板妻駐34普連(連隊長・兜1陸佐)2中隊の佐藤典英2陸曹が5月24日、フランスで開催された「日本拳法フランス国際大会2025」に日本代表選手として出場し、団体戦、個人戦(年齢別36歳以上)ともに優勝を果たした。
板妻駐34普連(連隊長・兜1陸佐)2中隊の佐藤典英2陸曹が5月24日、フランスで開催された「日本拳法フランス国際大会2025」に日本代表選手として出場し、団体戦、個人戦(年齢別36歳以上)ともに優勝を果たした。
出場国は日本を含む8カ国で、団体戦は男子4人と女子1人の混合チーム、個人戦は男子(年齢別36歳以上・以下)、女子の部で試合が行われ、団体戦、個人戦すべての部で日本が優勝を勝ち取った。
佐藤2曹は入隊後に日本拳法を始め、これまで数々の大会に出場。中隊では小銃分隊長の立場であり、連隊の拳法訓練隊で90キロ以下級選手として活躍し、前年度行われた「日本拳法個人総合選手権大会」で第3位の成果を収め、本大会出場が決まった。
佐藤2曹は「日本代表として勝てたことがとても誇らしく思う。胸を張って安心して日本に帰れる」と当時の気持ちを語り、今後は「個人総合選手権大会や全自衛隊拳法大会で優勝したい」と次なる目標に闘志を燃やしていた。
<編集部より>
日本発祥の武道が世界で普及し、競技人口が増えるのは誇らしいことです。競技を知り、経験者を通して所作から精神などの「入り口」的な絶対条件を踏まえた上で、スキルを身に付け、日本という国を学び、国際関係の一助にする―。
それはどんなスポーツにも言えることですが、こと武道は「日本発」。柔道や剣道、空手…世界各国の多くの人たちが帯を締め、竹刀を振り、型を習熟して突きや蹴りなどの一撃を食らわすことで、その道を究める武道こそ、日本らしさの一つの象徴と言えるものです。
本日、紹介するのは日本拳法の話題です。日本と名が付くのでもちろん、日本で誕生した武道ですが、フランス国際大会に日本代表として出場した陸上自衛隊板妻駐屯地2中隊所属の佐藤典英2陸曹が団体だけでなく、個人戦(36歳以上)も優勝するという快挙を達成しました。同駐からの報告です。
こういう武道という競技で、それも海外で活躍する自衛官の姿をお伝えするのも、広報紙として欠かせない題材です。飛びつきました。新聞ではトップ記事として写真を3枚使用して大きく展開しました。
武道での国内の競技会の報告は、各駐屯地からも多く寄せられます。武道と自衛隊こそ、「らしさ」の一つと思っています。それも国際大会の頂点ですから、世界に誇れるもの。自衛隊の、自衛官の存在をアピールできたのではないかと思います。
知識が乏しいので、日本拳法会の資料を読みました。そもそもは昭和7年、関西大学の学生で柔術家だった澤山宗海氏が開始したとされ、防具(面・胴・股当てその他)とグローブを着用し、打撃技、投げ技、寝技を駆使して勝敗を競い合うものです。武道だけでなく、格闘技、スポーツの側面を持っているのが特色でしょうか。東洋には古くから諸派の拳法が伝わっていましたが、多くは形(型)の拳法。そこに防具を創案して着装し、お互いに自由に撃ち合うことで拳の法を修めるものなのだということです。
一般社団法人「日本拳法競技連盟」のHPを見ると、大会に審判団長として参加した山口大輔氏の報告文がありました。「『国は違えど、日本拳法を愛する気持ちは同じ』。現地でそう実感できたことをうれしく思います。次は、指導者同士の友好、ルール統一化などで同じ方向に進んでいくよう、『本家日本』が中心となって舵(かじ)を進めていくのが責務です」―と。
今回、参加した日本代表選手の多くは大学生。自衛官は佐藤2曹だけでした。自衛隊をも代表し、一人、世界と戦い、自衛隊を強烈にアピールしたものと思います。
近年は海外の選手たちの台頭もあり、柔道などでは本家としての地位が少し揺らぎつつあるようですが、それも普及度を考えれば仕方のないところ。成績向上のためのさらなるパワーアップを図るしかないのでしょう。
そして、日本拳法です。世界での普及度はまだまだなのかもしれませんが、今回、日本チームは存在を広く世界に轟(とどろ)かせました。その一員として戦い、大きな成果を収めた佐藤2曹の健闘を心よりお祝いするのみです。