陸自は1月11日、習志野演習場(千葉県船橋市)で新年恒例の「降下訓練始め」を実施した。強風の影響で空挺降下は中止となったが、着陸したヘリコプターから降りた隊員たちが、島嶼しょ防衛を想定した訓練展示を行ったほか、4足歩行ロボット犬型の無人地上車両(UGV)「ビジョン60」を一般に公開した。
訓練にはトルコ、ベルギー、タイが初参加し、日本を含む史上最多の15カ国、隊員1880人を含め、計約2100人が地上での共同訓練を展開した。
陸自は1月11日、習志野演習場(千葉県船橋市)で新年恒例の「降下訓練始め」を実施した。強風の影響で空挺降下は中止となったが、着陸したヘリコプターから降りた隊員たちが、島嶼しょ防衛を想定した訓練展示を行ったほか、4足歩行ロボット犬型の無人地上車両(UGV)「ビジョン60」を一般に公開した。
訓練にはトルコ、ベルギー、タイが初参加し、日本を含む史上最多の15カ国、隊員1880人を含め、計約2100人が地上での共同訓練を展開した。
降下訓練始めは、空挺部隊の1年間の降下安全を祈願するとともに、同盟国・同志国の空挺部隊との関係強化を図ることを目的とした年頭行事だ。
陸自では、統合作戦司令部(JJOC)の新編など体制移行が進む中、海自・空自や米軍などと連携した統合運用体制の充実が図られている。今回は島嶹防衛を想定し、1空挺団を中心に、無人装備の活用や統合・多国間連携を盛り込んだ訓練展示が行われた。
訓練は一般にも公開され、陸自によると、約1万1000人が来場。隊員が増援の戦車などとも連携しながら、敵の部隊を撃破していく様子などに注目していた。
訓練では、無人装備の活用が一つの見どころとなった。米国製の4足歩行ロボット犬型のUGV「ビジョン60」が一般に公開され、CH47輸送ヘリコプターから4機が地上に卸下(しゃか)された。
ビジョン60は、耐衝撃性や防水性を備え、各種センサーやライトを装備。敵情の偵察や警戒のほか、軽易な資材運搬などにも活用できる汎用はんよう性の高い装備とされる。
偵察・警戒や情報収集を担いながら、習志野の草地を歩行する様子が来場者にも示され、人員展開に制約のある島嶼部での活用が期待される装備として紹介された。
事前潜入部隊は情報収集と統合火力の誘導を行い、敵の対空火器を排除する想定で降下地域の安全化を図る流れを提示した。
この過程では、東部方面航空隊のUH1ヘリコプターから狙撃手2人が降り立ち、敵の偵察部隊と接触する場面も展示された。狙撃手は潜伏・警戒を行いながら敵情を把握し、潜伏していた敵の偵察員と接近戦闘を行い、格闘技術を駆使して敵を制圧する対応も示された。
その後、1空挺団主力の空挺降下やヘリボーンによる投入を想定し、着地後に部隊を編成。攻撃目標線の確保を経て、即応機動連隊や同盟国部隊と連携し、侵攻した敵を撃破して島嶼部を奪回、確保するまでの一連の行動を展示した。この過程では、敵の攻撃により負傷した隊員を迅速に救助し、ヘリコプターで離脱させる場面も示され、戦闘下での救護・後送の対応が紹介された。空挺降下は強風のため実施されなかったが、想定を維持した形で訓練展示が行われた。
空挺部隊の降下隊員は、全国から選抜され、基本降下課程を修了した隊員で構成されている。落下傘の装着や航空機からの飛び出し、空中での操縦、着地動作など、所要の技量を身に着け、降下時には主傘約18キロ、予備傘約7キロのほか、背嚢のうや各種装備、武器を含めて約60キロを携行する。
教育を担う空挺教育隊は、昭和30年の教育開始以来、令和8年1月現在で、基本降下課程の修了者が累計2万346人に上っている。
今回の参加部隊は、1空挺団を中心に、富士学校、化学学校、1師団、東部方面航空隊、1ヘリコプター団、中央即応連隊のほか、空自航空支援集団、海自教育航空集団。同盟国アメリカからは、陸軍18空挺軍団、海兵隊3偵察大隊、空軍374空輸航空団などが参加した。
同志国として、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、フィリピン、ポーランド、シンガポール、タイ、トルコ、イギリスの各国部隊が名を連ねた。
空挺降下は中止となったものの、各国部隊は訓練展示や指揮官の臨場などを通じて参加し、多国間連携の広がりを印象付けた。