5月14日午後3時6分ごろ、航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)を離陸した中等練習機「T4」1機の航跡がレーダーから消失した。
5月14日午後3時6分ごろ、航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)を離陸した中等練習機「T4」1機の航跡がレーダーから消失した。
基地の北東約10キロに位置する同県犬山市の入鹿池(いるかいけ)で機体の浮遊物が発見されたことなどから、T4機は墜落したと推定される。
航空幕僚監部によると、T4機は離陸から約2分後の14日午後3時8分ごろ、犬山市付近の基地から北東方向に約13キロ付近でレーダーから航跡が消えたという。
同4時38分ごろ以降、航空機の一部や救命装備品、乗員の所有物(ヘルメット、帽子)などの浮遊物が同池から発見された。
当時、T4機には前席に5航空団飛行群305飛行隊の網谷2空尉(29歳)、後席に同、井岡1空尉(31歳)の空自隊員2人が搭乗していたが、15日午前までに安否は分かっていない。周辺の住民や住宅などへの被害は確認されていない。
自衛隊が救難捜索機U125A1機、救難ヘリコプターUH60J2機などを含め計36人の捜索隊を現地に派遣。警察、消防とともに2人の捜索を続けた。
空自は14日、事故調査委員会を立ち上げ、事故原因など詳しい状況の確認を進めている。事故機にフライトレコーダーやボイスレコーダーは搭載されていなかった。
また、事故を受け、約200機あるすべてのT4機の飛行を見合わせることを明らかにした。
T4機はF15戦闘機の機体の定期修理のため、戦闘機に随伴する形で所属先の新田原基地(宮崎県新富町)から小牧基地を訪れ、終了後、小牧基地を北に向けて離陸した後、東の方向に旋回。太平洋上に出て新田原基地に戻る途中だったという。
空自によると、搭乗していた2人はいずれも男性。当時、どちらが操縦していたのかは確認中としている。
T4機は隊員の操縦訓練などのために使用され、乗員は2人、エンジンが2基ある。燃料を補給しないで飛行ができる航続距離は約1300キロ。平成元年に31教育飛行隊が、同2年には32飛行隊が編成されたことで、基本操縦課程のすべてを担うことになった。
中谷元防衛大臣は14日、臨時会見を開き、「関係者に大変なご迷惑をおかけし、こころからおわび申し上げます」と陳謝し、「人命の救出に引き続き全力を尽くす」と述べた。