陸自2師団(師団長・大場陸将)は11月20日、北海道警察北見方面本部と「令和7年度警察との共同訓練」を遠軽駐、同駐近傍で実施した。
2師団と北海道警察北見方面本部との共同訓練は隔年で実施されており、今回で18回目、遠軽駐での訓練は7回目となる。
訓練終了後は、相互の任務分担、対処要領について再度確認・検証し、緊密な連携態勢を構築した。
<編集部より>
武装工作員の上陸を想定した陸上自衛隊と警察機関による共同の対処訓練は、各地で実施されています。本日(12月9日付)の防衛日報の2面では、18回目となる2師団と北海道警北見方面本部との‶タッグ〟の様子を紹介しました。今回はオホーツク側に所在する遠軽駐屯地での実施でした。
武装工作員といえば、主に海上で「漁船」と化した工作船に乗るイメージがありますが、周辺諸国には武器の製造や輸入・確保などで長足の進歩を遂げているとされるところもあり、海上からだけにとどまらない武装工作員の存在がまだまだ、脅威となっているわけです。基本、海に近い場が上陸する上では効果的である以上、共同訓練もまた、こうした地域周辺に所在する駐屯地などで実施されることが多いようです。
工作員はどんな武器を持っているかもわからず、地域を揺るがすようなものであれば、それこそ警察機関だけでは対処できなくなります。保有装備自体が異なる警察と自衛隊ですから、連携しながら対処し、「総合力」を発揮することこそ、国民の平和を守る大きな力。
今回、2師団はパトカーの先導で自衛隊と緊急走行、双方任務分担の確認、さらには共同検問の連携要領などを実施しました。今回の両者の共同訓練は国民の安心につながる重要なものなのです。
防衛白書には、「武装工作員などによる不法行為は、警察機関が第一義的に対処するが、自衛隊は生起した事案の様相に応じて対処する」とあります。
具体的には、侵入者の実態や事案の状況が不明な場合はまず、警察の対処です。その後、状況が明確になった上、警察力を持っては治安が維持できないと認められる際には、①自衛隊施設の警備強化②必要に応じて警察官の輸送、各種資器材の警察への提供③状況により、治安出動下令前に行う情報収集―などを挙げています。
紙面では、パトカーが先導し、その後ろに自衛隊の車両が続く様子をとらえた写真をメインで掲載しました。最も分かりやすい構図だと思ったからです。
道行く人から見れば、「何かあったのか?」と驚くことかもしれませんが、それが訓練であり、警察と自衛隊が並んで進むさまこそ、訓練の意図を少しでも理解してもらう上でとても重要な光景となるのです。
警察との連携は要は、どのように情報共有して対処するかが大切です。もっと言えば、自衛隊と警察が共同で対処するという「存在感」を発揮することは抑止力にもつながるのだと思うのです。