防衛省は6月11日、太平洋上の公海上空で海自のP3C哨戒機が同7、8の両日、中国軍の戦闘機から追尾され、約45メートルの距離まで異常接近を受けたと発表した。
防衛省は6月11日、太平洋上の公海上空で海自のP3C哨戒機が同7、8の両日、中国軍の戦闘機から追尾され、約45メートルの距離まで異常接近を受けたと発表した。
海自機は付近を航行していた中国軍空母「山東」の警戒監視を実施中で、戦闘機は「山東」に搭載されたJ15。海自機の搭乗員や機体に被害はなかった。
防衛省によると、6月7日午前10時半ごろから11時ごろまでの約40分間、海自機が戦闘機に追尾され、複数回接近された上、衝突する可能性が高くなる高度差がない状態で、約45メートルの距離まで近づいたという。
また、8日には海自機の針路前方約900メートル(高度差がない状態)を横切ったという。横切ることで戦闘機のエンジンから出る排気によって哨戒機の飛行に影響が出る恐れがあった。
戦闘機はミサイルで武装していたとみられている。
防衛省は11日、海自機が8日に戦闘機に追尾された際の写真2枚を公開。そのうちの1枚は海自機の左側から戦闘機を撮影したもので、戦闘機が海自機と近距離で、ほぼ同じ高度で飛行していたことがわかった。
防衛省は「特異な接近は偶発的な衝突を誘発する可能性がある」として中国側に深刻な懸念を表明。再発防止を厳重に申し入れたという。
また、発表が遅れたことについては、海自機の搭乗員からの聞き取りなどに時間がかかったなどと説明した。
「山東」は6月7日に沖縄県宮古島の南東550キロほどの海域を航行し、同日には別の中国軍空母「遼寧」も太平洋を航行。防衛省が中国軍の空母2隻が太平洋上で同時期に活動していたことを初めて確認したことを公表していた。
防衛省などによると、中国軍機による自衛隊機への同様のケースは過去に2014年5月と6月の2度あり、ともに約30メートルの距離まで接近していたという。
写真は全て防衛省提供