「知らなかった」が「興味ある」に変わる日―学生の未来に寄り添う自衛隊|東京地本

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護衛艦「むらさめ」を見学する学生たち(東京地本江東出張所の研修)


防衛日報 2025年7月11日付


 東京地本世田谷募集案内所(所長・今井1陸尉)はこのほど、世田谷区の東京農業大学で開催された「公務員イベント 公務員でジモトに帰ろう!」に参加した。

 

東京農業大学で学生の未来にアピール

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東京農業大学で自衛隊の魅力を発信(東京地本世田谷募集案内所)

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広報官が東京農大の学生に説明を実施(東京地本世田谷募集案内所)


 説明会は、各県・地域の各種公務員が集まり、学生が講義などの合間に各ブースで話を聞くという、全学生を対象とした学校初のイベント。

 

 参加者からは、自分が将来何をしたいのかよく分からないといった声が多く聞かれたため、自衛隊ブースで広報官が各学生の希望、将来のライフプランを確認し、ニーズに合った説明を懇切丁寧に実施した。

 

 

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熱心に話を聞く東京農大の学生たち(東京地本世田谷募集案内所)


 参加した学生からは、「自衛隊の処遇の良さを確認することができた」「自衛隊の印象が変わった」「自衛隊の仕事の多様さに驚いた」「自衛官という進路も、将来の選択肢の一つとして前向きに検討したい」といった声を聞くことができた。

 世田谷所は「今後も学校や募集対象者のニーズに応じた活動を行うとともに、地域に密着した活動を実施して防衛省・自衛隊に対する理解の促進を図っていく」としている。


東京海洋大学の学生たちが横須賀基地研修へ


 東京地本江東出張所(所長・高橋3海佐)は5月23日、東京海洋大学の学生と教授ら8人に対し、海自横須賀基地研修を実施した。

 

 東京海洋大学では、卒業生の多くが海運業界へ進む傾向にあることから、研修は、同校のゼミの一環として海上防衛を担う海自に関する知識・理解の深化を図るのを目的として行われた。


 

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潜水艦「こくりゅう」と記念撮影(東京地本江東出張所)

 はじめに、2潜水隊群の支援を得て、潜水艦「こくりゅう」の見学を実施した。実際に乗艦して艦内で概要説明、潜水艦の仕組みなどについて、隊員から説明を受けた。

 

 参加者は、普段、目にすることのできない潜水艦内部の説明を熱心に聞き入るとともに、「本当に貴重な経験ができて良かった。今回の研修を通じて海上自衛隊に関する理解が一層深まった。周りの人にも伝えたい」と感想を述べていた。


 

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横須賀地方総監との懇談(東京地本江東出張所)


 また、当日は金曜日だったことから、昼食には、海自名物のカレーを体験喫食した。参加者からは、「量、質とも十分で、大変、おいしい」と大好評で、皆、笑顔でおいしそうに完食していた。

 

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護衛艦「むらさめ」に体験乗艦(東京地本江東出張所)


 次に、横須賀地方総監部広報推進室から全般説明などを受けた後、護衛艦「むらさめ」の艦艇見学を実施した。

 艦長の出迎えを受け、概要説明の後に艦内を案内された参加者は、それぞれ積極的に質問しながら興味深く見学していた。特に、艦長からソマリア・アデン湾での海賊対処任務に関する説明を受けた際は、皆、熱心に聴講しており、海洋安全保障の重要性について認識を新たにしていた。

 

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横須賀地方総監部前での集合写真(東京地本江東出張所)


 江東所は「今後も対象者や学校関係者らを積極的に部隊研修へ案内し、自衛隊の任務の重要性を部隊などと連携しながら広報するとともに、防衛省・自衛隊の活動に対する理解と関心を高め、自衛官募集業務につなげていく」としている。


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自衛隊東京地方協力本部

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<編集部より>

防衛省・自衛隊にとっての喫緊の課題は、自衛官を増やし、維持し、将来への希望を持てるようにする、にかかっています。厳しい安全保障環境を前に、さまざまな施策を講じるのは当然ですが、それもこれも人材があってのこと。実動部隊の中枢となる自衛官、その精鋭たちを動かす指揮官となる自衛官。どちらも欠かせません。

とにかく、自衛隊に目を向けさせないことには先に進めません。全国の地本、部隊などが懸命のPRに努めている中、広報する立場の防衛日報もまた、任務を果たさなければならないことを肝に銘じています。

そこで、本日(7月11日付)1面では、東京地本による大学生向けの2つの活動を紹介しました。世田谷募集案内所は東京農大で開催された全学生対象の「公務員イベント」に参加し、江東出張所は東京海洋大の学生らに対し、海上自衛隊横須賀基地の研修です。

詳細は防衛日報デジタルでご覧ください。自衛隊のブースに足を運んだ学生への説明、潜水艦や護衛艦の見学や横須賀地方総監との懇談などなど。「処遇の良さを確認できた」「理解が深まった」…との学生たちの反応は上々。一定の広報効果があったことは間違いのないところです。

少し古くなりますが、内閣府が令和4年11月に調査した「自衛隊・防衛省に関する世論調査」によれば、自衛隊への関心について学生世代となる18歳から29歳の場合は「非常に関心がある」が14.7%、「ある程度関心がある」が37.1%。関心を持つ人は調査対象者の半数に上り、全体では8割近い人が関心を持っていました。

理由は、「日本の平和と独立を守っている組織」「国際社会の平和と安全のために活動している」「大規模災害など各種事態への対応で国民生活に密接にかかわっている」―などでした。「関心」を少しでも大きくさせ、どれだけ行動に移してもらえるか。ここへの対策のためには、学生世代とのより緊密なコミュニケーション。今以上に、イベント、行事などを増やすことも一つでしょうか。

地元の学生を地元で育て、高い専門性と豊かな人間性を育む教育理念を持つ「学校法人 穴吹学園 穴吹カレッジグループ 福山」のHPにこんな紹介がありました。自衛隊に対するイメージは「きつい、きたない、危険」の「3K」から、給与、休暇、希望の「新3K」が生まれつつあり、多くの職種を背景に個々の能力や個性を生かせる仕事を初めて知る学生が多かったことを記していました。

決して若者たちに迎合しなければならない、ということではありません。自衛官の処遇改善が今、大きなうねりとなっています。東京地本の学生の反応にもあるように、自衛隊がまだまだ知られていないようにも思います。

















伝えるべきところをしっかりと伝え、合わせるべきところは合わせる。それこそが自衛隊の活性化につながり、防衛力の強化を支える人材の確保につながるものだと思っています。