久居駐(司令・南平1陸佐)は9月9日から11日の間、4中隊が担任(担任官・佐藤3陸佐)し、近鉄グループホールディングス株式会社の社員24人に対する隊内生活体験を実施した。
久居駐(司令・南平1陸佐)は9月9日から11日の間、4中隊が担任(担任官・佐藤3陸佐)し、近鉄グループホールディングス株式会社の社員24人に対する隊内生活体験を実施した。
隊内生活体験は、駐屯地の中で隊員と同じ日課時限に合わせて生活し、自衛隊の団体生活や訓練の一部を体験しながら規律や団体行動の重要性を認識してもらうとともに、自衛隊の真摯しんしな姿を広報して自衛隊への理解と認識を深めることを目的としている。
課目は3日間にわたり、基本教練、格闘訓練、土のう作成、ロープ結索、体育、
装備品展示・体験試乗など盛りだくさんの内容で行い、
特に格闘訓練では、要員による寸劇を交えながらの展示に参加者は笑顔になりつつも、いざ自分たちが訓練を実施する際には真剣なまなざしで格闘訓練に臨み、汗を流した。
参加者の一人は、「普段はなかなか見られない自衛隊の生活を体験し、チームワークと規律の大切さを改めて再確認できました」と感想を述べていた。
久居駐は「3日間の生活体験は参加者の規律・団体行動の意識高揚を十分に図るとともに、自衛隊への理解と認識を深めていただく絶好の機会となった」としている。
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<編集部より>
唐突ですが、前日、「あしたは午前8時に集合」と言われたら、多くは8時に到着すればいいと思うでしょう。決して「間違い」ではないと思います。
自衛隊への隊内生活体験(体験入隊)を社員研修に取り入れているという六興電気社長の長江洋一氏に言わせれば、「事前に準備を整えて8時に仕事がすぐに始められるようにしておくのが、本当の『集合』の意味なのです」となります。
旧社で地方勤務時、事業部門を担当していた元自衛官の男性は、決まった時間の「5分前」を常に意識していました。以降、約束の時間があると、5分前というワードが頭をよぎるようになった気がします。
一方で、対面で意思疎通をする機会が少ない時代に育った世代には「チーム力」の意識が乏しいといわれます。多くは、時代背景が成せるものともいえ、一人ですべてを行う業務でない限り、そこには「規律」や「協力」などが存在します。
そこで、本日(11月12日付)の防衛日報が紹介するトピックスは、2面トップ記事として掲載した久居駐屯地の報告です。近鉄グループホールディングスの社員24人に対する隊内生活体験を実施した内容です。参加者たちは基本教練から、格闘訓練、ロープ結索など自衛隊が実際に行う作業を一つひとつ体験していました。
こうした技術的なこともありますが、自衛隊側からすれば少しでも身に付けてもらえたらうれしい…ということこそチームワークと規律の大切さ、団結力の強化などではないでしょうか。組織の中にいる人間としては、至極、当然のことですが、人間はいろいろ、人間性もさまざまです。なかなかできません。
たとえば、基本教練。「敬礼」「直れ」は全員、息が合うまで何度も反復練習が続きます。私事ながら、学生時代、軽い気持ちで体験しました。それはそれで結構、厳しいものなのです。また、整列の際、靴紐(ひも)が少しでも緩んでいたら、「反省」の意味の腕立てが全員に課せられたこともありました。「自分がちゃんとできないと、ほかの人に迷惑がかかる」という意識の芽生えは、最終日の本番での結果につながった記憶があります。
決して「スポ根」みたいなものを推奨しているわけではありません。あくまでも組織の一員として少なくとも身に付けておく方がいいことは、その手法、方法にこだわるものではなく、吸収できるものはどんどん吸収すればいいものだと思います。
体験は大体2泊3日。今回の近鉄HDも3日間でした。「わずか3日間で何を覚えられるのか」の疑問を抱く人や組織は、ほかに向かえばいいと思います。要は、命がけで国を守るために自衛隊は組織が、チームが一丸となって動きことが当たり前。そのためには、普段からの練習や訓練があればこそです。
国と比較はしません。大きくても小さくても、複数の人間が所属する組織であれば、欠かせないもの。どんな形でもよし。短い期間でもよしですが、自衛隊を体験することは少なくとも組織に何らかのいい影響を与えてくれるものだと経験則でそう、思っています。