本格教育開始から10年目
当日は、エンストロム・ヘリコプター社のトッド・テツラフ社長、エアロファシリティー株式会社の木下代表取締役社長をはじめ、陸幕監部、補給統制本部、栃木地本からの参加を得た。
TH-480Bは、2011年から操縦教育用の機体として導入を開始。14年度から航空学校明野本校、宇都宮校で30機体制での本格教育が開始された。
今年度は、14年度からの本格教育開始以降10年目の節目を迎えるとともに、無事故運用総飛行時間でも間もなく10万時間を迎える。単一機種、単一組織による無事故10万時間は世界的にも珍しく、陸上航空の任務完遂と航空安全を記念するセレモニーとなった。
<編集部より>
令和6年も残りあとわずかとなりました。野球好きゆえ一言。海の向こうでは、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が50本塁打、50盗塁の「50・50(フィフティー・フィフティー)」というメジャー初の大記録を達成し、日本列島が沸いた1年でもありました。
どんなスポーツにも、どんな職業、職種にも大なり小なり、記録というものは存在します。それが大谷選手のように「唯一無二」と現地のアナウンサーが大絶叫するほどのものでなくても(もちろん、英語ですが)、一つの偉業であり、達成感に満ちあふれるものでもあり、さらには「さぁ、これからも頑張るぞ!」と再び、ギアを上げたくなるような、そんな瞬間でもあるように思います。
防衛日報の本日(12月26日付)2面では、陸上自衛隊明野駐屯地に所在する航空学校からの報告を掲載しました。同校は陸自の航空科隊員に対する教育訓練が主要任務の学校ですが、ここで使用される練習ヘリコプター「TH-480B」の無事故運用10年を記念したセレモニーが同校宇都宮校で行われました。
教官がまだまだ慣れない学生たちを相手に指導しながらの訓練です。リスクは起こり得るものです。「練習機」とはいえ、2014年度から本格教育を開始して以来の無事故は、素晴らしいことなのです。さらに、もう一つの「快挙」が運用総飛行時間。これも無事故で世界的にも珍しい10万時間を間もなく迎えるというのです。こちらも誇らしい話題です。紙面では、レイアウトを少し工夫し、目立つように紹介しました。
事故はない方がいいのは当然ですが、公共の輸送機関などによる事故は大きなニュースになります。これが、自衛隊による事故となるとさらに特別な扱いとなるのは今に始まったことではありません。これまでの歴史的な背景もあり、良くても悪くてもそれだけ、自衛隊に対する国民の「目」はさまざまです。
しかし、しかしです。今回のような記録達成の話題は「手前味噌(みそ)」だろうが、何だろうがしっかりとアピールすることが大事であり、防衛日報としても優先的に広報すべきニュースとして判断させていただきました。
厳しさを増す安全保障環境の下、島嶼(しょ)部に対する侵略、ゲリラや特殊部隊などによる攻撃、大規模災害など各種事態への即応・実効的対処能力の向上は欠かせません。航空科隊員の重要性は高まる一方です。
「虎の穴」で航空機操縦教育(基本操縦教育)などに必要な練習ヘリコプターを通して学んだ学生たちが今後、前線で国を護(まも)る貴重な一員となり、活躍することを期待してやみません。
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