<長崎>海自佐世保教育隊(司令・井上1海佐)はこのほど、「第21期一般海曹候補生課程、第384期練習員課程および第71期練習員課程(女性)」の修業式を挙行した。式には、佐世保地方総監(俵海将)臨席の下、佐世保市副市長の田中英隆氏ほか多数の来賓が出席した。
 
「心・技・体」を鍛錬

 司令は「4月の入隊以来、約4カ月半にわたり、同期生とともに海上自衛官たるにふさわしい態度や、部隊勤務に必要な気力、体力、そして知識の基盤を身に付けてきた。入隊時に比べて格段に成長し、頼もしく思っている。自信を持って部隊実習に臨んでもらいたい」と激励。

 その上で、「実習に引き続く部隊勤務で各自が任務を遂行するにあたっては、先に誓った『服務の宣誓』の意味するところをしっかりと心に刻み、真に戦うために必要な心・技・体の鍛錬を日々怠らないでほしい」と式辞した。

 佐世保地方総監は、「今後の指針として次の2点を伝えたい」とした上で、「第1は『自己の職責を果たせ』。諸官に与えられるその配置には、諸官一人ひとりにしかできない大切な役割がある。これから海上自衛官として極めて重要な一翼を担うということに誇りを持ち、自己の職責を果たしてもらいたい」と述べた。

修業式

 さらに、「その第2は『使命感』と『覚悟』。これから部隊に赴く諸官は国民の安心・安全を守るため『平素における闘い』に勝ち抜くという強い『使命感』、そして『覚悟』をもってもらいたい」と訓示した。

 総勢274人の修業生は、約4カ月半の間、海上自衛官としての基礎的な知識、技能を習得するため、さまざまな教育訓練を受け、心・技・体の鍛錬に努めた。

 入隊当初は、体力に自信がない学生や団体生活になじめない学生もいたが、同期学生が相互に励まし合い、自分自身に立ちはだかる壁を乗り越え、晴れて修業の日を迎えることができた。
 修業生は、来賓、家族、多くの職員が見送る中、堂々と行進し、全国各地の勤務地に向けて旅立った。


◆関連リンク
海上自衛隊 佐世保教育隊
https://www.mod.go.jp/msdf/s-tc/

 <編集部より>

 総勢274人の修業生が約4カ月半にわたった教育を終え、部隊勤務へと旅立ちました。防衛日報の本日(10月10日付)2面トップ記事では、海上自衛隊佐世保教育隊で実施された一般海曹候補生、練習員、同(女性)の各課程の修業式の様子を掲載しました。

 修業生たちは自衛官として歩む、その第一歩を海自の訓練の場の聖地ともいえる「佐世保の地」で過ごし、晴れやかで、自信に満ちた表情を見せ、節目の行事に臨んでいました。

 海上防衛の第一線で活躍するための新入隊員らへの教育は過酷なものです。海自などによると、座学や歩き方から銃の取り扱いなどまでの自衛隊の基礎的な一般教練はもちろんのこと、持久走などによる体力の練成、海上自衛官にとっては必須の水泳も厳しく指導を受けます。泳げない学生がいたら、教官らの事細かい教えが待っています。

 また、短艇を漕(こ)ぐことは、皆で力を合わせるチームワークや団結心を養います。さらには、海自といえば「手旗」も重要。視覚だけで情報を伝える手段は海自ならではです。教育では、送受信を確実に行えるようになるまで訓練を続けるようです。

 そして、訓練の成果を出すための球技や水泳競技などなど。すべては、強靭(きょうじん)な体力、精神力、何よりも国防への責務の意識をしっかりと植え付けられる期間であり、海上自衛官としての「イロハ」を身にまとうための期間。この期間を「基礎」とするならば、これからが「応用」。それぞれの部隊に配属され、実戦に向けたさまざまな応用編に立ち向かうことになるのでしょう。

 修業生たちは今後、佐世保や呉、横須賀など各地区の艦艇、航空、陸上部隊に配属されます。仕事柄、こうした節目の行事ではトップの言葉は気になります。この日、陪席した佐世保地方総監の俵海将は「自己の職責を果たせ」「使命感と覚悟」の2つを、また、教育隊司令の井上1海佐は「真に戦うために必要な心・技・体の鍛錬を日々、怠らないでほしい」と送りました。

 どの世界にも通じる言葉なのかもしれませんが、そこは自衛隊です。国民の安心・安全を守る立場に身を置くことを決意し、さまざまな教育を受け、修業という一つの大きな結果を残した若き隊員たちの心には大きく響くものとなったことだと思います。

 それだけ、彼ら、彼女らに課せられた責務の重さを感じずにはいられません。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報10月10日付PDF