<北海道>陸自2師団(師団長・井土川陸将)は8月31日、旭川市で開催された「令和6年度旭川市総合防災訓練」に参加した。
 
救命用ボートの装備品展示も

 訓練は、地域における防災意識の高揚と関係機関との連携強化を目的として毎年実施されており、2特科連隊(連隊長・井上1陸佐)のほか、旭川開発建設部、旭川地方気象台、北海道警察、旭川市消防本部などが参加した。

車両及び救命ボート等を展示した野外会場

 訓練で師団は、室内会場での令和6年能登半島地震における災害派遣状況の動画上映や写真の展示、野外における自衛隊車両、救命用ボートなどの人命救助に使用する装備品展示を実施した。

災害派遣の動画及び写真を展示した室内会場

子供に救命用ボートについて説明する2特科連隊の隊員

 また、避難訓練の参加者に、野外炊事車で温めたアルファ化米を試食してもらうなど、訓練を通じて市民と交流を深め、一緒に防災意識を高めることができた。

アルファ化米を試食する市民と交流する2特科連隊長(井上1佐)


◆関連リンク
陸上自衛隊 第2師団
https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/

<編集部より>

 「自衛隊の皆さんから温めていただいたアルファ米、3種類の食べ比べをして、楽しませてもらいました。どの味もおいしかったです」。「令和6年度旭川市総合防災訓練」に参加した地元の社会福祉法人「鷹栖共生会」がHPに掲載している一文を見つけました。そして、自衛隊の災害派遣時の上映を「興味深く見ていました」と続けています。

 この訓練に陸上自衛隊2師団が参加しました。防衛日報の本日(9月27日付)2面でその詳細を掲載しています。2師団は1月の能登半島地震の災害派遣活動の動画上映や写真を展示し、野外では自衛隊車両、救命用ボートなど、人命救助に使用する装備品の展示などを実施しました。

 それだけではありません。野外炊事車で温めたアルファ米の試食です。まさに「プラスα(アルファ)」的な活動でした。訓練の参加者と交流を深めながら、一緒に防災意識を高めるための活動というのが本来の目的です。

 自衛隊にとっては普段から、訓練の中でかかわっている野外炊事車ですが、参加者にはなかなか、そうは映りません。災害時に避難所などでお目にかかる程度です。そして、でき上がったアルファ米自体もまた、初めて食した人が多くいたことでしょう。その結果が冒頭の答えでした。正直、意外とおいしいと思ったような気がします。それはそれでいいのです。

 自衛隊にとって、アルファ米は「日常の米」ですが、普通の炊飯器で炊いた米と何ら変わるものではありません。以前、取材でごちそうになった経験から思うのは、遜色(そんしょく)がない出来栄えだったということです。

 いざというとき、野外炊事車が欠かせない状況で、隊員たちの胃袋や健康を守るためにはある意味、おいしい米や料理もまた必須。そこには、訓練の一環として「炊事競技会」を定期的に実施し、その炊事能力の向上を図っていることが大きいでしょう。ここで地域住民とのコミュニケーションが生まれ、自衛隊への認識、関心、理解の醸成へとつながっていくのだと思います。

 折しも、9月21日、能登半島では記録的な大雨により、多大な被害を受けました。1月の震災からの復興途上にある地域の悲しみ、あきらめなどの感情は計り知れないものがあります。今回、2師団が紹介した災害派遣活動の動画と写真もまた、大きな自然災害が国民共通の大きな関心事だからこそ意義があるもの。そして、自衛隊の活動を知ってもらうためにも、アルファ米の試食とともに効果は抜群だったのではないでしょうか。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報9月27日付PDF