滝川駐10即応機動連隊(連隊長・小林1陸佐)は9月23日から26日の間、上富良野演習場で、令和7年度総合戦闘射撃訓練を実施。
中隊長らの射撃指揮、諸職種間の火力調整、機動と射撃の連携を重視して、諸職種部隊を総合した火力発揮練度の向上を図った。
併せて、火力支援中隊、狙撃班の中隊等訓練検閲(実射)を行い、射撃の精度、速度を評価して、じ後の進歩向上を促した。
<編集部より>
防衛省などによると、「総合戦闘射撃」は普通科部隊による敵陣地攻撃を軸として機甲、特科、対戦車ヘリなど、さまざまな部隊が一つの戦闘場面で同時に射撃を行うことです。それだけ、それぞれの射撃のタイミングや部隊の前進などにあたり、連携と指揮・統制が重要となり、各地の部隊でも定期的に実施される訓練の一つです。
滝川駐屯地10即応機動連隊で「令和7年度総合戦闘射撃訓練」が実施されました、その様子を防衛日報では本日(11月6日付) 2面に掲載しました。中隊長らの射撃指揮から諸職種間の火力調整、さらには機動と射撃の連携を重視し、諸職種部隊を総合した火力発揮練度の向上を図ったようです。
戦いには戦法が行方を大きく左右します。古くて恐縮ですが、個人的に大好きな戦国時代を例にとってみても、多くの戦法を駆使した戦いがあり、山、川など周囲の自然環境を生かした攻撃、中には想定外のアイデアを生かしたものも多数、ありました。
自分なりに考えるに、共通しているのは、連携であり、戦いの場全体を俯瞰(ふかん)しながらの指揮・統制。この2つが背景に存在することこそ、有利な局面に導く大きな作戦(戦法)。端的に言えば、「総合力」があってのことなのなのではないかと思います。
しかし、当然のことながら、最初から総合訓練というわけにはいきません。まずは単独の射撃訓練があり、その後、流動的ながら移動しての戦闘要領を把握する訓練があり、広範囲にわたる戦場を想定した訓練戦闘へ…など、流れの一つひとつを徹底した上で初めて、実戦的な対処能力を身に付けるわけです。
たとえば、のケースとして紹介してみます。攻撃待機位置に控えた部隊は、砲迫による支援を受けて前進。そこで、敵戦車や装甲車が出現しますが、機甲部隊や隊戦車誘導弾部隊が撃破し、前進を支援する…。あくまでも一つのシナリオです。
文章ではわかりにくくてすみませんが、要は上記にあるように「場(場面)」は一つなのです。そこに、敵味方のそれぞれの車両が入り混じっての戦いとなるわけですから、各自が勝手に動いて進み、敵に砲を向けてしまえば、組織、チームとしての戦い方、戦法に影響を与えかねず、バラバラになり、結果は見えてきてしまいます。
一つひとつの戦闘には必ず、指揮・命令があっての動きがある以上、総合戦闘射撃がどれほど重要なものなのかは、こうした理屈を聞くまでもなく理解でるものなのかと思います。
さらに言えば、複雑な戦闘状況で各級の指揮官が的確な状況判断を下し、部隊を効果的に指揮・統制する能力を養うのも総合戦闘射撃です。
多様な火力を統合的に運用し、実戦的な環境下での部隊の戦闘能力を最大化する―。これこそが、総合戦闘射撃の核心的な目的といわれます。この「仕上げ」の訓練を重ねることが有利な戦いにつながることは言うまでもありません。