164人の隊員と288社が参加 熱心な質疑応答で手応え|福岡地本

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面談会場

防衛日報 2025年9月11日付


 福岡地本(本部長・久田1陸佐)は8月26日、福岡国際会議場で、一般財団法人援護協会福岡支部との共催により「令和7年度福岡県任期制隊員合同企業説明会」を開催した。


 説明会は、来春に任期満了退職を予定している隊員に対し、企業と直接面談する機会を与え、具体的な再就職準備を円滑にするのが目的。


 説明会には、北海道から沖縄までの隊員164人と、福岡県内を中心とした優良企業288社が参加。参加隊員は、関心のある企業ブースを訪れ職務内容や処遇などの説明を熱心に聞き、積極的に質問していた。


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本部長挨拶


 また、説明会場内に予備自衛官等コーナーを設置し、参加隊員や参加企業に対し、積極的に予備自等制度について説明し、理解促進とさらなる協力企業の拡大を図った。さらに、実施要領説明の際に予備自補採用試験について説明し、社員らの予備自補志願を依頼した。


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予備自ブースで説明を聞く採用担当者


 参加企業からは、「真摯(しんし)な姿の隊員と面談ができ、大変有意義な時間となった。隊員の高い意識に感心し、人財としての魅力を強く感じた。ぜひとも採用したい」という声があった。


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面談の様子


 福岡地本は「今後も計画的な就職指導や先行的な企業情報の収集により充実した説明会を追求し、隊員のニーズに応じた生活基盤の安定に努めていきたい」としている。



<編集部より>


 冒頭から私事で恐縮です。

 旧社在籍中、仙台市にある本社の出先事務所に赴任しました。着任時、初めて会った勤務員の男性は、地元に住む元航空自衛官でした。ただただ背筋をピンと伸ばし、丁寧な言葉使い、礼儀正しさ、真摯(しんし)を絵に描(い)たような姿が強烈でした。自分が新しい「長(おさ)」であることを割り引いても、ある意味、衝撃を覚えたくらいです。

 男性の担当は会社の事業関係。社主催のイベントとなれば、一から式次第を考え、スポンサー探しもします。自衛隊では健康を害し、50代前半で退官し、数年前から事務所で勤務していました。防衛大学校を卒業後、幹部候補生として歩み、部隊を率いた多くの経験がありました。その後、毎日、顔を突き合わせてもこうした姿勢はまったく変わらず。変に無理しているわけでもない。まさに、「素」の人間性なのでした。

 そこで、防衛日報の本日(9月11日付)2面の福岡地本の報告です。援護協会福岡支部と共催した「県任期制隊員合同企業説明会」の記事です。昨今、若年定年制、任期制を問わず、退職自衛官に対するこうした説明会は各地で実施されていますが、変わらないのは、企業側の反応なのです。「真摯な態度に好感」「礼儀正しい」「真面目」などなど、ほぼ同じように思えます。冒頭の元航空自衛官にもぴったり当てはまります。規律や協調性を重んじ、過酷な訓練を乗り越え、国を護(まも)るという崇高な意志を持ち続けたからこその人間形成の結果と言えるのかもしれません。

 もちろん、定年制と比べて在籍期間が短い任期制です。その分は差し引いても、自衛隊の世界で一定期間もまれ、短期間とはいえさまざまな経験を積んだことは一つの「財産」。ある意味、最初の2~3年間こそが自衛隊の自衛隊たる所以(ゆえん)であることを真正面から受け止める時期ですから。「自衛隊にいた」という事実は少なからず重いのです。

 今回の参加は164人、企業は福岡県内を中心とした288社。隊員は職務内容や処遇などの説明を聞き、次の人生に向け、大きな参考としたことでしょう。報告によれば、企業側のコメントも「真摯、高い意識、人財として魅力」…。隊員へのイメージは良好でした。職を探す以上、隊度で示さなければなりませんが、そのことを抜きにしても元自衛官というキャリアは再就職に向け、企業に向けては大きな要素になるのだということが改めて理解できるというものです。

 運送業などをはじめ、元自衛官への期待の大きさはニュースなどでもよく取り上げられます。政府は昨年末の関係閣僚会議で、自衛官に対する処遇改善の方針をまとめました。こうした環境の整備こそがあすの自衛官の募集につながるだけでなく、退職してもしっかりと面倒を見てくれるという「入り口」と「出口」のケアが充実したことは自衛隊、ひいては国のためにもいいことです。

 会場には、予備自衛官等コーナーも設置していました。退職してからも予備自として活躍してもらえば、これもまた頼もしい限りです。何よりも、自衛官の再就職の支援は雇用主たる国の責務。任期制だろうが定年制だろうが、国のために尽くした自衛官に可能な限りのサポートをするのはむしろ、当然のこと。それぐらいに思います。