栃木地本大田原地域事務所(所長・松田1陸尉)は10月1日から3日の間、同地本、北宇都宮駐屯地、宇都宮駐屯地で、矢板市立片岡中学校、塩谷町立塩谷中学校、高根沢町立北高根沢中学校の職場体験学習を支援した。
北高根沢中の担当広報官、平井1空曹は、空自の「給養員」の経験から興味を持った生徒たちに自衛隊の食事について、詳しく説明する場面も見られた。
また、生徒の1人からは、「航空機に触れることができたこともよかった」と話してくれた。また、初めて職場体験支援を行った担当広報官の豊田3陸曹が、送迎車両の中で、自衛隊の説明や魅力について話し、職場体験中も記念写真をさまざまな場面で撮影し、「写真を撮るタイミングや角度が難しい」と真剣に取り組んでいる様子が見られた。
3日目の本部では、本部長車両を前に、「この前まで運転していた車両です」と元本部長ドライバーとしての説明を行い、生徒からは、「すごいですね。僕たちも安全運転で送り迎えしてくれて、感謝です」との声が聞かれた。
豊田3曹は、「職場体験学習を通じ、まずは自衛隊を知ってもらい、将来の選択肢として魅力を伝えていける活動をしていく」と意気込みを語った。
大田原所は「職場体験学習を通じて、自衛隊を知り、装備品などに触れて体験することで将来の選択肢として考えてもらえる活動をしていく」としている。
【編集部より】
唐突ですが、「百聞は一見に如(し)かず」ということばがあります。本日はもっと進めてみました。「見るよりも、やってみて、知る」の意味を込めて「百見は一体験に如かず」です。あくまでも勝手な「造語」なのですが、世の中や社会情勢などを鑑みるにつけ、意外と後者がさまざまな場で存在しているように思います。
そこで、広報紙としては日頃から全国の地本、駐屯地、基地などから寄せられる「職場(職業)体験」にこだわり、本日(11月7日付)1面トップ記事で3つの地本の報告をまとめてみました。その中の一つ、栃木地本大田原地域事務所では、地本本部、北宇都宮駐屯地、宇都宮駐屯地を舞台に3つの中学校から10人の生徒が参加し、「やってみる」体験を行っていました。
基本的な教練から始まり、救急法やロープ結束法、車両体験試乗、資料館見学に至るまで。生徒たちにとっては見るもの、聞くもの、そしてやってみたもの、すべてが驚きの連続だったことでしょう。
何せ、中学生の年代にとって自衛隊は少なからず遠い存在。ニュースであれば、災害派遣現場で必死に任務にあたる姿が最も近い存在として映っていてもまったく不思議ではありません。そこには普段からのさまざまな訓練の下地があります。だからこそ、自分でやってみることはとても重要なのです。
そもそも、職場体験は自衛隊の広報活動の一環ですが、防衛省などによれば、一般の人たちが隊員と同じような任務や訓練を体験することで、①厳しい訓練と体力づくりを実感する②職種の多様性があることを知る③身だしなみや規律への意識の向上④チームワークやコミュニケーションの重要性を学ぶ⑤専門的な知識や技術を身に付ける大切さを学ぶ…と、さまざまな目的があるようです。
隊員と同じメニューの食事をとる「体験喫食」や普段、隊員が寝起きをする生活隊舎で同じように過ごしてみることができるのも貴重です。
もともとは、企業が社会人としての基本的な礼儀やマナーなどを学ぶ新人社員研修などに実施するケースが多いのですが、年齢が下がれば下がるほど新鮮な心を持つ分、効果は大きくなる気がします。将来の進路選択の参考にもなるでしょう。珍しい車両に触れたり、乗ったりするのもまた、自衛隊を知る大きな体験ですから。
私事ですが、体験入隊は学生時代に仲間たちと、企業の入社後の2度、経験しました。その瞬間はきつかったり、説明がよく理解できなかったり…と本来の目的とは少し離れた情けないような気持ちが先に出てきたように記憶しています。しかし、年を重ねるごとに「あの時」の体験とニュースや町のイベントなどで見かける自衛隊の存在がつながっていくように感じています。
年齢によって感じることはさまざまですが、人間、知らないことや実際に試したり、やったことがないものには多少であっても興味や関心を持つ生き物のように思います。それが、戦後最悪の安全保障環境という昨今、自衛隊への距離感は確実に縮まってきているはずです。