兵站業務にプロ意識 補給小隊が任務遂行に挑む|久居駐屯地

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しっかりと照準を規正

防衛日報 2025年10月2日付


 久居駐33普連(連隊長・南平1陸佐)はこのほど、あいば野演習場で、「第1次連隊訓練検閲」を実施した。訓練では、10師団が実施する「令和7年度第1次師団訓練検閲」の枠組みを活用。


 補給小隊に対し、「攻撃における補給小隊の行動」に係る練度を評価・判定するため、10後方支援連隊、久居駐業務隊の支援を受けて実施した。


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斥候対処

 検閲期間中のあいば野演習場は、快晴で気温は38度に迫る酷暑となり、隊員の額からは常に汗が滴(したた)り落ちていた。


 補給小隊の隊員は「連隊の生命線である以上、多少の困難はあるものの、最前線で戦闘を行っている部隊への兵站(へいたん)業務は欠かすことはできない」とわが身を顧みず任務へ臨むプロ意識をみせた。


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不審者に対応


 戦況の進展に伴い、補給小隊の運営する各兵站施設へのドローンによる航空偵察、敵遊撃部隊による襲撃、不審者への対応などの各種状況に対して、事前に訓練してきた補給小隊は、難なく対応しつつ兵站業務をこなし、最前線で活動する部隊へ弾薬・燃料などを円滑に補給できた。


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報告をする警戒員

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命令を下達する小隊長


 先人の戦い方で、兵站を疎(おろそ)かにし、多くの兵が前線で壊滅した記録もあり、兵站は部隊の作戦の背骨ともいえる。


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小隊長に問いかける統裁官


 講評で統裁官は「補給小隊員自らが部隊精強化の一翼を担っているということを自覚せよ。そして、今回の教訓を資とし、さらに『精強』な部隊を目指し、小隊長を核心としていかなる任務も完遂できることを目標に精進することを望む」と述べた。


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講評を述べる統裁官

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優秀隊員を受賞した上出2曹と水谷士長


 補給小隊は「今後も過去の教訓を生かし、第一線部隊へ補給を絶やすことなく任務を遂行していく」としている。



<編集部より>


自衛隊の補給隊は、施設隊とともに部隊の後方支援が主な任務です。表に出て脚光を浴びるスーパースターも大好きですが、その大役者を影日向で日夜、支え続ける「縁の下の力持ち」はなくてはならない存在。後方支援の要です。もっともっと光を当てたくなるぐらい関心があるのが補給隊なのです。

部隊が必要とする弾薬や燃料、食料、事務用品に至るまで多岐にわたる物資の取得、保管、処分などなど、その幅広い任務の内容が物凄いのです。当然、部隊には欠かせません。

例えが少々、貧弱で申し訳ありません。亭主関白のご主人が朝、出勤する際、3歩下がって見守る奥様がハンカチから財布に至るまで忘れていないかを確認し、少し曲がったネクタイを締めてあげたり…と至れり尽くせりの光景がちょっぴり浮かんできます(今どき、こんな夫婦はいないかもしれませんが)。

防衛日報の「イチ押し記事」を紹介しなくてはなりません。本題に入ります。本日(10月2日付)2面のトップ記事は、陸上自衛隊久居駐屯地33普連が実施した「第1次連隊訓練検閲」の報告です。主役(対象)は補給小隊でした。「攻撃における行動」の練度を評価・判定するという内容です。

戦況の進展に伴い、襲撃や不審者への対応など最前線で活動する部隊へ弾薬や燃料などを円滑に補給するなど、兵站(へいたん)任務にあたりました。検閲は有事下で普段の練成がどれだけできるのか、が問われる重要な訓練。後方部隊としてどれだけ戦況を把握でき、どれだけ補給などの対応ができるか、ここが最重要チェック項目となるわけです。

久居駐の報告の中でこんなくだりがありました。「兵站を疎(おろそ)かにし、多くの兵が訓練で壊滅した記録もある。兵站は部隊の作戦の背骨ともいえる」と。もう一つ、統裁官の「補給小隊員自らが部隊精強化の一翼を担っているということを自覚せよ」という言葉にもぐっときました。

分かっているからこそ、その任務にあたっているとはいえ、改めて言われれば任務に対する意識の高揚につながるというものです。

久居駐の公式Xによると、33普連の補給小隊は能登半島地震の際にも活躍していました。穴水町陸上競技場から物資を積載し、輪島高校に糧食の搬送を行ったようです。Xでは「後方支援(兵站)は任務遂行に非常に重要で、彼らなしでは組織として成り立ちません」と続けていました。まさに「ワンチーム」の一員であることを紹介しているのです。

上記にも述べましたが、補給隊は部隊が使用する鉛筆1本(事務用品)に至るまで、部隊が必要とする物品を管理する立場です。連隊の生命線でもある補給隊の存在をこれからも意識しながら、「広報」をしたいと思います。