物から考えてみてはいかがでしょうか。緊急時になって慌ててやみくもに買い込むのではなく、供給が落ち着いている時にこそお気に入りのストックを。

 最後に、私の昨年のつぶやきを置かせてください。

https://twitter.com/bousaizukan/status/1234105973943353344?s=29

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