都城駐(司令・石岡1陸佐)は2月15日、都城市乙房ICで実施された都城志布志道路開通式典に参加した。
都城駐(司令・石岡1陸佐)は2月15日、都城市乙房ICで実施された都城志布志道路開通式典に参加した。
都城志布志道路(約44キロ)は、日本有数の畜産地である都城市と志布志港を結び、物流効率化による地域産業の活生化、広域的な医療活動、防災機能強化などを目指した高規格道路。
式典では、来賓祝辞、出席者によるテープカット、くす玉開披かいひなどの後、自衛隊と消防などの「経済」・「医療」・「防災」に携わる車両による「通り初め」行事が行われ、都城駐からは、駐屯地司令ほか、軽装甲機動車1両、偵察用オートバイ3両が参加した。
道路の開通により、防災を担う自衛隊として自然災害をはじめとする各種災害の発生時に地方公共団体などと連携・協力し、さらに即応することが可能になった。
<編集部より>
日常生活に欠かせないもの。考えれば山ほどあると思いますが、意外と「そうだよね」となるのが道路です。地域にとっては「大動脈」ともいわれるほど、さまざまな産業などに直結してくるのであれば、なおさらです。
日本有数の大畜産地帯を縦断し、鹿児島県の志布志港と宮崎自動車道を直結する都城・大隅圏域の「足」である「都城志布志道路」がこのほど全線開通し、その式典の「通り初め」行事に自衛隊が参加したというのが本日のお話です。防衛日報でも紹介しました。
都城駐屯地の報告によれば、軽装甲機動車1両、偵察用オートバイ3両が参加しました。そもそもは、上記にもあるように地域産業にとってはなくてはならない、とても重要な道路です。なぜ、その開通式典に自衛隊が登場したのかといえば、そこにあるのは「防災」が関係するからなのです。
各種自然災害発生時に即応態勢を取るには、まずは道路を使った移動、その後の救援・救命活動が欠かせません。警察、消防とともに自衛隊の出番となります。災害で道路がダメージを受ければ、装備などが万全な自衛隊への派遣活動の依頼が来るでしょう。都城志布志道路の全面開通が、地元経済にとっては大きなメリットですが、平時ではなくなった時、いざという時、を考えるにあたっては装備車両、援助物資などの運行・運搬のための道路は最重要なのです。
昨年元日の能登半島地震のこと思い出してみてください。被害が最も大きかった奥能登の輪島、珠洲両市などの地形は山がせり出して陸地が狭い上、道路が少なく、その道路が寸断されたことで陸地からの応援活動が困難となり、自衛隊は海上から船での人員や物資の輸送などで対応せざるを得なかったという経緯がありました。
緊急を要する際は、致命的にもなりかねないことです。だからこそ、日頃からの防災に向けた準備や有事での体制づくりが求められる中で、道路と向き合いながら、地方公共団体などと連携・協力することが大事になってきます。地元紙などによれば、地元の曽於(そお)市の五位塚(ごいつか)剛市長は「経済はもちろん、救急、防災面で本当に求められていた道。計画から約30年、ようやく開通してくれたという思いだ」と喜びを語ったそうです。
警察や消防の車両と違い、自衛隊車両というのは一般人が街中で見かけることはあまりありません。自衛隊にとっては大きなPRになるだけでなく、地域の人たちにとっても自衛隊がこういった式典に参加する意味を考えてもらうきっかけとなってくれたら、望外の喜びです。