陸上自衛隊高等工科学校(学校長・星指陸将補)は9月27日、開校祭を、28日に「創立70周年記念行事」をそれぞれ挙行した。
開校祭は、実行委員長の山田生徒を核心に、生徒会の計画により文化クラブなどの活動成果発表や、生徒会主催イベントなど、生徒が主体となって実施された。
普段は授業に使用される教室舎では、茶道部をはじめとする10個のクラブが創意を凝らした展示や発表を行い、来校した家族を楽しませた。
講堂では、吹奏楽部、和太鼓部、吟詠剣詩舞部、弁論部の各クラブが発表を実施した。さらに、生徒会が主催したイベントとして、生徒用制服を着用した撮影会や、生徒の日常を垣間見ることができる生徒体験コースなど、計5つの企画が実施された。
創立70周年記念行事には、後援会会員の国会議員、歴代学校長をはじめ、各協力団体の会長ら多くの来賓に加え、この日を楽しみに全国から駆けつけた生徒家族を迎えるとともに、定年退官相当期となる第32期生、一般の来場者ら計約4000人以上が来校した。
当日は晴天に恵まれ、グラウンドで記念式典、生徒隊パレード、祝賀飛行、ドリル演技、和太鼓演奏を行った。
式典の式辞で学校長は、「生徒制度の創設以来、70年にわたる歴史を重ね、伝統を継承しつつも、時代の変革に応じて組織、教育内容を充実・発展させてまいりました。今後も校風と学校理念を礎(いしずえ)に、将来の戦闘様相に適応し得るリーダーの育成に取り組んでいく所存です」と抱負を述べた。
また、生徒に対して「リーダーシップとフォロワーシップの実践」を、職員に対しては「愛情と感化」を改めて要望した。
その後も校内各所で、装備品展示、広報展示などが行われ、創立記念行事の一連の行事は、盛会のうちに終了した。
<編集部より>
毎年のことながら、この話題ははずせません。陸上自衛隊高等工科学校の「開校祭」と「創立記念」の2つの行事です。今年は創立70周年という節目でした。
当然のことながら、防衛日報の本日(10月23日付)2面のトップ記事として掲載しました。編集する立場として、1年に1回、報告を読むたびに、いつも思うことがあります。
それは、「よくぞ、この道を選んでくれた」の一言に尽きるのです。入校式時でも同じ。旧社在籍時以降、防衛庁(当時)を担当するなど、日本の防衛にささやかながら関わってきた身として、高工校とは比較になりませんが、私事ながら中学を卒業後、高校の寮生活を選択し、親元を離れた息子を持つ身として思うことなのです。
遊びたい盛りの青春期です。15歳で将来の職業を決めるのは容易ではありません。もっと言えば、自衛官という危険を伴う職業自体、誰にでも薦められるものでもありません。ましてや、社会性と即応性、規律性、さらには団体生活…。
この年代には時には厳しく、辛い環境といってもいいと思います。国を護(まも)るため、人生において貴重な3年間を勉学と訓練に費やす選択をした少年たちには大きな期待とともに、親でもないのになぜか、子供を見守ってしまう、そんな親心にも似た気持ちになってしまうことがあるのです。
覚悟と決意があればこその高工生にとって、年1回の行事は関係者のみならず全国から親御さんも多く参列するわけですから、「頑張っているよ!」「心配しないで!」の暗黙のメッセージを伝える場です。少なくとも、親御さんは「大丈夫かな」「元気なのかな」…そういう目で確かめたくなるものですから、元気いっぱいに表現することで、安心してもらいたいという日なのかとも思います。
在学時は必須といわれる体育、文化などの特別活動(クラブ活動)の成果を発表すれば、観閲行進では生徒隊パレードで勇壮な姿を披露。和太鼓部は鮮やかなバチさばきで式典を盛り上げました。開校祭は生徒会が主体。さまざまに創意工夫を凝らし、来場した約4000人にしっかりとアピールしました。
近年の高機能化・システム化された装備品を駆使し、運用するのはいくら、技術に柔軟な能力を持つであろう若者とはいえ、並大抵のことではありません。
高工校は今、まさにこうしたカリキュラムを前面に出して教育しています。「将来、陸上自衛官として国際社会においても自信を持って対応できる人材の養成」はHPでも紹介されているほどなのです。そして、教育理念は「技術的な識能を有し、『知・徳・体』を兼ね備えた伸展性ある陸上自衛官としてふさわしい人材を育成する」。
こうした伝統を継承しつつ、幅広い教養と豊かな人間性を養うことで時代の変革に応じた発展を続ける高工校。巣立った卒業生は、陸自の現場の中核として大きく羽ばたいてほしいと思います。