名寄駐3即応機動連隊(連隊長・大谷1陸佐)は7月24日、同駐で炊事能力の向上、炊事要員の拡充を図ることを目的として「令和7年度連隊炊事競技会」を実施。
名寄自衛隊協力婦人会(会長・吉田素子氏)や名寄市立大学(学長・家村昭矩氏)の学生、名寄市教育委員会(教育長・岸小夜子氏)、名寄商工会議所(会頭・藤田健慈氏)を招待した。
開会式では、1普通科中隊の畑田3陸曹が選手宣誓を実施し、隊員の士気の高揚につながる食事を全力で提供することを誓った後、統裁官(大谷1佐)が「各人の技量を最大限発揮し、相互に連携せよ」「安全管理を徹底せよ」の2点を要望し、各部隊は、優勝をかけて競い合った。
参加部隊は、3即機連の各中隊、オープン参加の2特科連隊2大隊、2後方支援連隊2整備大隊即応機動直接支援中隊のそれぞれ炊事長以下7人で編成された9個部隊。
隊員たちは、夏の暑さに負けず、陸自の装備品である野外炊具を器用に操るとともに、手間を惜しまず創意工夫に努め、「隊員の士気を高揚させ、記憶に残るおいしい料理を提供する」という気概をもって調理に臨んだ。
競技のメニューはご飯、肉じゃが、ザンギサラダ、汁物で、各部隊は、「煮る」「炊く」「揚げる」といったさまざまな調理法を駆使し、3時間30分以内に50食分を調理してご飯の固さ、野菜の切り方、味付けや風味、盛り付けなど、細部に至るまで趣向を凝らし、料理を完成させた。
料理審査員は各部隊長や若年隊員のほか、招待者により各部隊の料理を試食。
どの部隊も僅差だったが、厳正な審査の結果、火力支援中隊が見事優勝を獲得し、統裁官から賞状と顕彰版が手渡された。
炊事長を務めた藤明陸曹長は、「初めて炊事をする隊員もいたが、練成での失敗や話し合いをしたことにより本番では自信をもってできた。次は連覇!」と感想とともに早くも来年に向け、決意を述べた。
名寄駐は「参加した各部隊は、競技会で得た成果、教訓をじ後の訓練に生かし、隊員の士気の源となるおいしい食事の提供に必要な炊事能力の維持・向上に努めていく」としている。
<編集部より>
最近、テレビで相撲部屋の炊事風景が取り上げられてきました。相撲といえば体力勝負。食事も「食べて、食べて体重アップ」となり、定番は「ちゃんこ」ですが、料理番も同じ力士なのです。中には栄養士のサポートを仰ぎ、栄養バランスや斬新な洋風メニューなど、それぞれの部屋で工夫もしているようです。
何はともあれ、「とっても、うまいっす!」とがっつり頬張る力士たちの笑顔あふれる姿が、勝負師の顔とのギャップとも相まって、ほほえましく映ってしまいます。
要は相撲部屋も力士、自衛隊も隊員。仲間が食事を作っていることです。人間にとって食事は必要不可欠な要素。自衛隊でも隊員の健康維持はもちろん、士気高揚の観点からも重視されています。自衛隊は屋外で調理を行うことも想定されているわけですから、炊事は戦いの一部。よって日頃から重要な訓練となり、各個部隊が創意工夫を凝らして「激突」する炊事競技会はその総決算ともいえるものです。
そこで、防衛日報は本日(8月27日付)2面のトップ記事で名寄駐屯地3即応機動連隊が実施した「令和7年度連隊炊事競技会」の報告を取り上げました。
炊事能力の向上や炊事要員を増やすという目的もあります。競技メニューはご飯、肉じゃが、ザンギサラダ、汁物。野菜の切り方から味付け、風味、盛り付けなど細部にわたるところまでが審査されました。参加9個部隊の中で頂点に立ったのは火力支援中隊でした。
以前、炊事訓練の取材を通して知ったことがあります。屋外だと衛生管理が難しく、肉と野菜を切る際は同じまな板を使わず、色分けに。どうしてもの場合は「野菜は最初、肉を最後」のルールにしていることを聞きました。中には、戦闘状況をテーマとし、周囲を警戒しながら調理するという、なかなか難しい訓練を行う場合もあるようです。
隊員がそれぞれに意地とプライドを懸け、チームとしての団結心を育む炊事競技会は、隊員の士気を向上させます。作る側の炊事要員とて、自分が食べることを考えれば自ずと気合が入ります。少しでも「おいしい!」と喜ばれるものを提供したいと思うのもまた、当たり前のことです。
炊事能力が向上すれば、災害派遣時の「炊き出し」では被災者の胃袋をしっかりと捉えることができるでしょう。人間、おいしいと思えば、そこで笑顔になり、コミュニケーションの大きな要因ともなるからです。
平時であれば、隊員食堂などで栄養士が考え、給養員が作ったおいしい料理を食べるわけですが、自衛隊はいつもそうとはいきません。さまざまな「有事」に即応しなければならないからです。
「いざ、鎌倉!」の際は競技会のように料理に工夫を凝らす時間はないかもしれませんが、大切なことは「炊事=隊員の健康を守る」ことかと。普段からの食事への意識を高めるためにも、炊事訓練や競技会は欠かせないところなのです。