防衛省は8月29日、令和8年度予算の概算要求を発表した。
要求額は過去最大の8兆8454億円を計上し(SACO=米軍再編経費など=を除く)、前年度比約1.7%増となった。
「防衛力整備計画」の4年目となる8年度は、無人機を活用した監視や偵察能力の向上に向けた調達規模を増やすなど、無人アセットによる多層的沿岸防衛体制(SHIELD)の構築を進めるほか、スタンド・オフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、領域横断作戦能力など、将来を支える7分野※への重点的な投資を継続する構えだ。
特に、無人アセット防衛能力には3128億円を、スタンド・オフ防衛能力には過去最大級となる1兆246億円を配分するなど、重点施策への手厚い資金投入が際立っている。
さらに、未来の防衛力を支える7分野※への投資に加え、現有装備・施設の効率的活用、自衛官の処遇改善や勤務環境の充実、技術・生産基盤の強化といった人的・物的両面での施策も併せて進められている。
人的基盤の向上には処遇改善・勤務環境整備に7658億円、研究開発に2189億円を計上。物価高や円安など厳しい経済環境下にあっても、コスト効率と進捗(しんちょく)管理を重視したとしている。
「防衛力整備計画」に基づく制度整備や戦略的予算配分を通じて、防衛力の抜本的強化を明確に打ち出す狙いだ。
政府は計画期間中に防衛費のGDP比2%に引き上げる方針で、その増額傾向は持続している。
※「防衛力整備計画」で定められた7つの重要分野 ①スタンド・オフ防衛能力 ②統合防空ミサイル防衛能力 ③無人アセット防衛能力 ④領域横断作戦能力 ⑤指揮統制・情報関連機能 ⑥機動展開力・国民保護 ⑦持続性・強靭性