平素より国防に従事される自衛隊隊員の皆様に心より感謝申し上げます。
令和7年度三沢基地航空祭
令和7年(2025年)9月21日(日)、青森県三沢市の航空自衛隊三沢基地で令和7年度三沢基地航空祭が開催され、ブルーインパルスが展示飛行を実施しました。
平素より国防に従事される自衛隊隊員の皆様に心より感謝申し上げます。
令和7年度三沢基地航空祭
令和7年(2025年)9月21日(日)、青森県三沢市の航空自衛隊三沢基地で令和7年度三沢基地航空祭が開催され、ブルーインパルスが展示飛行を実施しました。
今年度、ブルーインパルスが参加する航空祭としては本拠地・松島基地航空祭に次ぐ二つ目の航空祭で、松島基地航空祭が曇天で曲技飛行(アクロバット飛行)を展示できなかったことから、三沢基地航空祭が初の曲技飛行での展示飛行となりました。
この展示飛行で、昨年11月のラリージャパンで展示飛行デビューした3番機の松浦翔矢1空尉、今年4月の善通寺駐屯地開庁記念行事で展示飛行デビューした6番機の浅香光司1空尉は、満を持してのアクロ・デビューとなりました。
一方、5番機の藤井正和3空佐は最後の展示飛行で、これがラスト・アクロとなりました。
航空祭シーズンが本格スタートし、メンバー交代が着々と進んでいることが印象付けられた三沢基地航空祭となりました。
曲技飛行の内容は見応えのあるものでした。3番機、6番機がそろい踏みでアクロ・デビューの中、曲技飛行の進行は、基地上空に出てきた雲のために、展示区分が第1区分から第4区分、航過飛行、第4区分へと推移する変化に富んだものとなりました。変わりやすい日本の空を象徴するような天候条件の中、移りゆく雲の状態を的確に判断し、区分変更していく難しい展示飛行を見事に完遂しました。
ブルーインパルスの展示区分は5区分、7段階に分かれています。雲底や視程で区分され、曲技飛行は飛行場でのみ実施されます。
5区分と呼ばれる編隊連携機動飛行と航過飛行は飛行場以外のイベントなどでも実施されます。飛行場外では地形や建物などで実施条件も変わってきます。飛行場では雲底1,500ftで可能な航過飛行も、東京都内ではスカイツリーや東京タワーあるいは高層ビルがありますので、もっと高い高度で飛ばなければならず、雲底1,500ftでは飛べません。
三沢基地航空祭のローリング・コンバット・ビッチは今までのものとは進入角度が違い、45度ほど観客席に向けて進入してきたように見えた。そのため観客に近いところを旋回するようになり、迫力があるフライトになった。個人的は今後もこの進入角度のローリング・コンバット・ビッチだと嬉しい《写真・5兵衛》
ブルーインパルスの展示飛行は、変わりやすい日本の空で飛ぶように設計されており、筆者がベンチマークとして比較する米海軍のブルーエンジェルスがハイ・ショー、ロー・ショー、式典などでの航過飛行の3段階の展示区分でやっていることと比べると、7段階もあるその展示飛行は日本人らしく、課目構成も1機、2機、3機、4機、5機、6機のすべての機数で実施され、職人的で緻密に構成された展示飛行となっています。
飛行展示は、三沢基地所属機から第3航空団のF-35Aや航空総隊偵察航空隊のRQ-4B グローバルホーク(高高度滞空型無人偵察機)、千歳基地からリモートでF-15J、米空軍のPACAF F-16デモチームは既に解散しており、残る三沢基地所属機によるF-16 CAS(Close Air Support(近接航空支援))フライトなどが披露されました。米空軍のF-16はいずれF-35Aに置き換えられるようです。
千歳基地第2航空団から飛来したF-15Jには元ブルーインパルス4番機の手島孝3空佐が搭乗していました。ブルーインパルスファンの間では、戦闘機に戻って元気に活躍されている姿と3等空佐に昇任されていたことに喜びの声が挙がっています。
航空祭前日にも、基地正門近くのスカイプラザミサワでブルーインパルスのサイン会が開催されました。ファンとの交流を大切にするブルーインパルスですが、航空祭では明記されたプログラムとして実施されることはなく、あくまでファンサービスとして実施されましたが、三沢では前日に時間を取ってサイン会としてこれが開催されました。
三沢基地航空祭展示飛行課目構成
