平素より国防に従事される自衛隊隊員の皆様に心より感謝申し上げます。
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小牧基地航空祭
令和7年(2025年)3月2日(日)、愛知県小牧市の小牧基地で小牧基地航空祭が開催されました。これまで「小牧基地オープンベース」として開催された基地開放が航空祭として開催されたものです。
今年は小牧基地所在地の小牧市が市制70周年を迎え、小牧市内の桃花台や小牧城付近でも、小牧基地航空祭の展示飛行と合わせて航過飛行を行いました。
小牧基地航空祭での展示飛行は、航過飛行を主体としつつ、スワン360°ターンやレベル・オープナー、ソロ機によるナイフ・エッジや720°ターンを含めた編隊連携機動飛行でした。編隊長は第11飛行隊長の江尻卓2空佐が務めました。
事前の航空情報(NOTAM)では小牧飛行場を中心として8海里圏内での展示飛行が告知されており、飛行範囲には小牧市を取り巻く愛知県や岐阜県の各市の名前が挙がっていました。
小牧市制70周年記念飛行
展示飛行は小牧基地のエプロン地区から見て、正面、右、左からの進入で実施されました。離陸後最初の正面からのフェニックス・ローパスは、基地真上に到達次第スモークをオフし課目を終了、基地後方を通過して隊形変換と左旋回後にふたたび小牧市に入り、桃花台から小牧城付近をスモークオンして、航過飛行課目を実施しました。
2日展開とメンバー交代
展示飛行に先立つ午前中にはファンサービスも実施され、午後の展示飛行は曲技飛行ではない編隊連携機動飛行ながら、ウォークダウンやバックを含むフルショーでこれが実施され、また前日土曜日に飛来し当日日曜日に帰る2日展開でこれを完遂しました。
初春のまだ日が短いこの季節に、日没までに松島基地に帰投を完了するブルーインパルスの展開を2日で完遂したことは、12月の百里基地航空祭に続いてブルーインパルスの往年の機動力を示したこととなり、震災やコロナ禍を乗り越えて完全復活したブルーインパルスの姿を見せてくれたと言えましょう。
この小牧基地航空祭で6番機の加藤拓也1空尉がラスト展示を迎えたようです。同時に、4番機要員の新メンバー、下田一輝1空尉が初登場しました。概ね3年で交代していくブルーインパルスの世代交代も着実に進んでいるようです。
陸海空装備品が集結
小牧基地には要撃管制官や陸海空自衛隊の航空管制官を教育する第5術科学校が配置されています。そうした陸海空をまたがっての任務も担っていることもあり、小牧基地航空祭には陸海空自衛隊の航空機も集結しました。海上自衛隊からは今年度で退役するという多用機U-36Aも参加してくれました。
国際平和協力の礎たる小牧基地
国際平和協力や合同演習のために海外に派遣される隊員も、ここ小牧基地で英語教育を受けるといいます。ブルーインパルスに従事したのちに各方面で活躍する隊員も、イラク復興支援派遣輸送航空隊、レッド・フラッグ・アラスカ、コープ・ノース・グアムといった海外任務に赴く際に小牧基地で英語教育を受けたようです。
美保基地から参加した空中給油・輸送機KC-46Aは2月23日に日米豪共同訓練コープ・ノース25より帰還したばかりの機体そのものでした。
国際平和協力として海外での活動も増えるなか、小牧基地の役割も年々大きくなっていると考えられます。
管制任務や英語教育のほかに、航空救難隊のパイロットや救難員を養成する救難教育隊も小牧基地に配置されています。日本の領土やそれを取り巻く広い海域でも救難任務を担う救難ヘリコプターUH-60Jが長い鼻のような空中給油プローブを装備して久しいですが、今年の小牧基地航空祭では空中給油・輸送機KC-130HからUH-60Jへの模擬空中給油も展示されました。
航空救難団の活躍がテレビドラマ化
平成20年(2008年)公開の映画「空へ -救いの翼
RESCUE WINGS-」では、航空救難の任務が残燃料によって要救助者を救えるかどうかの切実な境目があることが描かれていました。この空中給油によって救助できる範囲や時間が広く長くなることが期待されます。
小牧基地航空祭のサプライズとして、テレビ朝日系列で4月24日(木)より放映されるドラマ「PJ 〜航空救難団〜」の出演者が登場しました。主演の内野聖陽さんは救難教育隊の主任教官を演じるそうです。PJとはパラレスキュージャンパーのことで、パラシュート降下や医療資格を持つ救難員のことを示すようです。
C-1 FOREVER
第1航空輸送隊が配置されK/C-130HやKC-767といった大型の空中給油・輸送機を配備する小牧基地には大型機が勢揃いしました。美保基地のKC-46Aをはじめ、浜松基地からは早期警戒管制機E-767が、岐阜基地と入間基地からは輸送機C-1の初号機と2号機が集結しました。
入間基地一般開放
C-1輸送機は今年度で51年に渡る運用期間を終えるようです。小牧基地航空祭の翌週末3月8日(土)には入間基地で電子戦訓練機EC-1と輸送機C-1とのお別れ会ともいえる基地一般開放が開催されました。展示飛行こそなかったものの模擬離陸を伴う地上滑走展示が行われ、放水アーチをくぐって戻ってくる両機を多くのファンが出迎えました。入間修武太鼓の和太鼓演奏も華を添えました。
翌週3月14日(金)にはラストフライトを迎えたようです。ブルーインパルスファンネットが主宰するFacebookグループ「みんなのブルーインパルス」には畑中聖也さんからその雄姿を投稿いただきました。
最近ではC-2やKC-767が多くなったものの、昔はブルーインパルスの展示飛行といえば整備小隊がC-1に乗って展開することがほとんどでした。C-1は航続距離を抑えた設計で、F-4EJ戦闘機が空中給油機能を無効にした仕様で運用されたことと同じように、専守防衛の自衛隊本来の任務を体現した機体でした。短い滑走路でも降りられる短距離離着陸機の傑作機でもありました。半世紀に渡る長い間、本当にお疲れ様でした。
令和7年度ツアースケジュール
3月5日(水)には4月からの新年度の日程も発表されました。4月13日(日)の大阪・関西万博を皮切りに全国を回るツアーです。大阪府内での飛行は35年ぶりというもので、そのほかにも善通寺の19年ぶりなど注目の展示飛行が目白押しです。どれも好天に恵まれることを祈念しております。
《写真提供》畑中聖也
(写真/文)ブルーインパルスファンネット 中根拓/伊藤宜由/福山博文/今村義幸