<東京都>陸自衛生学校(学校長・水口陸将補)は11月11日から14日の間、勝田小演習場で、衛生教導隊(隊長・中村2陸佐)に対する訓練検閲を実施した。
 
熱傷患者に対する処置も

 検閲にあたり、統裁官(学校長)は受閲部隊に対し、「執念をもって任務を遂行せよ」「安全管理の徹底」の2点を要望した。

編成完結式(衛生教導隊隊長)

 訓練検閲では、衛生教導隊に対して各部隊への衛生支援態勢を確立し、旅団収容所を開設・運営して、第一線部隊で発生した患者の治療・後送の任務を付与した。

 衛生教導隊は受閲間、旅団収容所で実施可能な初期外科手術の準備態勢や、その施設を使用した患者対応を実施し、各部隊を間断なく支え、旅団の人的戦闘力の維持増進に寄与した。

熱傷患者に対する処置

救急処置を行う隊員

指示を出す隊員と通信を行う隊員

統裁官(衛生学校長)視察

 また、隊員一人ひとりが置かれている状況を掌握し、自らの役割を考えて、平素に積み上げた訓練成果を遺憾なく発揮して任務を完遂した。


◆関連リンク
陸上自衛隊衛生学校
https://www.mod.go.jp/gsdf/mss/index.html

<編集部より>

 国民の安心・安全を護(まも)る自衛隊ですから、その隊員が健康を害していては、いざという時しっかりとした活動ができません。

 平時で隊員の健康管理や診療、保健指導、メンタルヘルスなどを行うのが衛生科隊員であり、衛生科隊員に対して職務に必要な知識や技能を習得させるための教科訓練を行うのが、陸上自衛隊衛生学校なのです。

 防衛日報の本日(12月4日付)2面では、衛生学校の入校学生への教育支援を担当する衛生教導隊に対し、学校が訓練検閲を実施した報告を紹介しました。各部隊への衛生支援態勢を確立し、患者の治療・後送などの任務が付与され、完遂したということです。一つひとつの任務が隊員の健康にまっすぐにつながるわけですから、教導隊のメンバーも必死だったことでしょう。

 学校から報告とともに寄せられた数々の写真は、どれも関心のあるカットでした。訓練検閲とはいえ、普段はなかなかお目にかかれない状況下の光景でもありましたので、編集者として採用させていただく上で大いに悩んだほどでした。

 衛生学校が所在する東京・三宿駐屯地には自衛隊中央病院をはじめ、衛生関係の各機関や部隊とそれを支える組織が集結しています。また、衛生科部隊の運用に関する調査研究、国家資格の臨床検査技師や救急救命士の養成を行っています。衛生学校を卒業した隊員たちは、それぞれの部隊で隊員の健康管理に努める一方で、災害派遣活動などでも活躍しています。国連平和維持活動(PKO)では、現地で医療の提供を実施します。まさに、「自衛隊衛生の中心的役割」を果たしているのです。

 さらに言えば、上記に述べたようにしっかりとした教育を受けた衛生科隊員は、まずは隊員のことですが、それは国への大きな貢献となり、HPで学校長の水口陸将補が統率方針として掲げているように、「必ず救命できる衛生支援体制の構築」を最大限生かすことができるものとなるのだと思います。

 報告の最後に、「平素に積み上げた訓練成果を遺憾なく発揮した」という学校側のコメントがありました。この平素に積み上げることが訓練の最も重要な要素であり、実戦にどう生かせるか、生かしていくかがさらに大事なことといえるのではないでしょうか。今回の検閲を受閲した衛生教導隊の隊員たちが、今後、隊員や国の安心・安全に貢献してくれることを期待するばかりです。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報12月4日付PDF