<鳥取>米子駐3中隊(中隊長・高橋3陸佐)は9月上旬、鳥取県の現在は閉校となった施設を使用し、市街地訓練(CQB)を行った。
 
地域住民の理解と協力得て実現

 訓練を実施するにあたり、長期にわたり関係市町村の役場、施設関係者と調整を進め、地域住民の理解と協力を得て訓練が実現した。

 日頃、連隊は駐屯地、演習場にある市街地訓練施設を活用して訓練を行っているが、初めて使用する施設で訓練を行うことができた。中隊は、日頃の訓練で培った連携や掃討要領など小隊長を中心として互いに確認し、戦闘指導・予行を綿密に行い、全ての隊員が各人の任務を理解し、総合訓練に挑んだ。

訓練で使用した施設

ルームの掃討

 米子駐は「このたび、訓練を実現するにあたり訓練環境を与えていただいた関係市町村、施設関係者、地域住民の方々に深く感謝するとともに、これからも第3中隊は信頼される中隊を目指し、日々精進していく」としている。


◆関連リンク
陸上自衛隊 米子駐屯地
https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/yonago/

<編集部より>

 ビル内に潜伏する敵を制圧するなど、市街地での戦闘を想定して行い、隊員が連携しながら死角を確認し、突入や戦闘を行う-。これが市街地訓練(CQB)です。

 ただし、実施する場所は当然のことながら、市街地や建物を模した演習場などの訓練施設です。「実戦」を想定した本当の市街地でとなると、海外でその地の軍と共同訓練を行うのは珍しいことではありませんが、日本国内ではさまざまなハードルがあります。

 防衛日報の本日(10月9日付)2面で紹介しているのは、米子駐屯地8普連3中隊が閉校となっている施設を使用した市街地訓練です。

 中隊は日頃の訓練で培った連携、掃討要領などを確認したようです。関係市町村や関係者らとの長年にわたる調整、地域住民の理解と協力があっての実現だったとのこと。まずは、この労苦に拍手を贈りたいと思います。

 自衛隊は実戦を想定した訓練を行います。本当の市街地を舞台にした方が、その効果、効率だけでなく訓練の要領や習熟度の確認など、今後に生かす上でもより重要となることは間違いのないところです。

 こうした意味でも、今回の市街地訓練の意義は大きいものがあります。閉校施設ということで、中心街ではなかった場所なのかもしれませんが、いずれにせよ、3中隊にとっては素晴らしい訓練となったことでしょう。関係者たちにとっても、いい経験でした。

 旧社在籍中、陸自とフランス陸軍が東北地方の演習場で、市街地での戦闘を想定して実施した共同訓練を取材したことがありました。仏陸軍はイラクなどで対ゲリラ戦に従事した経験があり、市街地戦に関するノウハウを共有する目的です。ホテルで自衛官1人が人質に取られたことを想定し、ライフル銃を装備した仏陸軍が空砲を放ちながらホテルに突入。そして、人質を奪還するまでの流れを確認する訓練でした。

 一方で、昨今はドローンが積極的に使用されています。野外と違い、市街地は建物が密集しており、敵が隠れるのに好都合。ドローンという新たな時代背景に合わせた市街地訓練も必要不可欠といえるでしょう。それぞれの部隊には、関係者とのさらなる調整を大いに期待したいと思います。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報10月9日付PDF