所感文コーナー「みんなのひろば」は、隊員や家族、OB、自衛隊の研修に参加した学生ら関係者などの所感文を紹介しています。今回は、西部方面特科連隊1大隊からお届けします。
 
「必ずやる」から学び、成長|西部方面特科連隊1大隊 本部管理中隊 陸士長 有働 理乃

 自衛隊に入ってたくさんのことを経験し、成長することができました。成長できたのは、新隊員前期の班長がいたからだと思います。

 班長要望事項は「やれ」でした。言われたことは必ずやる。挑戦してみる。そんな班長の教えがあったからこそ今、どんなことにも挑戦することでたくさんのことを学び、知識を高め、自分自身を成長させることができていると思います。

有働陸士長

 また、部隊配属して1年が経ち、後輩も入ってきました。たくさんのことに挑戦して成長できたように、後輩が挑戦できるような環境を作り、挑戦することが大切だということを教えたいと思います。

 自衛隊に入り、多くの人と出会い、いろいろなことを学ばせていただき、感謝することばかりです。これからも多くの興味を持ち、挑戦し続け、私らしく後輩とともに成長していきたいと思います。


◆関連リンク
陸上自衛隊 西部方面特科連隊
https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/8d/butai/wafar.html

<編集部より>

 時の上司から「普段、思っていることを素直に書いて、広報紙に掲載してもらったら…」。そんなやりとりがあったかどうかは、定かではありませんが、日々、地本や部隊の活動、防衛省の施策、大臣の動向など「日本の防衛の動き」を広報する立場として思うことは、防衛省も自衛隊もそこに働く人間がいるからこその組織形成です。

 人間というよりは「人財」という財産であることは、どの職場でも同じです。高邁(こうまい)で崇高な思いを持って入隊し、時が過ぎた今だからこそ、どう変わったのか、変わっていないのか伝えてほしいことがあり、管理者や上司、先輩には読んでほしいことがあるのです。その一つの場を防衛日報は所感文コーナー「みんなのひろば」として提供し、一人でも多くの隊員さんたちに読んでもらいたいという願いで随時掲載しています。

 防衛日報の本日(11月12日付)2面は、陸自西部方面特科連隊1大隊本部管理中隊の有働陸士長のメッセージです。

 最初に心に響いた「やれ」という新隊員前期の班長の言葉でした。入隊からそんなに間を置かない時期でしょうから、有働士長にとっては厳しく受け止めたかもしれませんが、繰り返していくうち、コミュニケーションを取るにつれ、「言われたことは必ず『やる』、挑戦してみる」という、はっきりとした気持ちの整理ができてきた。そんないきさつが克明に記されていました。

 まずはやって、挑戦することで成長につながる。今、有働士長はそんな思いで振り返っていました。その心境までたどりつくのは、なかなかできることではありません。が、部隊への配属から1年が過ぎ、自分のことを「最も身近」と思ってくれる後輩ができ、その後輩と接する上で今、以前の境地を思い出しながら、確認しながらの日々を送っているのだと感じます。

 私事で恐縮です。上司や先輩の言葉の少なさには自分も驚き、怒りを覚えたことがありました。旧社の地方支局から本社社会部に上がったばかりのころ。夕刊作業が終わり、夕刊作業チームは一人ひとり社を出ていきます。自分はといえば社会部新人です。朝刊作業チームが出社するまでの留守番をするものだと思っていた矢先、「何やってんだ!」の思いっきりの罵声がデスクから浴びせられました。先輩記者が「『街に出て行ってネタを探して来い』。ここ(会社)にいても何にもならない、ということだよ」と教えられ、なるほどと思う半面、「だったら、ちゃんと言えよ」と思ったことは正直、ありました。

 しかし、部下を持つようになると、指示の言葉は簡潔明瞭、単純明快。ダラダラと長い言葉は伝わらないし、響きません。一言ならさらに、良し。在籍期間中、そんなことを当たり前のように勉強していったように思います。

 有働士長がここまで素直な気持ちになって所感文でつづることができるのは、「やる」「挑戦」など短く、分かりやすい言葉だからこそ心に残るものだったからなのだと思い知らされました。人間、さまざまな場所でいろいろな人間と出会い、学びながら人生を進んでいきます。有働士長にとってはかけがえのない「財産」ともなった「やる」は、ずっと心の支えとなっていくことでしょう。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報11月12日付PDF