海自×陸自の“本気”が玉野に集結!カレーも体験試乗も|岡山地本

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LCACの機動訓練展示の様子 

 

 岡山地本(本部長・山口1陸佐)は5月17、18の両日、玉野宇野港で開催された「たまの・港フェスティバル」で、日本原駐日本原駐海田市駐、呉警備隊、輸送艦「しもきた」の支援を受け、広報活動を実施した。

 

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イベント会場には2万6000人が訪れた

イベント初日は天候が心配されていたが、始まるころには雨が上がり、両日あわせて2万6000人の人出となった。

 


   艦艇一般公開では、両日で1万3158人が乗艦・見学するとともに、募集対象者や家族に対する特別公開、体験喫食を実施した。

 

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特別公開見学の様子

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輸送艦「しもきた」と来場者


   特別公開に参加した募集対象者は、隊員のブリーフィングを受けるとともに甲板後方にあるLCACを間近で見学したほか、艦内の食堂で隊員と一緒にカレーを体験喫食した。

 

 参加者からは、「こんなにおいしいカレーは初めてです。秘訣ひけつは何ですか」「隊員の方と同じように艦内で食事ができるなんてうれしいです」といった喜びの声を聞くことができた。

 

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体験喫食の様子

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除染車による水鉄砲体験

 また、日本原駐の中部方面特科連3大隊の82式指揮通信車や海田市駐の13化学防護隊の除染車3型、岡山地本のラッピングマイクロバスを展示した。



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装備品と一緒にポーズ!


 装備品の周りには長蛇の列ができ、来場者が車両をバックに笑顔でポーズを取って撮影する姿が見られ、陸自の装備品への関心の高さもうかがえた。

 

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水船による体験クルージング

 ほかにも、支援船「水船」による体験クルージングや水船から除染車への給水展示、

曳船やLCACの機動訓練展示を行い、多くの見学者が集まり、にぎわいをみせた。

 

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水船から除染車への給水の様子

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曳船の訓練展示を見学する来場者

 クルージング参加者からは、「海上自衛隊の船に乗って地元の海に出られるなんて、とても新鮮な気持ちです」「水船から見る『しもきた』の大きさに驚きました」といった感想が聞かれ、海自について理解を深めることができた。


  LCACの機動訓練展示では、「しもきた」の後方から出てきたLCACが膨らんで速度を上げて沖へ進み、水しぶきを上げて左右へ回転する様子が展示され、来場者が甲板から食い入るように見学する姿が見られた。 

 

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操縦桿体験に大喜びのチビッ子たち

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LCACの機動訓練展示


 岡山地本は「海上自衛隊の基地がない岡山県にとって、海上自衛隊の装備品や活動をアピールできる絶好の機会となった。今後もこのような広報活動を通じて自衛隊への理解を図るとともに、特に募集につながる広報事業を推進していきたい」としている。


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自衛隊岡山地方協力本部

自衛隊岡山地方協力本部【公式X】


<編集部より>

昨年6月、奈良県の山下真知事が定例会見で陸上自衛隊の駐屯地の県内配置を求める要望書を防衛省に提出したことがニュースになりました。奈良県は47都道府県で唯一、駐屯地がない「空白地域」。いざという時は京都府内の駐屯地から災害派遣され、南北に長い奈良県の地理的なこともあり、部隊の展開に時間を要する―。要望の理由を当時の報道ではこのように紹介されていました。

陸自によると、現在、全国には約160カ所におよぶ駐(分)屯地が所在しています。3自衛隊の中で最大規模なのは自衛官数その他さまざまな要因からも分かります。どんな災害や有事でも主力となるのが陸自ですが、海上自衛隊の場合は港湾施設の存在など、事情が違います。

海自は現在、「5大基地」(横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大湊)を中心に主に太平洋側の沿岸に集中しており、基地が所在しない都道府県も多くあるのです。艦艇の停泊が可能な港湾の整備など地理的な要因、旧軍の所在地をベースにしている歴史的な背景など、その理由はさまざまだと思います。

以前、専門家への取材を通して認識したことは、有事の際、「初動」は陸から陸自が、空から空自が対処する。その上で必要となれば、スピード感を備えた海自艦艇が機動展開の一助となる―というロジックです。これにはさまざまな考え方があるでしょうが、言えるのは、陸、空を含めた3自衛隊がそれぞれの特徴を最大限に生かすことで初動対応を可能にするということではないでしょうか。

そこで、本日は「海自基地のない岡山県」を担当する岡山地本の報告を紹介します。防衛日報では3枚の写真を使って大きく展開しました。参加者たちは輸送艦「しもきた」の特別公開のほか、支援船「水船」によるクルージングを体験し、LCAC(エアクッション艇)の機動訓練を見学。艦内では隊員とともに、海自定番のカレーに舌鼓を打つなど、とにかく海自を満喫したことと思います。

私事ながら、日本海側にある郷里には海自基地はなし。幼心に県内にある駐屯地というものを初めて見た時から、自衛隊には海も空もある。海自でいえば、とにかく大きい船を見たいし、その中はどうなっているのかも見たい。そこで知ったのが、県内最大の港に艦艇が停泊するという話でした。喜び勇んで駆け付けたことを思い出します。

自衛隊が身近に所在することで、地域にとっては安心感につながるものですが、そこには歴史的な背景などもあり、嫌悪感が残る地域もあります。いくつかのハードルがあるのも現実ですから、そこは仕方のないところかと思います。

それでも、今では艦艇広報は地本の大きな広報活動の一つとなってきました。今回の岡山県のように、基地がなくてもその雄姿に触れられる機会ができたし、少し足を延ばしてくれれば、艦艇が停泊する港があり、そこに希望の船が待っているのです。そう思って、自衛隊と接し、自衛隊を知ってほしいものだと思います。