板妻駐34普連(連隊長・鈴木1陸佐)は10月6日から8日の間、同駐で「第149期陸曹候補生等選抜2次試験」を実施した。
試験には陸曹を志し、1次試験を突破した陸士隊員19人が分隊教練、口述試験、障害走の各課目に臨んだ。
分隊教練では、各人が気迫に満ちた号令、指揮動作により6~7人の分隊員を指揮して果敢に挑むとともに、口述試験では陸曹を目指す理由や自己PRなど、面接官の質問に毅然とした態度で自身の思いを述べていた。
また、障害走では、自分の中隊の隊員が応援する中、己の体力・気力を振り絞り、目標タイムをクリアしようと全力で各種障害を通過した。
試験の結果は、来年2月1日に発表され、合格者は陸曹候補生に指定されることになる。
<編集部より>
自衛隊の「曹」は分隊や小隊で活躍する現場のスペシャリストです。たとえば、陸上自衛隊の陸曹は陸士を直接指導する小規模なリーダーなど責任ある立場。部隊の「教育班の班長」、専門知識や技術を生かして災害派遣などの任務を行う「技術陸曹」のほか、「レンジャー養成」のような厳しい訓練を経験し、特殊な技能を習得することも陸曹の役割です。要は、さまざまなことに挑戦できる機会が増える階級でもあるといわれているのです。
こうした幹部を補佐する部隊の基幹要員を目指す試験があります。防衛日報では本日(11月21日付)2面でこのほど、板妻駐屯地で実施された「第149期陸曹候補生等選抜2次試験」の報告を掲載しました。試験には陸曹を目指し、1次試験を突破した陸士19人が分隊教練や口述試験、障害走に臨んでいました。
報告を読んで、「なるほど」と思ったことがあります。
分隊教練では6~7人の分隊員に対して号令や指揮動作をし、口述は「上官」となる陸曹を目指す思いを面接で確認し、障害走は自分の中隊の隊員の応援の下で実施…。ある意味、自分のことを考えればよかったともいえる、「士」とは違い、2次試験は人を指導する立場への思いなど、曹は自分の周囲のことやチームとしての在り方、動き方などまでを考えなければならない立場を改めて意識させる要素なのだと感じたのです。
そこには、陸士と生活を共にし、行状や服装、態度に至るまで正しい方向に導き、部隊の運営にも深く関わることができる陸曹になろうとするならば、相応の決意と強い覚悟が求められるのだという、自衛隊としての強い方針が見てとれます。
防衛日報では各地から同様の陸曹を目指すための教育や試験の様子が届きます。多少の違いはあっても、士から曹になる上での「ハードル」は皆、同じなのだと思います。
任期制ではなく、原則、制度上は終身雇用。安定した待遇も魅力です。それはもちろん、大きなメリットでしょう。ただ、ここでは、国防、国際平和活動、災害派遣など主要な現場で中心となって部下の若い士たちを動かし、ともに汗を流し、上官とのパイプ役ともなる道を選ぼうとする思いに僭越(せんえつ)ながら、拍手を送りたいと思います。
社会に目を移してみます。どの職業であっても、「上」に行けばそれだけ責任は重くなります。「下」との板挟みも出てくるでしょう。大切なことこそ、コミュニケーションづくり。下の思いをしっかりと受け止め、それをまとめて自分事として上に報告する―。
現場のリーダーとなれば、その現場によっては任務の重さは何倍にも膨れ上がることもあります。曹はこうした現場で奮迅の活躍が求められる重要なポジション。その働き次第では、事案の行方を左右しかねないともいえるものなのです。