映像と写真で伝える“強さ”の裏側―陸自がMOTY・POTY同時開催|陸上自衛隊

動画コンテスト「ムービー・オブ・ザ・イヤー」(MOTY)を今年も開催!

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今年のテーマは「陸上自衛隊、強さの裏側」

防衛日報 2025年7月18日付


 陸上自衛隊は、昨年度、話題を呼んだ動画コンテスト「ムービー・オブ・ザ・イヤー(MOTY)」を今年度も開催する。映像の企画・撮影・編集を通じて、隊員の技術力向上を図るとともに、一般視聴者によるSNSでの拡散や投票を通じて、自衛隊への理解と信頼の醸成、広報力の強化につなげる狙いがある。

 

2025年度の陸幕長賞受賞の「大雪の湯」:Youtube


   陸上幕僚監部広報室によると、今年度のコンテストテーマは「陸上自衛隊、強さの裏側」。昨年の「陸自隊員、それぞれの最前線」から一歩踏み込み、陸自の〝強さ〟に焦点を当て、活動の裏側まで表現した作品を幅広く募集する。

 

2025年の最優秀賞受賞の「生地に咲く落下傘の花」 

 

 動画部門の応募については、陸上総隊、各方面隊から最大3作品、その他部隊は1作品までとされる。対象となるのは、令和7年1月から12月の間に撮影された1分以内の映像作品。応募締め切りは12月中旬、審査は8年1月中旬から2月中旬にかけて行われ、2月中に結果が発表される予定。3月には表彰式も予定されている。

 

2025年のSNS賞受賞の「強襲奪回」


 審査は、陸上幕僚長のほか、部外の映像専門家の有識者、一般視聴者が加わって行われ、陸上幕僚長賞、優秀賞が授与される。優秀賞は、有識者による「部外審査部門」と視聴者参加型のSNS投票による「一般投票部門」から、それぞれ1作品が選出される。

 

 昨年に続き、応募作品は「Youtube陸上自衛隊広報チャンネル」で配信される予定で、同チャンネル上の「いいね」数による投票システムも引き続き導入される見通し。

 審査結果は陸自公式ホームページ、各種SNSアカウントで発表され、受賞者には表彰状と記念品が授与される。


写真コンテスト「フォト・オブ・ザ・イヤー(POTY)」も同時開催!


  陸上自衛隊はMOTYに加え、写真コンテスト「フォト・オブ・ザ・イヤー(POTY)」も同時に開催する。

 

 POTYは、「カレンダー部門」と「パンフレット部門」の2つで構成され、いずれも写真の完成度が重要な要素となる。テーマはMOTYと同様に〝強さ〟に焦点を当て、カレンダー部門は本質的・印象的な作品を募集することから、「陸上自衛隊、強さの本質」、パンフレット部門は幅広く活動の裏側までの作品を募集することから「陸上自衛隊、強さの裏側」となる。

 

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POTY 2024年最優秀賞受賞「躍進」東部方面混成団 3曹 真弓真由


 応募点数は、カレンダー部門が陸上総隊、各方面隊で最大100作品、その他部隊などは4作品まで。パンフレット部門は、陸上総隊、各方面隊が60作品、その他は4作品が上限。

 

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POTY 2024年 SNS賞受賞「この子のために」第6師団司令部付隊 3曹 山田亮


 審査はMOTYと同じく、陸上幕僚長、部外のプロ写真家の有識者、一般視聴者が実施し、陸上幕僚長賞、優秀賞が設けられる。優秀賞についても、有識者による「部外審査部門」と、視聴者参加型のSNS投票による「一般投票部門」から選出される予定だ。

 

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POTY 2024年 陸幕長賞受賞「歓迎の白雪」第20普通科連隊 3曹 石田玲菜

 動画に比べて多くの応募が可能な形式となっており、撮影やデザインに関する技術向上の好機として注目される。

 

 応募された作品は、陸自で作成するカレンダーやパンフレットなどで活用される予定だ。  



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陸上自衛隊 広報チャンネル【Youtube】


<編集部より>


6月8日、「令和7年度富士総合火力演習(総火演)」が実施されました。実弾を使用した陸上自衛隊最大規模の火力戦闘の実相を紹介するものです。防衛日報でも取材記者を派遣し、その細部にわたる動きを追い、紙面で紹介しました。


今回の特色は、その広報戦略にありました。より迫力とスピードのある印象的な演習とするため、研修席の近傍に戦車などが進入する機動路を整備して体感してもらい、ウエブカメラの映像を活用し、より臨場感のある演習様相をライブ配信しました。まさに、今や広報として必要不可欠の「ピース」となっている動画なのです。


静止画像より動いている映像が分かりやすいのは当然。一連の流れが事細かく追え、迫力満点ということにほかなりません。社会の大きな趨(すう)勢となった動画は、著名人らによるYoutubeの氾濫という要素も加わり、一つの時代を創(つく)ってきました。自衛隊もまた、その流れをしっかりと受け止めています。


本日(7月18日付)の防衛日報は、内部部局と自衛隊の両トップが交代する大きな人事ニュースでほとんどを占めていますが、その中で唯一、「異彩を放つ」記事を紹介します。陸自が今年度も実施する動画コンテスト「MOTY」です。昨年度から始め、映像の企画や撮影、編集を通じて隊員の技術力を向上させることはもちろん、自衛隊への理解や広報力の強化という一面もあり、一般視聴者が参加できるとあって大きな反響を呼んだ試みでした。


今回のテーマは「陸上自衛隊、強さの裏側」です。可能な限り背景や描写などにもこだわった作品が期待されていることでしょう。そして、応募作品は「Youtube陸上自衛隊広報チャンネル」で配信され、チャンネル上の「いいね」数による投票システムの導入など、昨年度と同様の選考方式が予定されています。


新聞は記事とともに写真を使用しながら紙面を作りますが、正直、動画の説得力には勝てません。たとえば、訓練。画像を通し、火砲一つとってもその衝撃音などは迫力を感じられます。隊員たちの言葉やその時の表情、上司や同僚との何気ない会話、額から滴(したた)り落ちる汗…などなど、さまざまな動きの中で見せる「素顔」をどれだけ伝えられるか。試される要素はたっぷりあるわけです。


担当する隊員たちにとっては、こうした取材自体、普段の広報活動とは違うかもしれません。技術を高めるための努力は欠かせないところかなとも思います。言えることは、コンテストの趣旨・目的でもある、「いかに自衛隊を知って、理解してもらうか」です。


情報伝達量が多く、記憶に残りやすく、拡散力の高さなど、動画のメリットは果てしなくあります。企業ならば、商品やサービスの魅力を効果的に伝えることで、認知度を向上させ、購買意欲の促進につながるのですから。



僭越(せんえつ)ではありますが、総火演が迫力、スピード感をアピールするものなら、個々の部隊は隊員一人ひとりをクローズアップできるようなものもおもしろいのかと。精強性、規律性、統一性など、自衛隊が持つ本来の姿とともに、こうした要素が詰め込まれていることで、社会(一般視聴者など)に響くものだと思うのです。