みんなのブルーインパルス 令和7年

〜第14旅団創隊19周年及び善通寺駐屯地開設75記念行事〜

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香川県らしい善通寺とその後方を飛ぶブルーインパルスを絡めた1枚《写真・桂川展明》

 

 平素より国防に従事される自衛隊隊員の皆様に心より感謝申し上げます。

 尊いご奉職により殉職された隊員諸氏のご功績に深く敬意を表し、心より哀悼の意を捧げます。

 







 令和7年(2025年)427日(木)、ブルーインパルスが香川県の善通寺駐屯地開庁記念行事で飛びました。ブルーインパルスの善通寺駐屯地での展示飛行は19年ぶりで、第14旅団創隊時の平成18年(2006年)521日以来でした。


 巻頭の写真を投稿いただいた《桂川展明さん》からコメントをいただきました。

 





“ドクターヘリの関係で善通寺駐屯地上空での展示飛行は残念ながら中止になってしまいましたが、善通寺の後方を飛ぶブルーインパルスと善通寺を絡めた写真が唯一撮影できました。因みに前日予行は
うたづ海ホタルからブルーインパルスと瀬戸大橋を絡めた写真の撮影に成功しました!名古屋から夜勤明けで前日予行、本番当日の夜勤前に行って良かったです!”


香川県出身の6番機浅香光司1空尉が凱旋したパレード飛行



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善通寺駐屯地展示飛行コース(出典・航空自衛隊)


平成18年は浜松基地よりのリモート展示でしたが、今年は築城基地からのリモート展示とし、香川県内の丸亀城、香川県立アリーナ、瀬戸大橋を周遊して善通寺駐屯地上空に達するコースとなりました。





 この展示飛行で6番機の浅香光司1空尉が展示デビューを果たしました。浅香1空尉は香川県立坂出高校出身で、航空学生から航空自衛隊の戦闘機パイロットになりました。飛行コースでは丸亀城通過後にその東にある金山の北側を回って香川県立アリーナに向かっていますが、その金山の北西側に坂出高校があり、まさに地元母校上空での凱旋飛行となりました。


善通寺駐屯地から見えた丸亀城への飛行(動画・本多淳子)


 この丸亀城へと向かう飛行は善通寺駐屯地からも見えていましたが、最終的に善通寺駐屯地上空へ戻ってくる前にドクターヘリの緊急飛行が発生したため中断となりました。空中待機し、善通寺上空へ進む機会を模索していたようですが、結果的には規定の残燃料に達し、築城基地へと帰っていきました。

 

ここでは香川県内をパレード飛行したブルーインパルスを皆さんの投稿作品で見ていきます。








 丸亀城上空へ


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みんなのブルーインパルス


善通寺市の南側にある大麻山から見たブルーインパルス《動画・Noda Kac


 ブルーインパルスファンネット主催のFacebookグループ「みんなのブルーインパルス」には、“山岳撮影”で知られる《Noda Kacさん》から、善通寺駐屯地からも見えた最初のパスを、善通寺駐屯地の南側背後にある標高616.3mの大麻山から撮影された映像を投稿いただきました。映像には、瀬戸内海や瀬戸大橋を背景に、丸亀城を越えて、讃岐富士の別名を持つ飯野山手前で坂出市上空に入りつつ旋回し、坂出高校のある方向へ進む姿が映されています。ブルーインパルスが大麻山の標高と同じような高度で飛行し、地形によって高度を調整して飛んでいることもわかります。


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丸亀城から見たブルーインパルス《写真・三田村精久》


 《三田村精久さん》は丸亀城からブルーインパルスを撮影されました。高台になった丸亀城は見晴らしがよく、高松で折り返し瀬戸大橋上空を通過する光景まで一緒に投稿してくださいました。


瀬戸大橋開通記念行事でも飛んだ香川県立アリーナ上空へ


善通寺駐屯地開設75周年記念行事で飛んだブルーインパルス《動画・平見昭子》


“ブルーインパルスが飛んだ実際の飛行ルート通りに動画を編集しています。瀬戸大橋を通過後、善通寺での展示飛行の予定でしたが、ドクターヘリの影響の為、展示飛行がありませんでした。当日見られなかった人の為に動画を編集しました。”

 

 《平見昭子さん》はご親族で飛行ルート全域の動画を撮影し投稿してくださいました。経過がよくわかる映像をありがとうございました。







 

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香川県立アリーナ上空のブルーインパルス《写真/動画・山本健二》


 《山本健二さん》も香川県立アリーナのある高松港で撮影してくださいました。かつて瀬戸大橋開通20周年記念行事(平成20年(2008年)413日)で編隊連携機動飛行を披露した場所に、ふたたびブルーインパルスが舞い戻ってきました。


