<北海道>美幌駐6即応機動連隊本部管理中隊(中隊長・北守1陸尉)は11月25日から26日の間、美幌町周辺で、狙撃班(狙撃班長・小林1陸曹)をはじめとする隊員7人による山地機動訓練を実施した。
 
宿営準備も速やかに

 訓練では山地機動能力を維持・向上させるとともに、山地での高斜度の移動技術、負傷者の救助、後送要領を演練した。

高斜度経路を前進

 訓練内容は、景勝地として有名な道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」をスタートし、藻琴山登山コース8合目に立つ山小屋「銀嶺荘」を経由し、小清水町のレストハウス「ハイランド小清水725」を終点とする、全長約15キロを1夜2日で機動するものだった。

 狙撃班は25日午前7時、積雪20センチ、最大風速7メートル、気温氷点下10度の状況で訓練を開始。安全確保のためアイゼンに換装し、危険個所、高斜度経路を前進しながら救助方法について認識の統一を図り、前進した。

前進開始

険しい道を前進

アイゼンに換装

 午後3時、藻琴山登山コース8合目に立つ山小屋「銀嶺荘」に到着。宿営準備を速やかに実施し、翌日に備えた。

積雪上に宿営準備

 狙撃班は26日午前7時に前進を再開し、午後11時に最終目的地の「ハイランド小清水725」に異状なく到着した。

 6即応機動連隊は「引き続き、冬季に向けて継続的に訓練を実施し、山地機動能力を向上する」としている。

<編集部より>

 平地とは違い、山を使った機動訓練は過酷なものです。ただでさえ、山道ですから歩行は困難なうえ、ここに積雪、酷寒という厳しい環境が加わります。

 それでも、自衛隊にとって戦闘、災害派遣時、遭難者救助に必要な識能や応用技術を習得させるのは不可欠なのです。

 このほど、狙撃班など7人の隊員が参加した山地機動訓練がありました。陸上自衛隊美幌駐屯地6即応機動連隊本部管理中隊のメンバーです。防衛日報の本日(12月17日付)2面では、全長約15キロを1や2日かけて機動し、高斜度での移動技術や要救助者の搬送などを演練しました。

 午前7時、積雪20センチ、最大風速7メートル、気温は氷点下10度…数字を聞くだけでも驚くばかりの自然相手です。7人は黙々と行進し、各種行動を続け、冬季における山地機動の厳しさを再認識したことでしょう。

 有事は場所を選びません。災害も同様です。平地があれば山も海もあります。いつ、何時、派遣などで対処する事態に陥るかわかりません。

 少しそれますが、よく、政治家たちが選挙などを前に口にすることばに「常在戦場」という四字熟語があります。資料などを紐(ひも)解くと、その語源としてはいつでも戦場にいるような心構えで物事に取り組もうといった「心得」を指し、あの連合艦隊司令長官の山本五十六氏が座右の銘にしていたことでも知られています。

 現代人にはなかなかなじみが薄くなっているフレーズではありますが、常に緊張感のある状態を例えた表現と考えられるとも言われているのです。

 一般人にまで解釈を広めるつもりはさらさらありませんが、自衛隊こそ常在戦場を常に意識しながら日夜、訓練を続ける組織ですが、やはり、山地の環境は異なります。

 危険な個所も多くなり、高斜度にも神経を使うことでしょう。美幌駐の最後のコメントには、最終目的地に「異状なく到着した」と結んでいるように、山地機動に必要な技術や知識などを学ぶ課程ですから、事故なく終了したことで訓練は一定の成果につながったようです。

 全国の各部隊からも、山地機動訓練の報告は寄せられています。こうした過酷な条件の中、一つひとつの技術、場面、場面での対処の仕方などを身に付けることで、「どんな場所でも、自衛隊ならやってくれる」という国民からの信頼につながるのは言うまでもないことです。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報12月17日付PDF