みんなのブルーインパルス 令和7年〈Vol.6〉「東京2025デフリンピック、松島基地ランウェイライド」

セクション画像
《写真・5兵衛》


東京2025デフリンピック


 平素より国防に従事される自衛隊隊員の皆様に心より感謝申し上げます。

 尊いご奉職により殉職された隊員諸氏のご功績に深く敬意を表し、心より哀悼の意を捧げます。


 令和7年(2025年)11月15日(土)、ブルーインパルスが東京2025デフリンピック開会式に先駆けて、サッカー競技の会場となる福島県のJヴィレッジ上空で展示飛行を行いました。


デフリンピックとは?


 デフリンピックは、耳に障がいを持つアスリートのための国際的な総合スポーツ大会で、デフ(Deaf)は英語で「耳が聞こえない(聞こえ辛い)」という意味です。オリンピックと同様に4年ごとに開催され、今年は東京を中心とする各競技場、そしてサッカーについてはここ福島県双葉郡楢葉町と広野町にまたがるJヴィレッジで開催されました。


セクション画像
《写真・5兵衛》

 展示飛行当日、天候に恵まれ会場上空には青空が広がった。途中他の航空機による空域への進入のため一時中断、課目の変更を余儀なくされた。しかしブルーインパルスは突然のアクシデントにも慌てることなく臨機応変に展示飛行を完遂した。これも日頃から数多くの訓練を行い、経験を積んできた賜物であろう。地上班のトンボさんもトラブルを感じさせない落ち着いた口調でナレーションを成功させた。


Jヴィレッジとは?


 日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして設立され、東京ドーム約10個分にあたる49ヘクタールの広大な敷地を有しています。サッカー以外にも、ラグビー、アメリカンフットボール、卓球、バスケットボール、バレーボール、チアリーディングなどの合宿も出来るようです。これは宿泊や飲食においても同様であり、一般の来場者でもフィットネスクラブやレストランなどを利用することができるようです。

 Jヴィレッジといえば、覚えておられる方も多いと思いますが、2011年の東日本大震災時に福島第一原子力発電所で起こった事故の収束を図るべく、政府、東京電力、陸上自衛隊および警察や消防が臨時に部隊等を集結した際に、その対応拠点(現地調整所)となったところです。

 また、2021年3月25日には東京オリンピックの聖火ランナーがスタートした地点でもあります。


紅葉と秋空の下のブルーインパルス


セクション画像
〈写真・伊藤宜由〉


 ブルーインパルスの展示飛行を行う午前11時くらいからは、雲も徐々になくなりこの時期にしてはやや暑いくらいの日差しの中、編隊連携機動飛行展示が行われました。広野町にある火力発電所を避けるように、Jビレッジ・スタジアムおよび多面グラウンド上空を南側から進入し、右旋回ののちレーストラック上に再度南から、時には海上からの進入など、安全性を最大限考慮し各発電所上空を避けるように設定されたパターンには、工夫と配慮が十分伺えました。途中周辺空域への他機の進入があり一部課目を省略したものの、自然豊かな福島県のきれいな紅葉と青空がマッチして爽やかな印象を残してくれた展示飛行となりました。


チェンジ・オーバー・ターンについて


セクション画像
〈写真・福山博文〉


 では、今回は機動飛行のなかでも人気の高いチェンジ・オーバー・ターンについて、その実施要領を読者にだけ、そっとお教えしましょう。


① #1「チェンジ・オーバー・ターン、ゴーポジション」

② #6「6」 

※5機(#5を除く)のトレール(単縦陣)隊形に移行する。

③ #6「レディ」

④ #1「ラジャ」

※展示基準点の3.6km(2nm)前から

⑤ #1「1,スモーク」

※展示基準点の0.8km(0.5nm)前から

⑥ #1「チェンジ・オーバー・ターン、レッツゴー」

※#1は瞬時に85°バンク、2.5Gでやや上昇旋回を開始し、各機はそれぞれのポジションへ移行する。

⑦ #1「メイク、デルタ」(180°旋回したのちやや降下しながら)

※180°旋回した段階で、開始高度よりも約150m(500ft)ほど上昇してます。これは会場から水平飛行しているように見せるためです。

⑧ #6「6」

※左右に開いた位置から、徐々に隊形を密集させていく。

※最終的には「B(ブラボー)隊形」(ブルーインパルス隊形のうち2番目に近い隊形)まで移行する。

⑨ #1「スモーク、C(チャーリー)」(ブルーインパルスの基本となる隊形)


https://www.youtube.com/shorts/Se2u0dSeC7M

〈動画・Yuka Miyamoto〉


 いかがでしょうか?次回見る時に、タイミングを計り、ボイスを出しながらやってみてくださいね。


東京2025デフリンピック展示飛行課目構成


1) デルタ・ローパス、2)レフトエシュロン・ローパス、3)グランドクロス・ローパス、4)チェンジ・オーバー・ターン、5)クリスマスツリー・ローパス(ダーティ形態)、6)ピラミッド・ローパス・ターン、7) フェニックス・ローパス


東京2025デフリンピック展示飛行メンバー


#1 川島良介3空佐(飛行班長)、御厨成祥3空佐(次期飛行班長)

#2 松永大誠1空尉

#3 松浦翔矢1空尉

#4 佐藤裕介1空尉

#5 浦祐眞3空佐、下田一輝1空尉

#6 浅香光司1空尉

地上統制官 江尻卓2空佐(飛行隊長)

ナレーター 永淵亮磨1空尉


松島基地ランウェイライド2025


 令和7年(2025年)11月8日(土)には、東松島市と石巻圏観光推進機構主催の松島基地ランウェイライド2025が開催されました。日頃、ブルーインパルス等が離着陸している松島基地の滑走路を自転車で走行する会です。

 滑走路が一般開放され、自由に走ったり記念撮影をしたりといったこのイベントの様子を、ブルーインパルス仕様に仕立てた特別な自転車で参加されたダッツンさんがお寄せくださいました。楽しそうな様子を誠にありがとうございます!


セクション画像
《写真・ダッツン》

 不参加だった松島基地航空祭が終わった翌日から、ブルーインパルス熱が高じて、手持ちのマウンテンバイクをブルーインパルス2番機に見立てて、イベント開催日迄の間にサイクルトレーラーをブルーインパルス4番機に見立ててデコレーション。パイロットの人形も乗せて当時は楽しいサイクリングを満喫しました。


セクション画像
《写真・ダッツン》

読者投稿受賞作品《防衛日報社賞》

セクション画像


 応募作品で防衛日報社賞に輝きましのはダッツンさんの作品です。ダッツンさんには防衛日報社賞の記念品を贈らせていただきます。


《投稿写真》5兵衛、ダッツン

(取材/文/写真/動画)ブルーインパルスファンネット みんなのブルーインパルス編集部

吉田信也/今村義幸/福山博文/伊藤宜由/Yuka Miyamoto