夏を彩る花壇コンクール 部隊ごとに個性あふれる作品披露|名寄駐屯地

セクション画像
特選(第317高射中隊)

防衛日報 2025年8月19日付


 名寄駐(司令・大谷1陸佐)は7月24日、「令和7年度駐屯地花壇コンクール」を名寄自衛隊協力婦人会(会長・吉田素子氏)の審査協力を得て実施した。


 コンクールは、駐屯地の環境美化、隊員の潤いある生活環境を醸成する目的で実施され、今年で47回目を迎える夏の恒例行事。各部隊がそれぞれのテーマに基づいて趣向を凝らし、花の飾り付けを行うほか、資材を使用した立体的なデザインなど、自慢の花壇をプレゼンテーションとともに披露した。


セクション画像
厳選な審査をする名寄自衛隊協力婦人会

セクション画像
花壇のプレゼンを実施(駐屯地業務隊医務室)


 駐屯地所在の参加17個部隊の花壇は全て非常に美しい仕上がりとなっており、4高射特科群317高射中隊(テーマ「四季を巡る生命の輝き~名寄に根差す誇りの花々~」)が初特選を、


セクション画像
特選(第317高射中隊)

 

 318高射中隊(テーマ「大地創生―Genesis of Nature―」、2後方支援連隊2整備大隊即応機動直接支援中隊(テーマ「成長~色の重なりが調和を生む~」)が優秀賞を受賞した。


セクション画像
優秀賞(第318高射中隊)

セクション画像
優秀賞(即応機動直接支援中隊)


 特選を受賞した317高射中隊の沼澤2陸曹は「一人では特選に選ばれることはなかった。協力してくれた中隊の方々のおかげ」と感想を述べた。

 表彰式では審査員代表として吉田会長から、「今年も素晴らしい花壇を見させていただき、ありがとうございます。甲乙つけがたく、皆さまが丹精込めて花壇を作ってくださる様子が手にとってわかるような素晴らしい花壇だった」との評価を受けた。


 名寄駐は「本格的な夏を迎え、駐屯地はきれいな花々に囲まれ、美しさと潤いにあふれている」としている。


<編集部より>


自衛隊の駐屯地の中には、旧軍から引き継いだ土地に元々、桜が植えてありました。取材などで訪れたいくつかの駐屯地にはたしかにありました。

歴史を紐(ひも)解くと、日本では武人の象徴が桜でした。「短期間に美しく咲き、すぐに散る」という桜の特性がいつの頃からか武士の理想とされていたということが背景にあることを知りました。もちろん、現代では通用しづらい考え方ですが、日本のシンボルでもある桜や花に対し、自衛隊との「熱き関係」は今も連綿と続いている気がします。

その一つの具体的な例として挙げるならば、駐屯地に安らぎを与えてくれる花をいっぱい敷き詰めた花壇でしょうか。今年も名寄駐屯地では「花壇コンクール」が名寄自衛隊協力婦人会の審査協力を得て行われました。防衛日報の本日(8月19日付)2面のトップ記事です。

すでに47回目。伝統行事です。コンクールの目的は、①駐屯地の環境美化②隊員の潤いある生活環境を醸成する―としていますが、個人的には花壇の手入れ、管理自体人間が担当するわけですから、隊員の意識につながる以上、②が本音のように思います。厳しい訓練を終え、駐屯地に戻った時、迎えてくれる花の数々。その魅力を一瞬でも味わうことが次への活力につながるのです。

いつの時代も、花は人々を引き付けてやみません。自衛隊もそこは同じ。帽章や階級章、車両などの所属マークはすべて桜の花なのです。花壇もまた、駐屯地の目立つ場所に置かれており、さらにその力を発揮しているのです。

直接、闘う活動は訓練、炊事競技会や炊事コンクールも訓練です。このあたりまでは、闘う活動に直結します。前線での屋外での食事が重要なのは当然ですから。

しかし、こうした意味から言えば、花壇づくりは一味も二味も違います。今回、参加した17個部隊はそれぞれのテーマに基づいて趣向を凝らし、花の飾りつけを行ったり、資材を使って立体的なデザインにするなど、プレゼンとともに披露していました。

名寄駐の最後のコメントにもあるように、「きれいな花々に囲まれ、美しさと潤いにあふれた駐屯地」にすることで、本来の団結心の向上はもちろんのこと、隊員一人ひとりの環境に対する意識の向上にもつながるものとして、さまざまな成果をもたらしてくれるのでしょう。

静内駐では、「令和4年度新ひだか町の花いっぱい運動」の開催に伴い、町から花の苗4800本の提供を受け、駐屯地花壇コンクールを計画し、愛情を注ぎながら日々、水やりや手入れなどを実施しているとのこと。古河駐の花壇コンクールのテーマは、普段の渡河訓練にかけて「渡花訓練」ということです。

駐屯地を訪れる人たちに向けても、花壇づくりはいい効果が期待できそうです。何せ、「精強な自衛隊」です。敷地に足を運びにくい面があったとしても、暖かいオーラで花壇・花が「ようこそ!」と出迎えてくれることで、何となくほっとする気持ちにさせてくれる気がします。「地域とともに歩む」自衛隊にとって、これこそが背中を押してくれそうなポイントとなるのです。