富士の頂を駆け抜ける 板妻の隊員たちが駅伝大会を支援|板妻駐屯地

第34普通科連隊

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二合八勺中継所でタスキをつないだ選手の救護にあたる隊員

防衛日報 2025年8月22日付


  板妻駐34普連(連隊長・兜1陸佐)は8月3日、御殿場市で行われた「第50回富士登山駅伝競走大会」を支援した。


 大会は、御殿場市陸上競技場から富士山頂を折り返し、再び競技場を目指す距離48.19キロ、標高差は世界一の3199メートルを誇る駅伝で、大会を本部管理中隊長以下約100人が通信、人員輸送、救護、誘導補助などにより支援した。


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選手にコースを誘導する隊員


 当日は全国から一般、自衛隊の計100チームが参加し、高低差のある11区間をチーム・個人の名誉をかけてたすきをつないだ。


 支援に参加した隊員たちは、各選手の健闘を祈りつつ、各種支援を積極的に行い、円滑な大会運営に寄与した。


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二合八勺中継所で選手に着いた砂を水で流す隊員


 また、連隊の持続走チームも選手として参加し、自衛隊の部26チーム中16位だった。


<編集部より>


学生時代に山登りのサークルに在籍していながら、日本の「シンボル」を踏破していない自分が言うのもなんですが、日本で最も高い富士山は、歩くのも苦労極まりないのに、走って登り、下りるなどとても尋常とはいえません。しかし、できる人はできるのです。

防衛日報の本日(8月22日付)2面の2番手で掲載したのは、「富士登山駅伝競走大会」で救護や輸送など100人態勢で支援にあたった板妻駐屯地34普連の報告です。

御殿場市が連隊の隊区とはいえ、最高峰。今年で節目の50回を迎えるほどのポピュラーな大会とはいえ、サポートをするのは困難です。山の気象の変化(気圧、強風など)や高山病などが必ず付いて回るほどの過酷な山の上。アクシデントは付きものです。その現場で支援するわけです。少しだけ山の怖さを知る者の一人として、その大変さは身に染みて理解できます。

しかし…、それは杞憂(きゆう)というものでした。御殿場市によれば、コースは標高差3199メートル、気温差20数度、全長48.19キロ。ここに酸素濃度の低さなど厳しい自然環境も「対戦相手」となる日本一過酷な条件下で行われる世界に類のない山岳駅伝。健脚自慢の勇士たちがコースをものともせず駆け抜ける様は、報告に添えられた写真がすべてを表していました。ぜひ、デジタル版でこうした光景をご覧ください。

自衛隊といえども、やっぱり、できる人は普通にできるのですね。何よりも素直に尊敬してしまいます。全国から参加した計100チームというのもすごいことですが、このうちの26チームが「自衛隊の部」に出場した26部隊でした。全体の5分の1です。

34普連のサポートチームは、選手の手に砂が付いていれば水で洗い流し、たすきをつなぎ、走り終えた直後の選手を救護したり、中にはコースを見誤る選手が出ないよう誘導にあたるなど、各種の支援を積極的に行い、円滑な大会運営に大きく貢献しました。

その34普連は自衛隊の部にも出場し、26チーム中16位でした。いいんです。サポートとレース参加、人間が違うとはいえ、「二刀流」で大会を盛り上げてくれたことが素晴らしいことなのです。ちなみに、御殿場市陸上競技協会によると、トップは御殿場滝ヶ原自衛隊、2位が1空挺団、3位が留萌自衛隊の各チームだったようです。

富士山といえば、最近では山の気象の変化を無視するような軽装、ごみのポイ捨てなどのマナー問題などがよく、ニュースになります。寂しい限りですが、それはほんの一部でしょう。富士山こそ日本人にとっての憧れの山であり、その名峰(霊峰)を舞台に50回も続く伝統行事を自衛隊が支え、そしてほかの一般参加チームとともにしのぎも削る―。

とても重要な広報活動ではありませんか。