感謝と勇気をメロディに乗せて 第1音楽隊、一音入魂の演奏会|第1師団

第1音楽隊

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第1音楽隊の第49回定期演奏会台での演奏


 陸自1師団(師団長・鳥海陸将)は3月1日、練馬文化センター大ホールで「第49回定期演奏会」を実施するとともに、演奏会の企画、準備段階から本番までの一連の行動を検する「第4次師団訓練検閲」を1音楽隊に対して実施した。

 訓練検閲は1音に対して教育訓練の成果を評価するとともに、その進歩向上を促すため「一般吹奏」を主要検閲課目とし、定期演奏会の場でテーマ・曲目構成、演奏技術を検するのが目的。


 訓練検閲実施に際し統裁官である師団長は、演奏会は自衛隊に対する理解の深化、親近感の醸成、地域との連携強化を図り、防衛基盤の育成に資することを目的に実施することから、「師団唯一の音楽科職種部隊としての誇りと自信をもって演奏せよ」「信頼と感謝」「楽しみ・楽しませよ」の3点を要望した。


 1音は年度を通じて部内外・大小を含め約50回以上の演奏会を実施するとともに、その演奏技能の練度向上に努めてきた。今年度最後でかつ検閲となる演奏会は、その集大成としてテーマを「首都を守る~誇りと共に」とし、隊の演奏能力を最大限に発揮し得る曲目構成で臨んだ。

 演奏会は2部構成で行われ、第1部では聴きなじみのある人を勇気づける曲、人を笑顔にさせる曲で構成された3曲が、第2部では高い演奏能力によって、来場した聴衆者を悲しみから解き放つ高難易度の曲など3曲が演奏された。

 1音の圧倒的な響きと調和の音色は、自衛隊の素晴らしさを感じさせるとともに、感謝の気持ちをハーモニーという形で来場者の心に届けた。

 客席の聴衆者からは惜しみない感動の拍手が起こり、アンコールが湧き上がった。

 


   アンコール曲には、「吹奏楽のための第1組曲から『ギャロップ』」が演奏され、感動の熱が冷めやまぬうちに閉幕し、自衛隊に対する理解の深化、親近感の醸成を図ることができた。

 統裁官は講評で、「今後も師団唯一の音楽隊であるという誇りを堅持するとともに、さらに練成を重ね、高い演奏技術や豊かな表現力に磨きをかけ、聴衆を魅了する音楽隊として成長することを期待する」と述べ、演奏検閲を終了した。


陸上自衛隊 第1師団

陸上自衛隊 第1師団【公式X】

<編集部より>

自衛隊とは戦車で突進し、銃を構えて打つ仕事―。自分の肌感覚ではありますが、こうした大きな「誤解」をする人たちが少なからず、まだいるように思うことがあります。

ここまででなくても、連日、各地本や部隊から届く報告には、「自衛隊にこんなに多くの職種があるのを初めて知った」というイベントなどの参加者たちの声がまあ、多いこと。子供世代に際立つ反応ではあるものの、まだまだ、自衛隊への理解が足りないことを実感します。それは、広報紙・防衛日報としても新聞、デジタル版、SNSを含めて広報が足りないと肝に銘じ、積極広報に努めていきます。

ここから本題です。本日、紹介したいのは、陸上自衛隊1師団が「第49回定期演奏会」を実施するとともに、演者である1音楽隊に対して「第4次師団訓練検閲」も行ったという話題です。内容は、対音楽隊ならでは。演奏会の企画、準備段階から本番までの一連の行動を検することでした。

統裁官(師団長)の3つの要望(誇りと自信を持って演奏せよ、信頼と感謝、楽しみ・楽しませよ)には、師団唯一の音楽隊としての存在感を示してほしいというねらいもあるように思いました。

個人的な解釈ですが、音楽隊への検閲は①来場者に演奏会の趣旨を伝えたか②十二分に満足して帰ってもらうため、準備は間違いなかったか③本番では音をきちんと揃え、聴きやすくなっていたか④来場者を飽きさせない内容に仕立て上げていたか⑤休憩中のホワイエでもPRに努めていたかなどなど…ではなかったかと思います。

2部構成で行われた演奏会では圧倒的な響きと調和の音色を放ち、自衛隊の素晴らしさだけでなく、自衛隊への理解の深化や親近感の醸成にも大きく貢献したようです。講評での統裁官の評価も上々。検閲は無事に終えました。

前線で戦う立場とは違い、音楽を主任務とする専門部隊として音楽隊は今や、自衛隊になくてはならない職種。国家的行事や大相撲千秋楽の国歌演奏、スポーツイベント…。まだあります。「陸自の歌姫」など女性隊員らの華麗な歌声がメディアでもどんどん取り上げられ、一方で記念式典での観閲行進などを迫力満点の演奏で支えます。

とにかく、社会の中で音楽隊がしっかりとその任務をアピールし、職種の中では比較的、世に出るケースが多いこともあり、自衛隊の大きな広報として存在しているのです。

防衛省などの資料によれば、音楽隊には、隊員の士気高揚のための演奏、儀式や式典のための演奏、 広報のための演奏、必要に応じ、指揮所の警備―という任務が与えられています。音楽が主任務であるため、日々の訓練は演奏訓練が主体ですが、もちろん、自衛隊員としての共通の訓練も行います。PKOなどへも参加します。阪神淡路大震災の際には災害派遣部隊として救援物資の受け入れ作業、行方不明者の一斉捜索などにも従事しました。

現代流でいうならまさに、「二刀流」。奮闘する音楽隊員にこれからも目が離せません。