久居駐33普連(連隊長・金子1陸佐)は2月1日、同駐で、陸上自衛隊ガールズイベントを実施した。
久居駐33普連(連隊長・金子1陸佐)は2月1日、同駐で、陸上自衛隊ガールズイベントを実施した。
行事は、女性限定の参加者に対して日常、緊急時に役立つ自衛隊スキル体験をし、自衛隊への理解の促進、防衛基盤の育成を図ることを目的として行った。
当日は、晴天に恵まれ、午前10時の受け付け会場では、待ちに待った日に笑顔で受け付けをする人たちが列をなした。
イベントの内容は、午前・午後に分かれており、午前中は、衛生科隊員による応急手当、格闘展示、売店見学、女性隊員との懇談、昼は、隊員が普段、食べている戦闘糧食(レーション)喫食。午後には、女性隊舎見学、災害派遣活動説明、装備品見学、体験試乗、戦闘服試着など盛りだくさんの内容となっており、参加者は、どれも積極的に笑顔で楽しんでいた。
特に、昼食の戦闘糧食を食べた際には、「思っていたよりおいしい」「ヒートパックを防災用具に入れたいと思う」などさまざまな意見が飛びかい、終始、和やかな雰囲気で戦闘糧食に舌鼓を打った。
午後からの体験試乗では大型トラックに乗車し、駐屯地内を回った。
<編集部より>
防衛省によると、2024年3月末現在の女性自衛官は約2万人です。全自衛官の約8.9%にすぎません。10年前(2014年)の3月末時点の約5.6%と比較すれば、たしかに3.3ポイント増加しました。その比率は近年、増加傾向にあります。しかし、まだまだ少なすぎます。
背景にあったのは、自衛隊が持つ「精強性」です。男女の基本的な力の差がありました。さらには、女子が持つ母性への影響など、さまざまな理由があったことは否めませんが、女性の社会進出が叫ばれてもう、何十年も経っています。
昨今は、女性・平和・安全保障(WPS)に関する取り組みとして、防災・災害対応の取り組みや安全保障政策の意思決定の場における女性の参画を促進している時代です。女性ならではの視点や知恵はさまざまな場で必要不可欠。女性の「需要」は増え、今後、さらに大きくなっていくことでしょう。
前置きが長くなりました。自衛隊では今、「女性だけの…」というトークや懇談会などが多くなりました。防衛日報もこのほど、陸上自衛隊久居駐屯地33普連が実施した「陸上自衛隊ガールズイベント」を取り上げました。参加者は女性限定。女性隊員と懇談したり、緊急時に役立つ自衛隊のスキル体験をしたり、と「女性一色」のイベントでした。
駐屯地のコメントには、イベントの目的を「自衛隊への理解の促進」と、もう一つ「防衛基盤の育成」というくだりがありました。
前者は当然のことながら、未来を考えるのなら後者です。基盤を形づくる上で、男性が活躍するのはわかった。あとは女性が頑張れる組織に―そうするために必要な施策なのだと思います。どんどん、実施すべきことかなと思います。
男性社会だったからこそ、女性ならではの視点が生かされるのです。防衛省・自衛隊も女性の採用や登用にさらなる拡大を図っています。宿舎、トイレの改築や風呂場の新築などの生活面の改善にとどまらず、です。
人数は少なくても、昨年、女性初の「将」が誕生しました。この「女性初の」というキーワード自体、一般社会では女性社長や女性役員などがどんどん誕生し、「死語」に近くなりつつあります。でも、自衛隊はまだまだです。そのためには、今回の久居駐のようなイベントは欠かせず、とにかく女性が自衛隊でしっかりと活躍できるんだ、という組織にしなくては元も子もありません。
ここで肝心なことは、女性隊員を受け入れる側の男性隊員たち、それも上官クラスの考え方です。ハラスメントという問題がまだまだ、残っているようでは、基盤づくりそのものにも影響を与えかねません。
防衛省は、自衛官採用者に占める女性の割合を令和12年度(2030)までに全自衛官の12%以上とする目標を掲げています。そこには、国を挙げて立ち向かうという強い意志が必要なことは言うまでもありません。