1)インディビジュアル・テイクオフ、2)ローアングル・キューバン・テイクオフ、3)ロールオン・テイクオフ、4)ファン・ブレイク、5)4ポイント・ロール、6)チェンジ・オーバー・ターン、7)インバーテッド&コンティニュアス・ロール、8)レベル・サンライズ、9)バーティカル・クライム・ロール、10)スロー・ロール、11)チェンジ・オーバー・ループ、12)カリプソ、13)レター8、14)オポジット・コンティニュアス・ロール、15)ダブル・ファーベル、16)オリジナル・レベル・キューピッド、17)シングル・クローバー・リーフ・ターン、18)デルタ・ローパス、19)スワン・ローパス、20)デルタ360°ターン、21)ダブル・ライン・ローパス、22)ダブル・ロール・バック、23)ボントン・ロール、24)エシュロン・ローパス、25)タック・クロスII、26)ローリング・コンバット・ピッチ、27)コーク・スクリュー
三沢基地航空祭展示飛行メンバー
次期飛行班⻑御厨さんが見守る中、航空祭最後の展示飛行を終えた藤井さん(ZEEK さん)、展示飛行デビューを果たした松浦さん(JUSTIN さん)、浅香さん(TAKA さん)のウォーク・バック《写真・sato》
#1 江尻卓2空佐(飛行隊長)、御厨成祥3空佐(次期飛行班長)
#2 松永大誠1空尉、永淵亮磨1空尉
#3 松浦翔矢1空尉
#4 佐藤裕介1空尉、青木明徳3空佐(総括班長)
#5 藤井正和3空佐、浦祐眞3空佐
#6 浅香光司1空尉
ナレーター 下田一輝1空尉
大洗町誕生70周年記念事業「大洗海上花火大会」
令和7(2025年)年9月27日(土)は、茨城県大洗町の大洗町誕生70周年記念事業「大洗海上花火大会」で、ブルーインパルスが飛びました。増槽を装着しないクリーン形態で百里基地に展開し、百里リモートで大洗サンビーチ海岸をメイン会場とする大洗町一円での編隊連携機動飛行を実施しました。
予行の日、大洗海岸は沢山のサーファーで賑わっていた。ブルーインパルスの予行が始まってから海に入ろうとするサーファーの方に勇気を出して声をかけ、写真を撮らせてほしいとお願いした。最初の方には断られたが、2組目の方に承諾していただき撮影することができた。前日予行で撮影《写真・5兵衛》
大洗海上花火大会でのブルーインパルス・トークショーの一幕〈動画・Yuka Miyamoto〉
花火大会のイベントは昼頃からはじまり、大洗マリンタワー近くの特設ステージでは、江尻卓飛行隊長と永淵亮磨1空尉のトークショーが、航空ファン誌編集長・神野幸久氏の司会で、ゲストの軍事評論家・岡部いさく氏も交えて開催されました。トークショーでは大阪・関西万博での展示飛行のエピソードなど様々なお話が紹介されました。
メイン会場の櫓ステージでは、ものまねや地元大洗高校マーチング・バンド「ブルーホークス(BLUE-HAWKS)」の演奏など盛りだくさんの演目で大洗町町政70周年を盛り上げました。
大洗ローパスとしてサンビーチ通りをパレード飛行するブルーインパルス〈動画・Yuka Miyamoto〉
ブルーインパルスは15:00~15:30頃に予定通り飛行し、15課目の編隊連携機動飛行を披露しました。大の字をイメージしたポイント・スター・ダーティー・ローパスは「大洗ローパス」と紹介され、サンビーチから大洗マリンタワーを回ってサンビーチ通りを大洗海岸に面する鳥居で有名な大洗磯前神社の方までパレード飛行しました。
この展示飛行で5番機・浦祐眞3空佐が展示飛行デビューとなりました。三沢基地航空祭での3番機、6番機アクロ・デビューに続く5番機展示飛行デビューで着々とメンバー交代が進んでいる印象を受けました。
18時からは独特な野村ブルーと呼ばれる青い花火を特徴とする野村花火工業の花火が約18,000発も打ち上げられました。大洗高校のブルーホークス、ブルーインパルス、野村ブルーの野村花火工業と、ブルーの競演が特徴的な大洗花火大会となりました。
大洗花火大会展示飛行課目構成
1)ワイド・ローパス、2)360°ターン、3)アロー・ヘッド・ローパス、4)ダブル・ナイフ・エッジ、5)エシュロン・ローパス、6)スワン360°ターン、7)ピラミッド・ローパス、8)大洗ローパス(ポイント・スター・ダーティー・ローパス)、9)ポイント・スター・ローパス、10)リーダーズ・ベネフィット・ローパス、11)フェニックス・ローパス、12)サクラ、13)ビッグ・ハート、14)720°ターン、15)レベル・サンライズ
