掃海隊群の艦艇見学に自衛官志望の高校生を引率|静岡地本

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高校生が掃海隊群の艦艇を見学

 

 静岡地本浜松出張所(所長・有吉1空尉)は2月11日、蒲郡港(愛知県蒲郡市)で行われた海自自衛艦隊掃海隊群の艦艇見学に、自衛官志望の高校生2人を引率した。艦艇見学は、伊勢湾における掃海訓練に併せて行われ、参加艦艇の中で最も大きな掃海母艦「うらが」の外観見学、掃海艦「ひらど」、掃海艇「たかしま」「いずしま」の艦内一般公開が行われた。

 当日は晴天に恵まれ、岸壁は多くの来場者でにぎわった。参加者はまず、「ひらど」に乗艦して海中の機雷を除去する掃海任務で使用される装備品を見学し、乗員の説明に興味津々な表情で聞き入っていた。

 艦内では、艦長が指示を出す艦橋のほか、食堂、浴室といった生活空間も見学することができ、効率的な設備の配置や清潔で機能的な環境に、「船の中にこんなに多くの設備があると知って驚いた」「狭いけれど、みんなで生活するのは楽しそう」といった声が聞かれた.。

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高校生が掃海隊群の艦艇を見学

 

 次に、一回り小さい「たかしま」と「いずしま」を見学。掃海艦以上にコンパクトで洗練された艇内の環境と、磁気反応型機雷に対処できる木造の船体を見て「こんなに小さな船で重大な任務をこなしているとは」と、掃海艇の持つ能力に驚嘆していた。

 浜松所は「今後も艦艇見学の機会を活用し、多くの若者に自衛隊への理解を深めてもらえるよう尽力していく」としている。

 

自衛隊静岡地方協力本部

 

<編集部より>

冒頭から私事で恐縮ですが、長く防衛省・自衛隊の取材を経験し、航空機や艦艇に乗る機会は結構ありました。しかし、掃海隊群(掃海母艦、掃海艦、掃海艇など)だけは縁がなかったのか、乗艦も外観の見学もありませんでした。

そこに寄せられたのが、自衛官志望の高校生2人の掃海隊群の見学を静岡地本浜松出張所が支援したという報告です。防衛日報で紹介したくて飛びつきました。

そもそも、掃海隊群と何ぞやです。勉強も兼ねて調べてみると、主な任務は「機雷戦」と「水陸両用戦」。海洋の使用を妨害しようとする機雷を排除し、安全な航路を確保すること。そして、味方の上陸部隊が海上から陸上に展開させるための作戦。掃海隊群の主要な任務がこの2つということです。

なぜ、こういうことをしなければならないのでしょうか。そこには、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している日本の現状があります。

周辺国は、軍事的な示威活動を急速に拡大・活発化させています。それは陸に限らず、海も空も同様。具体的に言えば、他国の潜水艦は日本周辺の海中をウロウロしているといわれています。単なる情報収集だけでなく、何を仕掛けているのかわかりません。だからこそ、「海の掃除」は欠かせないのです。

もちろん、先の大戦などでの機雷の「遺物」が海中に眠っているケースもあります。わが国を取り巻く情勢に適切かつ柔軟に対応することが、掃海隊群に求められているといえます。

今回、高校生が見学したのは、掃海母艦「うらが」の外観のほか、掃海艦「ひらど」、掃海艇「たかしま」「いずしま」の4隻でした。自衛官になりたいといっても、艦艇の内部は複雑です。機密性もあり、限られた公開となったと思われますが、機雷除去のための装備品などはなかなか見る機会はないでしょうから、報告で「興味津々」とあったように、見つめる高校生の姿は想像に難くありません。でも、それはとても貴重なことなのです。

掃海隊群は、水陸機動団をはじめとする陸上自衛隊などや在日米海軍・米海兵隊部隊との共同訓練などを随時実施しているとのこと。いざというときのためにも、意見交換を実施し、共同を具現化することは欠かせないところです。

言葉が適切かどうかはわかりませんが、どこか施設部隊と似通っているところがあるように思います。第一線部隊が突撃・突進するためにはその道中に何か障害(物)があってはなりません。まずは、掃海隊群の出番。滞りなく進められるようにきれいに排除したら、あとは第一線部隊の登場です。「縁の下の力持ち」的な掃海隊群の役割は、安全保障環境の厳しさとともに今後、ますます重要なものとなっていくことでしょう。

自分より先に掃海隊群の艦艇を見学した高校生たちにちょっぴりのうらやましさの思いとともに、今回の経験を胸に、晴れて自衛隊の門をくぐることを切に期待します。