板妻駐34普連(連隊長・兜1陸佐)は2月14日、立川駐で、1飛行隊の協力の下、空路潜入訓練を実施した。
板妻駐34普連(連隊長・兜1陸佐)は2月14日、立川駐で、1飛行隊の協力の下、空路潜入訓練を実施した。
訓練はヘリコプターUH11)2機にそれぞれ4人1組で搭乗し、飛び降り、リペリングにより展開する一連の戦闘行動について演練した。
当初は空身、次いで武器を携行した状態と段階を踏んで演練し、実施者はヘリの揺れやエンジン音、激しいダウンウオッシュの中、降下長の手信号に従い、息を合わせて安全かつ迅速に降下・展開した。
<編集部より>
精強な自衛隊員の動きの中で、「らしい」と思う一つにヘリコプターからロープを使って降着する姿があります。まさに、「いざ鎌倉」の時、颯爽(さっそう)と登場する正義の味方のような、そんな光景には憧れすらあります。
わが身を振り返れば、幼少時に見た感想は、「カッコいい!」。大人になり、記者になり、自衛隊の訓練や記念行事の訓練展示などを取材しても、そこは変わらないものです。
しかし、時代は変わり、こうした「リペリング(特殊卸下=しゃが)」による「空路潜入訓練」が各部隊にとってはとても重要で欠かせないものとなってきました。憧れだけではすまない現状があるのです。
本日、防衛日報が紹介するのは、陸上自衛隊板妻駐屯地34普連が立川駐で1飛行隊の協力の下で実施した空路潜入訓練です。今回は、UH1.2機にそれぞれ4人1組で搭乗し、飛び降り、リペリング降下によって展開する一連の戦闘行動を演練したようです。地上からその様子を捉えた写真も秀逸でした。
重要で欠かせないという理由を書いてみます。一つは日本の災害派遣活動の多さです。現場に赴くにあたっては、空港がベースとなり、人員だけでなく、積んでいる装備品などを迅速に手際よく自分の身とともに降ろす―。それは時間との闘いでもあり、普段の訓練なくしては有事の対応は困難となります。
もう一つが周辺諸国、とくに海洋進出を強める対中国の脅威にほかなりません。敵が海上から陸地へ進もうとする、あるいは上陸した際、これもまた、同様です。いち早く現場に向かい、わずかな時間で陸地へ到着する。そのための訓練は、遅れによっては国の存亡にも大きな影響を与えかねません。
実機を使ったリペリングは、当然のことながら危険を伴います。教官の命令や号令に従いながら、降下手順を一つひとつ確認をするのですが、ヘリコプターの上では、教官の声が聞き取りづらいため、教官の目と手信号による合図を見ながら意思疎通を行うとされているようです。難しい技術が求められるわけです。
レンジャー養成訓練でもリペリングはよく見かけます。ヘリコプターから降下する前段階として、降下手順が身体に染み込み、流れるように行うことができるまで、訓練塔での反復演練を続けるケースもあり、防衛日報にも部隊からこうした報告が寄せられます。
冒頭、実にノンキなことを書いて失礼しました。空港、空路は自衛隊の活動では絶対に必要なもの。そこでのリペリングも欠かせません。航空部隊と連携しながら続けるこうした訓練が、日本を救う大きな行動となるものだと思っています。