年末の風物詩「姫路城クリーン作戦」に参加|姫路駐屯地

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<兵庫>姫路駐(司令・米村1陸佐)は12月19日、世界文化遺産・国宝「姫路城」で、今年度49回目となる「姫路城クリーン作戦」に協力・参加した。
 
城壁や石垣の草木も除去

 作戦は、姫路市からの依頼に基づき、姫路駐所在隊員約500人が参加する地域との連携強化を図る事業の一環で、姫路城における年末の風物詩になっている。
 
 作戦部隊指揮官の米村駐屯地司令は、「丁寧に任務遂行せよ」「安全管理」の2点を要望し、任務を遂行させた。

作戦部隊指揮官訓示

白鷺太鼓部による出陣太鼓演奏

 城壁や石垣の草木は、隊員がロープなどを利用して除去し、堀に落ちた草木はボートにより回収搬送作業を行った。

城壁班による草刈り

水上班による草木の除去

 大天守では、レンジャー隊員12人が軒下の隅々まですす払いを丁寧に行った。高さ約50メートルの大天守に急峻な石垣など高所における作業では身体の安全確保のため、綿密な事前偵察とロープワークなどの訓練を実施し、準備を万全にして作戦に臨んだ。

石垣清掃

草木等の集積

 参加隊員は、「世界文化遺産・国宝、姫路城の保存・伝承に貢献する、栄誉ある任務であることを認識し、美しいお城とともに、姫路市民の皆さまが清々(すがすが)しい気持ちで新年を迎えられるよう本作戦を遂行しました。その結果、白さがよみがえり、けがもなく『作戦成功』となりました」と話していた。

編成完結式 記念撮影

 姫路駐は「白く輝きを取り戻した国宝・世界文化遺産の『姫路城』をぜひ、ご覧ください」としている。


◆関連リンク
陸上自衛隊 姫路駐屯地
https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/himeji/home.htm

<編集部より>

 自衛隊だからこそできる任務はさまざまですが、年末恒例の世界遺産・姫路城の掃除は街中にある「社会」の、だれもが知っている建造物を対象とする内容です。多くの市民たちの目に入るシチュエーションでもあることでいえば、あまたある任務の中で「社会貢献」となる大きな任務といえるものです。もちろん、訓練の一環と地域との連携強化という2つの大きな目的が背景にありました。

 防衛日報は本日(1月31日付)2面で、この「姫路城クリーン作戦」と銘打たれた企画に参加した陸上自衛隊姫路駐屯地の精鋭たち約500人の奮闘を写真とともに紹介しました。

 繰り返しますが、その内容はやっぱり自衛隊。「らしさ」がふんだんに生かされているものでした。高さ約50メートルの大天守の軒下のすす払いは、12人のレンジャー隊員が命綱を着けながら屋根にたまったすすやクモの巣を長ぼうきで払ったり、ロープを使って城内各地の急峻な石垣では、張り付くように丁寧に雑草などを刈ったり、ボートを使った内堀の清掃では草木を回収し搬送する作業まで、普段は行き届かない場所を隅々まで念入りに掃除したようです。

 姫路市によると、参加車両約70台、ボート約13隻。清々(すがすが)しい気持ちで新たな年を迎えてもらうため、別名「白鷺(しらさぎ)城」といわれるほどのあざやかな白鷺の輝きをよみがえらせるため、命がけともいえる作業を足を止めてじっと見つめた多くの市民へのアピールのため、何よりも、部隊の練度向上のため、任務を完遂し、駐屯地のコメントにあるように「作戦」は見事に成功しました。

 社会の中に存在、存立する高所、難所の清掃作業は、かなりの熟練度が要求されます。高さ120メートルの世界最大の青銅大仏「牛久大仏」の洗浄作業や、高さ80メートルにある風力発電所の「風車」の補修作業など、テレビやインターネットなどで紹介されることはよくあります。思わず、足がすくむ、そんな気持ちになるのと同時に、こうした危険を伴う業務を続ける人間がいて、社会が成り立っていることを知る機会となるわけです。

 もちろん、熟練者といえども一般社会の人間ですから、有事なども含め危険と隣り合わせの任務を与えられる自衛隊とはまったく違いますが、一つ共通項があるとするならば、社会の中でどう向き合い、それが社会にどのような貢献、影響を与えるのか、ということです。

 国防という最大の任務とともに地域との共存、連携を自衛隊は努めています。北朝鮮のミサイル対応、防衛大臣の駐屯地や基地への視察、自衛隊の災害派遣…それはニュース、報道であるだけでなく、こうした自衛隊の国民への存在意義を強調するニュースを紹介しながら、奮闘する隊員たちの姿を掲載することもまた、広報紙としての重要な「広報」項目の一つであろうと思います。肝に銘じて編集作業を続けていきたいと思っています。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報1月31日付PDF