そして瀬戸大橋上空へ



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瀬戸大橋上空を飛行するブルーインパルス《写真/動画・近藤秀樹》


 《近藤秀樹さん》は瀬戸大橋の四国・坂出市側のたもとにある瀬戸大橋記念公園から撮影してくださいました。筆者は、瀬戸大橋開通20周年記念行事で、岡山県側から瀬戸大橋に沿ってその西側をこちらに向かって飛んでくるブルーインパルスをこの辺りで待ち受けました。瀬戸大橋に直角に飛ぶブルーインパルスもまた斬新で、素晴らしい眺めとなりました。

 

 ちなみに瀬戸大橋の道路の高さは海面から90m(約300ft)です。ブルーインパルスが飛行場のみで見せる曲技飛行(アクロバット飛行)のファン・ブレイクや4シップ・インバートといった課目で飛ぶ高度がちょうどこの瀬戸大橋の道路の高さになります。この日の展示飛行では十分に安全な高度を取って、瀬戸大橋よりだいぶ高い高度で飛んでいます。










福岡県の築城基地からのリモート展示


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築城基地に帰投したブルーインパルス《写真・長嶋一人》


 瀬戸大橋上空を飛行したブルーインパルスは、ドクターヘリの緊急飛行が発生したため空中待機し、善通寺駐屯地上空への飛行の機会をうかがいましたが規定の残燃料に達したため、築城基地へと帰投しました。



《長嶋一人さん》が築城基地に帰投したブルーインパルスの写真を投稿してくださいました。


ドクターヘリを優先したブルーインパルス


 SNSでは、ブルーインパルスが燃料切れのトラブルを起こしたような憶測や、善通寺周辺で発生した渋滞のために救急車が動けずドクターヘリが出動したというような憶測も出ましたが、いずれも誤りです。ブルーインパルスは規定の残燃料に達したために規定通りの帰投をしたのです。予期せぬ燃料不足が発生したということではありません。またドクターヘリの出動も、こちらの調査では、徳島県で発生した水難事故のための緊急飛行のようでした。ブルーインパルスの展示飛行と重なりましたが、皆さんが日頃より道路で救急車を優先するように、ドクターヘリが優先されることは言う前でもありません。多少の誤解は見受けられたものの、SNSではこのドクターヘリ最優先の対応に多くの称賛の声が上がりました。


【説明しよう!】



「リモート展示飛行について


 この帰投の理由について、19年前の善通寺駐屯地展示飛行では地上統制官で現地に赴いた吉田信也元2空佐(当時3空佐、第11飛行隊飛行班長)がブルーインパルスファンネットの【説明しよう!】シリーズの中で説明してくださいました。ここではブルーインパルスが入念な計画に基づき、その通りに飛んでいることがわかります。






善通寺駐屯地ではファンサービスに対応


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サイン会に対応するブルーインパルス地上メンバー。手前から逢坂2空曹、浦3空佐、江尻2空佐、嶋谷2空曹(写真・本多淳子)


 展示飛行に先立つ午前中には、現地に赴いた江尻卓2空佐(第11飛行隊長)、浦祐眞3空佐(5番機練成)、嶋谷俊三2空曹(飛行管理員)、逢坂祐次郎2空曹(整備員)がファンサービスに対応しました。


19年ぶりの善通寺


 第14旅団創隊19周年及び善通寺駐屯地開設75記念行事のブルーインパルスはいかがでしたでしょうか。19年前の善通寺駐屯地展示飛行は浜松基地からのリモート展示で、今回の築城基地に比べると100kmも遠いところから飛んできました。そのため駐屯地上空を3回パスするだけの展示飛行にとどまりましたが、今年は多くの方に見ていただけるように香川県内をパレード飛行し、善通寺駐屯地上空では編隊連携飛行を3課目以上披露する予定だったようです。19年前はそのほか、前日は同じく浜松リモートでの奈良基地での展示飛行でしたが、そちらは浜松基地を離陸したものの、途中に分厚い黒い雲が立ちふさがり、奈良まで来られず中止となりました。展示飛行が成立する構成要素は多岐にわたり、それゆえに快晴の空ですべてが整った展示飛行を見られることの感動も格別です。文中で紹介しました吉田信也さんの【説明しよう!】シリーズではブルーインパルスが飛ぶための様々な構成要素のお話をわかりやすく解説してくださっていますので、参考にしてみてください。


【説明しよう!】


これからもブルーインパルスならびに自衛隊の応援を宜しくお願いいたします。

 

《投稿写真/動画》桂川展明、Noda
Kac
、三田村精久、平見昭子、山本健二、近藤秀樹、長嶋一人







(文/写真/動画)ブルーインパルスファンネット
今村義幸/本多淳子/伊藤宜由/Yuka
Miyamoto