久居駐33普連(連隊長・南平1陸佐)は7月2日から21日の間、防衛大学校が実施する「令和7年度防衛大学校夏季定期訓練第3学年部隊実習」を4中隊(中隊長・佐藤3陸佐)の担任で支援した。
久居駐33普連(連隊長・南平1陸佐)は7月2日から21日の間、防衛大学校が実施する「令和7年度防衛大学校夏季定期訓練第3学年部隊実習」を4中隊(中隊長・佐藤3陸佐)の担任で支援した。
実習は、防大の学生11人に対し、部隊の実情や普通科連隊の特性を訓練、営内生活を通して体験させることにより、幹部自衛官の地位や役割を理解させ、資質を向上させるのが目的。
野営訓練では、師団検閲での対抗部隊の要員として参加し、2夜3日の連続状況下での部隊行動により第一線の普通科部隊の行動を体感した。
懸垂降下訓練では、当初、久居訓練場レンジャー塔で連隊のレンジャー隊員からロープの結索要領、降下要領の教育を受けた後、駐屯地内の10号隊舎屋上(約20メートル)から懸垂降下を実施した。
降下前は屋上からの高さに圧倒されていたが、防大生は屋上から大きな声で決意表明を行い、高さの恐怖を払拭(しふっしょく)ながら降下した。
最後の課題発表では、「防災における過去の問題点と今後の課題および解決案」をテーマに防大生はそれぞれの意見を発表した。
久居駐は「今回の部隊実習を通じて防大生は、気力、体力を養うとともに、普通科部隊の各種戦闘行動に関する数々のノウハウを得て、自信に満ちあふれた表情で部隊実習を終えた」としている。
<編集部より>
「この人に付いていきたい」「この人とともに歩んでいきたい」…。そう思わせるようなリーダーこそ本物のリーダーです。
そこにあるのは「信頼」と「信用」、そして、「上」だけを見て、ただ単に「下」に下ろすことでは責任は果たせません。必要なのは、部下と綿密なコミュニケーションを取り、お互いの考えや意見、中には不満などを分かち合い、話し合い、組織として進むべき道を構築し、トップとしてその姿を具体的に示すことに他なりません。
「上意下達」は自衛隊らしさの最たるものです。命令・指揮系統なくして存在しない組織だからです。そこは変わってはいけないものですが、しかし、今、それだけでは下の人間の心には響かなくなってきました。現場の中核となる若手の「曹士」たちを的確な指示で牽引(けんいん)しなければならない指揮官の責任はとても重要になっています。
あすの指揮官たる防衛大学校の夏恒例の第3学年の夏季定期訓練部隊実習の報告がこのほど、久居駐屯地33普連から寄せられました。防衛日報では本日(9月17日付)2面で掲載しました。野営訓練をはじめ機関銃射撃、懸垂降下訓練のほか、史跡研修などまで、参加した11人には幹部自衛官の地位や役割を理解させ、資質の向上を目的に部隊の実情や普連の特性などを体験させました。
最後の課題発表も「考えて指示する」指揮官には重要な要素。机上の意見とはいえ、そこは防大生。それなりの覚悟を持って入学したはずですから、何はともあれ「自分の考え」をどれだけしっかりと表明し、理解してもらえるのかが問われます。ここを鍛えることは入隊後、幹部教育を経て小隊などを預かる立場としては必要不可欠なところでもあります。
久居駐からは、参加した防大生2人の所感文も併せて報告がありました。紙面でも紹介しました。詳細はデジタル版でご覧いただければと思いますが、2人が綴(つづ)った文章は素直で冷静で熱いものでした。
例年以上となった真夏の過酷な暑さの中、必死に取り組んだ訓練もさることながら、気になったのは将来、自分が同じ立場になるであろう幹部自衛官たちの姿だったようです。「曹士の考えを聞けた」「最も求められるのは人間力だと感じた」…。これらの言葉は、冒頭に記したリーダーに求められる資質に通じるものなのかな、と勝手に思った次第です。
座学だけでは得られないリアルな部隊の声や訓練体験などを現役隊員と寝食をともにする約3週間の実習です。必要な知識や技術だけでなく、精神的な資質や人間力、部下や仲間との強いつながりを勉強することで、部下の話をよく聞く「幹部のあるべき姿」を学ぶのです。重く厳しい任務が待ち受けている防大生ですが、そういう立場である以上、当然です。
部隊を率いて、日本を率いて、日本の行く末を常に思い、安心・安全と命と幸せを護(まも)るため、確かな道を進むために預けなければならない人間なのです。実習を一つの大きな経験として、今後にどう生かしていくことができるのか。防大生たちには学校に戻って改めてしっかりと考え、今後に生かしてもらいたいものだと思います。