陸自中央輸送隊(隊長・小薗井1陸佐=横浜)は10月20日から24日の間、大分港大在公共埠頭で「港湾荷役実動訓練」を実施した。
訓練は、「令和7年度自衛隊統合演習」における統合後方運用(物資輸送訓練)の一環として、自衛隊海上輸送群、西部方面後方支援隊、九州補給処との協同による補給品輸送を想定。自衛隊自らがクレーンなどを使用して各種補給品が入ったコンテナを輸送艦との間で搭載・卸下(しゃが)する場面を往復で演練した。
中央輸送隊は、令和2年より隷下部隊である方面分遣隊を中心に港湾荷役訓練を実施しており、自衛隊海上輸送群の新編を見据えて訓練を積み重ねてきた。
これまで中央輸送隊は、海自、米陸軍、民間船舶事業者が保有する船舶との訓練を実施してきたが、今年3月に新編された自衛隊海上輸送群の輸送艦「ようこう」「にほんばれ」との訓練は今回が初めてで、その意義は極めて大きいものだといえる。
10月20日から21日にかけては、中央輸送隊3方面分遣隊(隊長・吉岡2陸佐=朝霞)と西部方面後方支援隊103弾薬大隊(目達原)、自衛隊海上輸送群2海上輸送隊「にほんばれ」(呉)が協同訓練を実施した。
この間、中央輸送隊長が3方面分遣隊に対する訓練検閲に準じた練度評価を行った。3方面分遣隊長の指揮の下、分遣隊が一丸となって取り組み、特にフォアマンと呼ばれる、荷役作業の全般計画を策定する隊員が、荷役地域全般を統制した。
確実な20フィートコンテナへの玉掛け作業、細心のクレーン操作による船倉からの搭載・卸下作業を協同各部隊と連携して整斉と実施できていたことから、港湾荷役能力を十分に保持していると評価した。
10月22日から23日にかけては、中央輸送隊5方面分遣隊(隊長・川崎2陸佐=健軍)と西部方面後方支援隊105補給大隊(目達原)、自衛隊海上輸送群1海上輸送隊「ようこう」(呉)が協同訓練を実施した。
強風が吹き、時化(しけ)により船が動揺する難しい状況の中、現場指揮官(松本3陸佐)の指揮の下、協同部隊との作業前の認識共有を行い、20フィートコンテナを整斉と搭載・卸下した。
また、初めて5方面分遣隊により港務支援を行った。海上輸送群の輸送艦が民間港湾に入港する際の支援で、岸壁使用に係る港湾管理者との調整、艦船が入港する際の曳船(タグボート)や接岸の際に使用する防舷材の輸送・設置に係る契約、必要により輸送艦への食料・燃料の提供などがあり、これらは中央輸送隊に新たな任務として付与されているもの。
中央輸送隊は「今回の訓練は、自衛隊海上輸送群の輸送艦が民間港湾に接岸する初めての訓練だったが、各方面分遣隊の入念な事前準備により、港湾荷役実動訓練、自衛隊海上輸送群に対する港務支援のいずれも所要の成果を収めることができた」としている。
<編集部より>
防衛日報では、本日(11月28日付)2面のトップ記事として陸上自衛隊中央輸送隊が実施した「港湾荷役実動訓練」の様子を掲載しました。輸送隊から多くの写真が寄せられましたので、読者の方々に分かりやすい方法は、「『連続写真』しかない!」と膝を打ちました。
岸壁にはクレーンを積んだトラック。操作するのは自衛隊。クレーンを使って輸送艦までアームを伸ばし、各種補給品が入った20フィートのコンテナを吊(つ)り上げ、岸壁まで持ってくる…。その流れだけかと思い、新聞では写真に順番(①~④)をつけてタテに並べてみようと思ったのですが、実際は逆のパターン(輸送艦からトラック)の可能性も。
だとしたら、写真を置き換えなければ、と思い、報告を寄せていただいた中央輸送隊本部総務科総務班長の熊野3陸佐に尋ねてみました。
結果は杞憂(きゆう)でした。訓練は10月20日から24日の間、大分港大在公共埠(ふ)頭で行われ、期間中、前半、後半と協同部隊を変えながら、「行き」と「帰り」それぞれの作業を実施したとのことでした。
新聞で掲載された4枚の写真は当初、そうだと思っていた「行き」の流れで、後半に実施したものということでした。言われてみれば、それはやるでしょう。当然のことながら、一方向というわけにはいきませんし。
記事と写真は「夫婦」のようなもの、と上司から常々言われていました。編集者として、整合性や統一性が最大限、求められる重要な要素であるがため、記事に合わせようとし、先走ってしまったお話でした。時間が経(た)てば、写真を見る限りは順番を付けなければなんてことはない。その程度の話かもしれませんね。試行錯誤しながらの編集作業ではありがちのパターンでした。その一コマ程度の話として耳を傾けていただければ幸いです。
本題に戻します。今回の中央輸送隊の訓練は7年度自衛隊統合演習における「統合後方運用(物資輸送訓練)」の一環として行われました。重要度、ニュース度はとても大きいものです。何せ、主に「南西シフト」対策として今年3月、新たに編成された大組織「自衛隊海上輸送群」の輸送艦と陸上の荷物の搬入という作業。とても重要です。
組織は作りました、船(輸送艦)も準備しました、隊員も確保しました…。それだけではダメなのです。要は、南西地域に向かうため、さらには長い継戦となれば、航路を往復することは必然。補給品をどう運ぶかはある意味、戦いに大きな影響を及ぼします。資機材から弾薬、食料、その他さまざまな補給品を運ぶことを想定した今回の港湾荷役訓練はそれほど重要で、欠かせないものなのかと思います。
何よりも、中央輸送隊の最後のコメントにもあるように、海上輸送群の輸送艦が民間港湾に接岸する訓練は初めてのこと。南西地域の有事に向け、さまざまな方向から防衛対策、とくに島民らへの「国民保護」のため、現場で任務を続ける隊員たちのため、「その時」に向けて着々と進められている現状を感じ、紙面で大きく展開した次第です。