大洗花火大会展示飛行メンバー
#1 川島良介3空佐(飛行班長)、御厨成祥3空佐(次期飛行班長)
#2 松永大誠1空尉
#3 松浦翔矢1空尉
#4 佐藤裕介1空尉、下田一輝1空尉
#5 浦祐眞3空佐、藤井正和3空佐
#6 浅香光司1空尉
ナレーター 永淵亮磨1空尉
わたSHIGA輝く国民スポーツ大会2025総合閉会式
令和7(2025年)年10月8日(水)は、滋賀県彦根市で開催された「わたSHIGA輝く国民スポーツ大会2025総合閉会式」で、ブルーインパルスが閉会式開催宣言に合わせた展示飛行で華を添えました。
ブルーのワンピースをお召しになられた佳子内親王殿下の御臨席を賜り、Netflixドラマ「First Love 初恋」で主人公の航空学生の相手役を演じた滋賀県出身の八木莉可子さんも参加しました。
ブルーインパルスはチェンジ・オーバー・ターンとフェニックス・ローパスの2課目を披露しました。
岐阜基地からのリモートで、クリーン形態でこれを実施しました。築城リモートの防府航空祭と同じような距離ですので、クリーン形態でも十分に実施可能な距離でした。
また総合閉会式会場からは、展示飛行前に関ヶ原から琵琶湖へと進出するブルーインパルスが、長浜市上空をデルタ・ローパスで飛行する姿が見られました。詳細は明らかにされていませんが、10月6日にノーベル生理学・医学賞を受賞した大阪大学の坂口志文特任教授が滋賀県長浜市出身であることから、ノーベル賞受賞の祝賀飛行として同市上空で実施されたものと思われます。
編隊長は川島良介3空佐でした。
会場には江尻卓飛行隊長と滋賀県出身の松井順仁1空曹(整備員)が来場しました。松井1空曹は任期終了となる今年、地元凱旋となりました。岐阜基地からと思われる支援隊員や空幕広報室広報官も来場しました。
メイン会場となった平和堂HATOスタジアムのある彦根総合スポーツ公園では、自衛隊滋賀地方協力本部がブースを展開し、特製の缶バッチを配布するなど募集活動とPRを行いました。滋賀地本広報班長の入江勝彦3空佐は小松管制隊などを歴任した航空管制官で、ブルーインパルスの課目の話ができる隊員でした。管制官の職種に興味のある方は入江3空佐にコンタクトしてみるのも良いかもしれません。また、自衛隊のあらゆる職種について説明してくれるのが地本(地方協力本部)ですので、自衛官の仕事に興味のある方は、お気軽に地元の地本連絡事務所を訪ねてみてください。
https://www.mod.go.jp/j/profile/pco/index.html
藤井3空佐ラスト・フライト
令和7年10月9日、藤井3空佐のラスト・フライトが松島基地で行われ、松島基地Xがファンへのメッセージを投稿しました。
https://x.com/matsushimabase/status/1976199501917585812?s=46
〈松島基地公式Xアカウントより〉
国スポ総合閉会式の同日に即座に帰投したブルーインパルスは、翌日には飛行場訓練を実施し、これが藤井正和3空佐のラスト・フライトとなりました。三沢基地航空祭から国スポ総合閉会式までクリーン形態で通したことで、翌日にこうした訓練飛行も可能となりました。
令和4年(2022年)7月31日(日)の千歳基地航空祭では、コロナ過でブルーインパルスの誰もが航空祭を経験したことのないメンバーでフルショーを実施しました。藤井3空佐も5番機練成としてその中にいました。コロナ過からブルーインパルスを再生したメンバーのお一人でした。
藤井3空佐、ZEEKさん、本当にお疲れ様でした。
応募作品で防衛日報社賞に輝きましのは小野寺ひとみさんの作品です。小野寺ひとみさんには防衛日報社賞の記念品を贈らせていただきます。
《投稿写真》アグレッサー騎士団、小野寺ひとみ、5兵衛、sato
(取材/文/写真/動画)ブルーインパルスファンネット みんなのブルーインパルス編集部
今村義幸/福山博文/塚田圭一/伊藤宜由/Yuka Miyamoto /本多淳子/吉田信也