「後世に残るよう魂を込めて工事を実施せよ」
隊員が横隊に展開して前進しながら射撃が実施できるように射場全体の地面を平坦に整地するとともに、跳弾を防止するための左右の側堤の構築、小河川の水路改修が主要な工事内容だった。
施設隊は、10即応機動連隊、18普連、28普連、11後方支援隊など、旅団隷下各部隊の人員・装備を指揮下に入れて整備隊を編成するとともに、函館駐業務隊、120警務隊から支援・協力を得て工事任務を遂行。令和6年9月25日、完成式で11旅団長への工事完成報告で無事引き渡しを完了した。
この間、湧水による法面崩壊や度重なる設計変更調整などが生起したが、隊一丸となって幾度の困難を乗り越え、北部方面総監要望事項である「後世に残るよう魂を込めて工事を実施せよ」を具現化し、全工事任務の完了を遂げた。
<編集部より>
防衛日報では以前、「2カ年計画で進行中-亀田射場改修工事」の陸上自衛隊11旅団11施設隊の報告を掲載し、デジタル版の「防衛日報デジタル」でも紹介しました。このほど、その亀田射場(北海道函館市)がついに完成し、今回、11施設隊からその報告が寄せられました。防衛日報の本日(10月31日付)2面の記事です。
工事の途中の状況を掲載した以上、最終的に完成したこともまた、メディアとしては応える必要はありましたが、心配は無用でした。しっかりと、完成報告をいただきました。
工事は、普連などの各個戦闘射撃能力に必要な訓練基盤の充実を図るのが目的でした。しかし、報告によると、湧水による法面の崩壊、度重なる設計変更調整などが発生したものの、隊が一丸となって困難を乗り越え、すべての工事任務を完了させたとのことです。
新聞編集に携わる一人として大変、ありがたかったこともありました。「完成前と完成後」、つまり、「before after」の写真も寄せられました。こうしたケースはその2枚があれば、どう変わったのかが一目瞭然となります。メディアの考えをしっかりと意識していただき、紙面では2枚並べて掲載することができました。
改めて施設部隊について、思うことがあります。前線部隊が滞りなく活動ができるように、障害の構成や処理、交通、道路、渡河建築、測量、地図の補給などに至るまでの任務にあたる部隊とはいえ、「後方支援」的な見方だけではなく、施設部隊もまた「戦闘施設部隊」でもあるということです。つまり、作戦課程の全局面にわたって部隊が持つ施設技術能力を発揮したり、施設科目品の補給を担任します。これが使命であるわけですから、諸部隊の行動を支援する戦闘部隊であるということです。こうした認識を強く持って新聞編集に臨みたいと思います。
今回の亀田射場は、普段の射撃訓練などにとって必要不可欠な場。前線とは異なる場であるかもしれませんが、訓練自体、前線を限りなく意識して行うもの。上記で述べたように、戦闘射撃能力の向上のためには、できるだけスムーズに、より効果的にできるよう整備することは当然のことです。
11施設隊が果たした任務は、戦闘部隊の「oneチーム」の一員としての役割、北部方面総監の要望事項「後世に残るよう、魂を込めて工事を実施せよ」の具現化もしっかりと果たしたものとなりました。
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