秋雨前線や低気圧などの影響で気象庁は9月21日午前10時50分、石川県輪島、珠洲両市と能登町に大雨特別警報を発出した。今年1月の能登半島地震で被災した3市町では、土砂崩れや河川の氾濫などが発生。これまでに7人が死亡し、2人が行方不明、連絡が取れない人が5人に上っている(24日午後4時現在、石川県まとめ)。21日午前11時18分には、石川県知事から陸自14普連長(金沢)に人命捜索活動に係る災害派遣要請があり、陸空自が約1400人態勢で活動を実施した。
石川県の24日までのまとめによると、輪島市で6人、珠洲市で1人の死亡が確認された。
土砂崩れに巻き込まれたり、輪島市を流れる塚田川が氾濫して流されたりしたほか、国道249号の「中屋トンネル付近」で復旧工事中の作業員らも犠牲となった。
また、珠洲市と能登町では、行方が分からなくなっている住民がいるほか、塚田川で起きた氾濫で女子中学生を含む住民4人と連絡が取れなくなり、捜索を続けた。珠洲市と能登町では、合わせて12人がけがをした。
また、氾濫した河川は23に上り、大雨の被害は元日の地震の仮設住宅にも及び、輪島・珠洲両市の計9カ所で床上浸水したほか、ほかの家屋などにも多数の浸水被害が出た。輪島、珠洲両市では断水が発生した。
このほか、能登町を含めた3市町では、土砂崩れなどで道路が寸断され、行き来ができなくなった孤立集落が一時、115カ所に上った。
さらに、石川県によると、3市町で㊷の避難所を開設し、一時、5市町で1000人超が避難した。
気象庁によると、能登地方では21日午前、線状降水帯が発生し、22日午後4時までの48時間雨量が498.5ミリ、珠洲市では394.0ミリに上った。
能登半島地震からの復興途上に起きた被害の長期化が懸念されている。
統合幕僚監部の24日までの発表によると、石川県知事から21日、災害派遣活動要請を受けた自衛隊は、同日、陸空自が約1400人態勢で人命救助、情報収集、道路啓開、物資輸送、給水支援などを実施した。24日までの各部隊の主な活動実績や活動部隊は次の通り。
活動実績
人命救助=62人▽物資輸送=8.5トン(糧食、飲料水、携帯トイレ、衛生用品=オムツなど=など)▽情報収集=輪島市~珠洲市、能登町(航空機、地上部隊)▽道路啓開=約1000メートル(国道249号、県道52号など)▽給水支援=約34トン
主な活動部隊
輪島市=陸自14普連、372施設中隊(鯖江)、10高射特科大隊(豊川)、10施設大隊(春日井)、10特殊武器防護隊(守山)、空自23警戒隊(輪島)、小松救難隊(小松)、新潟救難隊(新潟)▽珠洲市=14普連、10特殊武器防護隊、382施設中隊(富山)▽能登町=10特殊武器防護隊、14普連、中部方面航空隊(八尾)
自治体ニーズも踏まえ全力対応|木原防衛大臣
木原稔防衛大臣は9月24日の閣議後会見で、能登半島の大雨での石川県における自衛隊の活動状況に言及。これまでにヘリや地上部隊により62人の救助を実施したほか、輪島、珠洲両市における道路啓開、34トンの給水支援、両市と能登町で水や食料などの生活物資 8.5トンの輸送を実施したことを明らかにした。
24日も1400人、航空機12機の態勢を取っており、特に孤立地域に対する水や食料などの生活物資の輸送については、輪島市、能登町でヘリによる降下や隊員が徒歩でアクセスするなど、孤立が解消されるまで引き続き継続するとしている。
木原氏は「引き続き人命捜索救助と生活支援を両輪に、今後の自治体からのニーズも踏まえながらきめ細かく被災者に寄り添い、全力で対応してまいります」と述べた。
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